るき@※/京流




リハも終わって深夜にも近い時間帯に帰宅。
今日はるきの誕生日やったから、るきが飯食いに行きたいとか言うとったんやけど、仕事の関係上無理やって後日って事で。

何か頻繁に来たるきのラインによると、メンバーやスタッフに祝ってもらったらしい。
いちいち写メが送られて来よった。

1日ぴったりな時間には頻繁に携帯鳴っとったし、まぁるき交遊関係広いしな。
もうるきも大量に後輩持つ様な年齢なったんやなって、不思議。


家に帰ると、るきは風呂上がりなんか、スウェットで眼鏡な姿でキッチンで何かしよった。


「京さん、おかえりなさい。珈琲飲みますか?」
「うん」


暖房が効いた部屋で、上着を脱いでソファに投げながら息を吐きながらソファに座る。

るきが、僕の分も珈琲を淹れてソファに持って来たのを受け取って。
何となく癖でテレビをつける。

るきの、指環も何もついてへん指がテーブルの上にマグカップを置いた。


「京さん、ケーキ食べます?うちのリーダーがまた作ってくれたんですよー」
「ふーん」
「俺お菓子とかあんま作んねーし、すげー綺麗な出来なんですよ」
「…………」


るきは1人忙しなく動いてキッチンからまた箱みたいなんを持って来た。
僕の隣に座って、テーブルに箱を置いて開けた。


中身は、生クリームと苺のデコレーションケーキが入っとって。
素人が作ったにしては、確かに上手く出来とる様に見える。

自分が作らへんから、こんなん人間が作るとか不思議やわ。


「………つーか、苺乗っとるやん」
「……生クリームでデコレーションするのって、苺が見栄えいいからって言われました…」
「何や、苛めか」
「違います!」
「つーか、写メでお前ケーキ食っとらんかった?」
「あれはスタッフが用意してくれたヤツですよー。これは戒が『京さんと一緒に食べてね』ってくれたヤツです」
「苛めでか」
「だから違いますって」
「え、やってそうやろ。僕と一緒にで、苺があるって…なぁ」
「………」


まぁ、ショートケーキって、生クリームと苺のイメージやから、作る側にしたらこうしたいんはわからんでも無いけど。

箱から出されたワンホールのケーキの上の苺を、1個摘まむ。


「るーき、あーん」
「………やると思いました」
「なら食わなアカンの、わかるやんな?」
「ボミったら介抱して下さいね」
「ベランダ出ろや」
「…京さんからの『あーん』は嬉しいのにー」
「えぇから、早よ」
「あー…」


複雑な表情をしたるきが、僕の指から苺を咥えて食べた。

うん、えぇ子。

つーか、こんな時間に食ってまたデブるで、るき。


「苺の味…」
「そりゃ苺やからな」


もう1個苺を摘まんでるきに差し出すと咀嚼し終わったるきは、また素直に口を開いた。

犬みたい。


…まぁ、あながち間違いでも無いか。


「………、苺ばっかじゃなくて、生クリームも下さい」
「我儘言うなや」
「誕生日なんで、俺」
「は、歳ばっか食っとるだけやろ」
「ん…ッ」


ケーキから生クリームを指で掬って、るきの唇に押し付ける。
すると、嬉しそうに目を細めて僕の指の生クリームを舐める。

丁寧に舐め取られ、るきが腕を伸ばして苺を1個取って、僕に差し出して来た。

反射的に口を開けると、口ん中に苺が入って来て。
間髪入れずに僕の首に腕を回したるきがキスして来て、苺を半分持っていかれた。

目を開けたまま、るきの顔が離れてくのを見やる。


「苺嫌いなんちゃうん」
「京さんから貰うのは好きです。戒がくれた誕生日プレゼントなんで。……この状況が」
「あぁ…」


苺を飲み込むと、るきが唇に軽いキスをして来る。
勝手な事すんなや。


「……ッ」


後ろ髪を掴んで、るきのキスを止めさせて顔をじっと見つめる。

こんな下らん事で喜ぶ、僕の犬。


「こことベッド、どっちがえぇ?」
「ベッドで、」


可愛がったるよ、僕なりに。






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