絡まる/京流+敏





敏弥さんとLINE交換した後。
挨拶しておこうかなってLINEを入れて、少しだけやり取りをして終わったんだけど。

何回かLINEをして、敏弥さんから『今日空いてるなら飲みに行かない?』って誘われて、京さんは別のバンドのツアー中だし1人分だけ飯作る気は起きねーし。
『是非お願いします』と二つ返事で返して、待ち合わせ場所の駅前で敏弥さんの到着を待つ。

『もうすぐ着くよ』ってLINEが入って、聴いていた音楽を止めてワイヤレスイヤホンを耳から外した。


顔を上げて辺りを見回すと、人混みの中から敏弥さんが歩いて来るのが見えた。


「ルキ君こんばんはー」
「こんばんは、敏弥さん」
「ごめんね、待ったでしょ」
「いえ、そんな事無いです。今日は誘ってくれて凄く楽しみでした」


敏弥さんは俺の姿を見付けると笑みを浮かべて近寄って来た。

…何回か会ったけど、やっぱでけーな、この人。
自分のバンドにここまでの長身いねーし、京さんは俺と似たようなもんだし。

サングラスを外して挨拶をして。
目線が随分上だなーとか、そんな余計な事を考える。


「ルキ君何か食べたいのある?」
「あ、何でも大丈夫です」
「お酒飲める?」
「…甘いのなら」
「じゃ、個室のある居酒屋でいい?」
「はい、お願いします」
「こっちだよー」


またサングラスをかけて、敏弥さんに案内されるまま人混みの中を歩いて行く。


「今日は急に誘ってごめんねー」
「いえいえ、嬉しいです」
「京君と一緒に住んでるんだよね?同じバンドだから俺が空いてる時って京君も空いてたりするから、そこ邪魔しちゃ悪いかなーと思って。京君が別バンドの遠征行ってる時なら大丈夫かなって」
「あー…すみません、気を使っていただいて」
「まぁこの業界不規則だから、一緒に居れる時は居たいよねー」
「そうですね」


他愛無い話をしながら歩いてくと、敏弥さんの目的のお店に着いたらしい。

中に入って、店員に案内される後ろを付いて行く。

個室に通されて、向い合わせで座るとサングラスとマスクを外してiPhoneをテーブルに置いた。


敏弥さんはアルコールメニューを開いて俺の方に差し出して来て。
色々なアルコール類が書かれてあった。


「ルキ君って甘いのだったら飲めるの?これとか美味しいよ」
「じゃ、それでお願いします」
「俺はビールにしようかな」
「敏弥さんって結構飲むんですか?」
「そうだねぇ。お酒飲むのは好きかな」
「いいですね。俺弱くて」
「まぁアルコール分解出来ない体質もあるから、そこまで無理に飲まなくてもいいんじゃない?」
「ですかね」
「あーでも飲み会とかあるか」
「あ、はい。最近は飲み会とかほとんど行って無いんですけど」
「そうなの?京君いるから?」
「禁止されてる訳じゃないんですけど、何となく」
「へぇ、京君の事好きなんだねぇ」
「はい」


敏弥さんに勧められたカクテルみたいな綺麗な色のお酒と、ビールを先に頼む。

フードメニューは、敏弥さんは酒の肴みたいな物が好きっぽかった。
俺は普通に食べる気でだし巻きとか色々頼む。


そうしていると、先に頼んだドリンクが運ばれて来た。


「じゃ、お疲れー」
「お疲れ様です」


敏弥さんがグラスを差し出して来たから、それにグラスを合わせて一口飲む。

あ、美味しい。

口当たりが良くて飲みやすい。


「それで、京君とはどんな感じなの?」
「どんな…まぁ俺が色々迷惑かけっぱなしです」
「そうなの?京君って結構難しい人だと思うけど」
「まぁ、俺が構って欲しくてウザがられたりはしてますね」
「あはは。ルキ君って猫っぽいのに、案外性格は犬っぽいんだねぇ」
「そうですか?」


ビールを一口飲んだ敏弥さんは、笑いながら質問して来て。
自分のバンドのメンバーにだったらいつも惚気てたりするんだけど先輩だし京さんのメンバーだし。

関係を知られていると言えど何処まで話していいのかもわかんねー。


「まぁ京君犬っぽいの好きだもんね」
「京さんの好みならもう何でもいいです」
「惚気るねぇ」
「あ、すみません」
「いいよいいよ。仕事以外の京君興味あるし」
「京さん仕事中はどんな感じなんですか?」
「んー。1人でいる事が多いかな。昔はよくメンバーでわいわいしてたけどねー」
「やっぱバンド長いと空気間変わるんですかね?」
「うん、一緒に居すぎてってのはあるかもしれないけど。バンドによるんじゃない?ルキ君の所はー?」
「相変わらずメンバーで馬鹿やってる感じです」
「あはは。いいよね、若いって」
「昔よりかは落ち着きましたけどね」
「ねー。歳取ったなぁ、って思うよ」
「それは思いますね」


敏弥さんのベースの話や、ライブの話も聞けて勉強になったし、楽しかった。
薫さんともまた違うタイプで、敏弥さんもめちゃくちゃ話しやすかったし。

時間が過ぎるのはあっという間。

















「すみません、ご馳走様でした」
「いえいえ。楽しかったし、またご飯行こうね」
「是非お願いします」
「気を付けて帰ってねー」
「はい、おやすみなさい」
「おやすみ」


先輩だからって奢って貰ったからお礼を言って。
軽く会釈をして、敏弥さんが別方向に歩いて行く背中を見送る。

ネオン街にその背中が消えてくと、俺も帰ろうとタクシー乗り場へと向かう。

アルコールが入って身体がふわふわする感覚。

楽しかったし、また後でお礼のLINEを入れておこう。


帰ってシャワー浴びて寝よ。
京さんいないし。

京さん何してるかなー。

0時過ぎたし、ライブツアー中だからさすがに寝てるかな。


京さんのバンド仲間の人と仲良くなれるのは嬉しいから。

あ、でも京さんに報告出来ないのか。
残念だなー。

アルコールであまり回らない頭でそう考えながら、タクシーに乗って帰路に着いた。




20201203

[ 403/442 ]

[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]



「#幼馴染」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -