薫君の誕生日/敏京+薫




「薫君、誕生日おめでとー」
「おめでと」
「おー、ありがとな、2人共」


スタジオに行くと、敏弥と京君が俺の姿を見るなり寄って来て。
今日は俺の誕生日やからお祝いの言葉をくれて。


敏弥は京君の後ろに立って京君の身体の前に腕を回してベッタリとくっついていて。
京君はその腕を外させようとしとるけど、全く外れんっぽい。

敏弥はにこにこしとるけど。

いつものコイツ等に苦笑いする。


「また皆でお祝いにご飯食べに行こうよー」
「そうやなぁ、昨日京君の誕生日やったし、祝いせなな」
「京君は昨日たっぷりと俺がお祝いしました!」
「敏弥、黙って」
「はいはい、よかったやん」
「付き合った記念日だしね。京君との大事な日だし」
「あぁ、そう言えばこの時期やっけ」
「そうそう。薫君の誕生日が京君の次の日とかズルーイ」
「何でやねん」


敏弥は外そうとしとった京君の手を握り締めて指を絡ませ手を繋いで、京君の頭に顎を乗せながら楽しそうに話す。


まぁ、敏弥は京君の事好きなん隠そうともせんし、いつも通りなんやろけどなぁ。


そんな2人の姿に微笑ましいと言うか、京君も何だかんだ敏弥の事好きなんわかるし、前までは自分に呼び出しが多かったのに、今は全くと言っていい程無い。

それはそれで、寂しいモンがあるなぁ。


「薫君ー?」
「ん?」
「ぼーっとしてどうしたの?」
「や、何でも無いで」
「そう?じゃ、また何が食べたいか考えておいてね!」
「京君が食べたいモンでえぇよ。京君の祝いでもあるし」
「うわー、出たよ京虜」
「普通やろ」
「京君を甘やかすのは俺だけでいいの!」
「敏弥、煩い」
「嫌がられとるやん」
「違ーう!」
「敏弥もう離せや」
「いやいやいや、無理無理」
「何でやねん」


そんな2人のやり取りを見ながら。
笑って荷物を椅子に置いてから、座る。


したら、敏弥を呼ぶスタッフの声がした。


「オラ、敏弥行って来い」
「ざーんねん。いい子で待っててね」
「死ね」


敏弥が京君から手を離して、敏弥が離れてった。
それを溜め息を吐いて見送った京君は俺の隣に座る。


「はー、ホンマうざかった」
「はは、まぁいつもの事やん」
「それが嫌。人前でベタベタしやがって」
「あー、京君人前でイチャつくん嫌いなんやな」
「うん。迷惑」
「2人きりならえぇの?」
「………別に」
「あー、そうなんやー」


京君もわかりやすい子やな。

2人きりならえぇんや。


京君が頼りにする相手が、敏弥に移行したんが寂しいって思うけど。
やっぱ、京君が幸せそうなん見る方がいいし、これはこれでよかったんやんな。

敏弥と付き合って。


「まぁ仲良くて何よりやな」
「別にー」
「はいはい」
「何やねんムカつく」
「まぁそう言わんと。交際が順調でお父さんは嬉しいで?」
「アホか」
「はは」


何事も無い日常でも、誕生日ってだけで嬉しく思えるモンやて。


京虜自覚しとるから、尚更。



20140217




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