仕事と家庭の概念/京流




京さんのめちゃくちゃ珍しいラジオを聴いて。
公共の電波で京さんの喋ってる声が聞こえるのって何か新鮮でいいなぁって思ってたんだけど。


京さんと一緒の朝。
そんなに手は込んでない朝食を作って、2人向かい合わせで食べてる中。
お互いの今日のスケジュールを確認。

今日はあまり一緒には居られないっぽい。
残念。


「あ、京さんのラジオ聴いたんですけど」
「………何で」
「え、京さんが出てるからです」
「…嫌やわぁ…家にまでストーカーがおる」
「誰がですか」
「るき」
「………まぁ、京虜ですからね」
「うわ、開き直ったで」


笑いながらお茶を飲む京さん。
この人基本的に人をからかうの好きなんだよな。
笑ってる顔が一気に幼くて可愛いから、それはそれでいいんだけど。

本人に言ったら絶対怒られるな。


「あ、それでですね、ラジオ聴いて思ったんですけど」
「なん」
「京さんお風呂でご飯食べてるんすか」
「あーうん」
「何で、」
「え、聴いたんやろ?効率えぇからやん」
「………俺が全部のツアー行けたら一緒にご飯食べるのに…」
「はは、キモい」
「いやいやいや、マジで。家でそんな素振り見せた事無かったんで、俺の知らない所でそんな事してるのに吃驚したんですけど」
「よかったな、1つ知れて」
「あ、はい。……え?」


何かすげぇ適当にあしらわれた気分なんすけど。

長年一緒に住んでるのに、まだ知らない事ってあるんだな。

本当、家でそんな事するなんて微塵も出して無かったじゃん。

効率重視し過ぎだろ。


「やって、家の飯や風呂に持ち込めるサイズちゃうやろ」
「…まぁ、小鉢とかありますしね」
「1人でもないし」
「………やっぱ俺が毎回行った方が…」
「ストーカーやん。キモいで」
「……えー」
「えー、って」


京さんは眉を寄せて俺を見ながら、朝ご飯を食べ終わって箸を置いて「ごちそうさま」と呟いた。

自分も食べ終わって、京さんの食器と一緒に重ねる。


ゆったりとした時間。

こういう風に京さんと朝ご飯を食べる事が日常で、好き。

仕事やツアーで忙しくしてる時の、接点が持てる大切な時間の1つ。


「……まぁ、ツアー中とか、しんどいやん」
「…はい」
「疲れとるし、さっさと寝たいからなんやけど」
「………」
「家でそんな必要も無いやろ」
「…俺がいるから?」
「自惚れんなや、ストーカーさん」


京さんは笑って、煙草に手を伸ばして1本咥える。
カチッとライターで火を点けて、煙を吐き出した。


立ち上がって食器を片付けるついでに、昨夜洗った灰皿をテーブルに置く。


「京さん珈琲飲みますか?」
「うん」


煙草吸いながらiPhoneいじり出した京さんを見て、食器をシンクの中に置いて水を浸けて。
サイフォンの中の珈琲を2人分のカップに淹れる。


たまに京さんて嬉しい言葉言ってくれるよな。
それが意識してか無意識か。

超絶わかりにくいけど。


カップを持って、また京さんの目の前に座る。

片方を京さん側に置いて。


「じゃ、ツアー中は何処でも呼んで下さいね。飛んで行きますから」
「るきやとホンマに来そうやなぁ」
「交通機関さえ稼働していれば」
「……その根性は何処から来るんや」
「京さんが大好きに他ならないっすね」
「あー、はいはい。ストーカーやもんな、るき」
「はい」
「認めるんかい」


そりゃ京さんの事、全部網羅したいぐらい好きなんですもん。
今回の事は吃驚したけど、確かに京さんの事知れたってのは良かったかも。

まぁ俺的には気になるんで、マジでツアー付いて行きたい。




20201128

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