ENVY and REPOSEC※/敏京
「………」
「………」
「…敏弥…」
「…ッ、」
ほとんど抵抗しない京君を押さえ付けて無理矢理捩じ伏せて。
今更、自分のした事への罪悪感が込み上げて来た。
ゆっくり、掴んでた京君の手首を離す。
拘束がなくなって、繋がったまま動きを止めた俺を京君は見上げて。
伸ばした手で、俺の前髪を撫で上げた。
「お前…泣くなや」
「…泣いてねー…」
「泣きたいんこっちなんやけど」
「だから、泣いてねー、って」
「…ホンマふざけんなよお前」
「きょ…！」
京君が俺の身体を押して来て。
力が抜けた俺はされるがまま京君の上から退いて、入れっぱなしだった自身が抜けた。
京君は不機嫌な顔で身体を起こして、自分の手首を擦った。
怒らせた。
当然だけど。
嫌われたらどうしようって。
そう思うとまた視界が歪んだ。
「ホンマしゃーない奴」
「…え？…京君？」
溜め息を吐いた京君は、俺の首に腕を回しながら足に跨がって来て。
太股辺りに座り込む。
「…飲み会のは、悪かったって思っとるよ」
「京君…」
俺の足に座り込んで、前髪をすき上げられて瞳を真っ直ぐ見つめられる。
「相手は女やし、突き飛ばすんもアカンかと思ってあんま抵抗せんかったん。…いつもの事やから、敏弥怒るんもわかるし」
「…いつもの、事って…」
「あれ？違うん？」
「そう、だけど…」
悪戯っぽく笑った京君に戸惑いながら視線を下に落とす。
「敏弥が嫉妬深いん知っとるし、今回の…まぁ、嫉妬から来とるんはわかっとったし」
「うん…、御免」
「でも最低やなお前」
「……」
京君に言われた言葉を否定出来なくて、俯くと顎を京君の手で掴まれて上を向かされた。
京君は言葉とは裏腹に、怒った表情とは逆の顔をしてて。
「泣くなって、オラ。気持ちよぉにしたるから」
「京、」
京君の生暖かい舌が、俺の目の周りを這う。
ちゅっと涙に吸い付いて。
京君の手がまだイってなかった俺自身に伸びた。
半分萎えたソレを手で扱く。
京君のイイ所を俺が知ってるように。
俺のイイ所も京君は知ってて。
すぐに完勃ちになった俺自身を根本から先端まで指で撫でて。
腰を上げて、自分の穴に俺自身の先端を押し当てた。
「ン…ッ、はぁ…っ」
「あっつい…京君の中…」
何度か息を吐き出しながら、俺自身に座り込んで全部入れた京君。
顔を上げて、視線が絡まった。
「ッは、敏弥…」
「京君、気持ちぃ…」
「…なぁ、僕は確かに敏弥と付き合って…、敏弥とヤるん、好きになったで。受け身でも」
「…うん」
「でもそれは敏弥とやから。お前とヤるから好きなん。覚えとけや糞ガキ」
「ん…ッ、ごめ、」
京君は言い終わると、膝を立ててＭ字開脚のまま、ゆっくり腰を上下させた。
包まれる快感に目を細める。
…京君は我儘で自己中で。
愛情表現あんましてくんねーけど。
こう言う時、俺より全然大人で、悔しい。
付き合った時からそうだった。
さっきとは違う、俺の上で快感に歪む笑みを見せる京君を。
誰よりも、愛しいと思う。
「あッ！ぁはっ、敏弥も、突いて！早よぉ…ッ」
「京君…っ、」
京君の身体をキツく抱き締めて。
２人して、お互いを貪り合った。
「あ、まこからメール来とる」
「マジか。怒ってない？」
「んー…寧ろ御免って。女連れて来たんで俺と敏弥が喧嘩しとんちゃうかとか」
「あぁ、謝るのは俺の方だよね。勝手に抜け出して」
「ホンマにな。ねむー…」
あれから何回かヤッて。
風呂に入って綺麗にして、ベッドの上に寝転びながら京君は携帯チェック。
もう朝の時間帯だし、今日はこのラブホでちょっと寝て帰る事にした。
仕事が夕方からでよかった。
「寝る？あんま時間ないけど」
「ん」
「こっち来て」
「何、」
携帯をパネルの横に置いて、布団に入り直して寝る体勢になった京君の身体を引き寄せる。
京君は大人しくされるがままで、俺に抱き締められた。
優しく髪を撫でて、額に唇を寄せる。
「京君」
「んー？」
「…御免ね」
「ホンマにな。また飯奢れや」
「りょーかい」
「よし」
「…大好きだから」
「うん、知っとるよ」
僕も好きやから、って。
そう言って俺の背中に腕を回した京君。
大好きだよ。
御免ね、誰にも触らせたくないんだ。
嫉妬するのは京君だから。
だけど、安心するのも京君しかいない。
抱き締めて、京君の温もりを感じながら目を閉じた。
終
20110117
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