恋人同士/敏京
「敏弥の髪めっちゃ青いなぁ」
「綺麗でしょ」
「んー」
「何してんの(笑)」
敏弥の部屋で、敏弥のベッドで携帯型ゲームやりよったけど飽きてもて。
不意に視線を敏弥に向けたら敏弥の髪の毛が目に付いて。
ベッドを背凭れにして、漫画読んどった敏弥の髪に手を伸ばす。
ベッドを寝転がったまま端っこまで移動して。
後ろの長い髪を指ですく。
セットされてへん青い髪はちょぉ癖毛っぽくて、へろへろな感じ。
敏弥は笑って、漫画から視線を移さんから。
ヤン毛の長い髪を手に取って、ふざけて三つ編みを作る。
けど、すぐ飽きて敏弥の髪を離した。
オフやったけど、ずっと敏弥んちでダラダラゲームしよったし。
腹減った。
「もうゲーム飽きたの?」
「んー。疲れた」
「そっかそっか」
「何、」
「ん?構って欲しいのかなーって思って」
「アホか。ちょぉ、狭い」
「此処は俺のベッドでーす」
敏弥が漫画を置いて、笑いながら僕が寝転がったベッドへと上がって来た。
ニヤニヤしよってからに、腹立つ。
「京君も綺麗に赤入ってるじゃん」
「うん。でも色落ち早いし、飽きる。金髪にしよかな」
「あー金髪も似合うよねー」
そう言いながら、敏弥は僕の顔の横に肘を付いて。
身体を密着させた形で僕を見下ろして来た。
敏弥の手が、優しく僕の髪を撫でて。
その手が、僕を見下ろす視線が。
僕ん事好きーって言うとんがわかるぐらい優しいて。
何や変な感じ。
そう言う風に、同姓から見られるて無かったから。
悪い気はせんけど。
付き合って思ったんは、コイツはイチャつくんもノロケるんも大好きで。
四六時中一緒におりたいってタイプやった。
もう慣れたし、敏弥がおらんと物足りひんって思うぐらいになってもたから。
僕もコイツの事好きなんやってって思う。
調子乗り過ぎるからあんま言いたくないんと、僕の性格上、言わへんって言うのはあるけど。
敏弥はそれでも、僕の事好き言うて構って来る。
そう言うトコ、犬みたいでかわえぇって思ってまう。
「京君はデコ出しても似合いそうだよねー。格好良い」
「ふーん」
敏弥が僕の前髪を掻き上げてじっと見下ろして来て。
ゆっくり顔が近づいて来たと思ったら晒されたデコに柔らかい唇が当たった。
わざと音を立てて離れた唇。
敏弥の黒いヤン毛が、顔に当たってちょっと擽ったい。
「え…っ!?」
その髪を掴んで引っ張って、首を反らせて敏弥の唇にキスをした。
驚いた顔した敏弥がされるがままに引っ張られとったんが何となくおもろい。
軽いキスやったけど、顔が離れた時、敏弥はめっちゃ笑顔やって。
「ふふ…っ」
「…キモい」
「またまたぁ…だーい好き」
「ぅ…ッ」
いきなり敏弥がキツく抱き付いて来て、変な声出てもうた。
肩口に顔を埋めて擦り寄って来る敏弥の青い髪を撫でる。
したら、首筋に敏弥の唇が吸い付いて来て。
「…敏弥、アカンで」
「んー…」
「敏弥!ちょぉ…ッ」
「いいじゃん。シよ?」
「……」
敏弥の手が、そう言う意味で僕の身体をなぞった。
制止しようとしたけど、顔を上げた敏弥は耳元で甘えた様に言うて来て。
不覚にも、かわえぇって。
そう思った。
敏弥は恋人やし。
2人きりやし。
此処はベッドの上やし。
断る理由なんて見つけれんくて。
敏弥の首に、両腕を回した。
「痕は残すなよ。アホ」
「了解です」
やってな。
声に出さんけど、僕も敏弥の事が好きなんやって。
首に回した手で、敏弥の髪を掻き上げた。
敏弥が僕を触れる時の様に、僕も敏弥に触れる手で気持ちが伝わればえぇなって思う。
終
20110129
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