MでS/京流
朝、京さんと一緒にご飯食べる時に戒が作ってくれた苺が無くなった生クリームだけのケーキを切り分けて珈琲と一緒に出したら。
すっげぇ微妙な顔をしながらも大人しく食べてくれた。
朝っぱらからちょっと重いかなって思ったけど。
せっかくリーダーが作ってくれたんだから、昨晩のアレな事が頭を過ったけどさ。
ケーキに罪はねーしな。
そのまま、お互い仕事場に来て、挨拶をしながら備え付けのソファに座る。
iPhoneをイジって、溜まった返事を返していく。
昨日もTwitter上で祝ってくれた人には返したりしたんだけど。
iPhoneを見ながら煙草を取り出して口にく咥え、手を伸ばして灰皿を自分の方に引き寄せる。
「きーちゃん、おはよー」
「戒君、はよ」
返事を打ってると、戒君がニコニコしながら俺の方に近寄って来て、俺の隣に座る。
「昨日行けなかったしさー。きーちゃんの誕生日だったし、皆でどっかご飯行かない?」
「お、マジで?行く行く」
「最近皆でご飯行くとかなかなか無いもんねー」
「まぁなー」
「きーちゃんは京さん京さんだしね?」
「ふふ。あ、昨日ケーキありがと。京さんと一緒に食ったし美味かった」
「え、食べたの?苺」
「……京さんに食わされたけど」
「だよね。京さんてルキが苦手な物とか、嬉々として食べさせそうだもんね」
「…やっぱわざとか、お前」
昔から苺嫌いだっつって、知ってる筈だしな。
ふーっと煙を吐き出しながら、眉を潜めて戒を見る。
「まぁ、見た目重視にしたのも事実だけど、ルキが苺嫌いって知ってる京さんがどうすんかなーって思って、ね」
「お前の思惑通りになったっつーの」
この腹黒め。
ニコニコ笑う戒に、舌打ちをしながら灰皿に灰を落とす。
おかげで夜の方もアレな事になったんだけどな。
「だって、きーちゃんMなんでしょ?京さんに構って貰えてよかったじゃん」
「あーそー。さすが戒君、Mの気持ちもバッチリ理解してんねー」
「ささやかな誕生日プレゼントだよ」
「そりゃどーも」
ある意味忘れらんねー誕生日プレゼントだったけど。
うちのリーダーも大概意地悪いね。
「来年は苺無しで宜しく」
「あはは。どうしよっかなー」
「おっまえ、こっちの身にもなれよ」
「えー?でもきーちゃん、苺苦手なだけで食べれはするでしょ」
「そりゃーそうだけど。京さんでなきゃ絶対食わねー」
楽しそうな戒の顔と、昨晩の出来事を思い出してフィルターを噛みながら眉をしかめる。
何となく、戒君に京さんとの事を詳しく言うのは苦手。
れいたには下ネタでもガンガンに言ってんだけど。
昔は言う事聞かずに迷惑ばっか掛けてたしね。
「まぁ、京さんと仲良さそうでよかった」
「…お陰様で」
「うん、でも仕事もあるんだから、痕も程々にね?」
「……うー、ん」
「コラコラ、メイクさんに怒られてるよね?」
「今日は撮影ねーし」
「全く、もう」
戒は笑って、俺の頭をポンポンと叩いた。
しょーがないなって言って。
何か、こんな風によく皆に甘やかされてんな、とは思うけど。
「じゃ、今度も苺の何か作って来てあげるから、また京さんと食べてね」
「お前…京さんにも言われたんだけど、ある種の苛めだろ」
「愛はあるよ?」
「止めろよキメェ」
「あはは」
煙草を灰皿に揉み消して。
腹黒ドMなリーダーの計らいで、ある意味忘れらんねープレイしたんだけど。
京さんから受ける事だったら、何でもいいけどね。
終
20140202
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