いつものるき/京流




仕事終わって、るきと共に家で飯食って。
ソファを背凭れにして、炬燵に入り込んで座って、るきが観たい言うたDVD観るかって事で。
るきがDVDセットして僕の隣に座る。

まだ風呂入ってへんから外着のまま、長い前髪をピンで留めた格好で。
距離を縮めて僕の腕にくっついて来るるきはキモい。

何でこんなずっと一緒に暮らしとって、いちいちくっついて来るんやろ。

もう言うんがめんどいから好きにさしとるけど。


映画観る時は部屋を暗くして、テレビ画面だけの明かりが部屋を照らす。


何か白いココアを渡されて、本編が始まるまで何かのCMをぼーっと見る。


「あ、京さん京さん、今日これ撮って来たんですよー」
「…何」
「これです」
「………」


隣でるきがiPhoneをイジって、僕に画面を見せて来た。
その画面を見てみると、先日見た場所で、サングラス姿のるきが写っとる写メ。


「…………お前アホやろ」
「だって京さんがサイン書いて写真撮ってるんだったら、俺としては見に行きたいじゃないですか」
「いや、知らんけど」
「れいた連れてって、人がいない時を見計らって撮りました」
「………アホやろ」


ただ単に気紛れで出向いて、気紛れでやった事やのに。
そこまで行くとか、るきに呆れる。

お前メンバーにまで迷惑かけんなや。


発売日には僕ん所の音源買っとるし、家で平気でDVD観るし、引くわー。


「後、サイン写メったり、俺がガン見してたのをれいたに撮られたりしてました」
「ふーん」


そう言いながら、るきは何枚かの写メを見せて来た。
いやまぁ、アホな事しとるなーぐらいにしか思わんのやけど。


「この後にも俺と似たような事してる人いましたよー」
「そー。そっちに混じるとか気持ち悪いな、るき」
「だって京さん俺が言ってもサイン書いてくれないじゃないですか」
「当たり前やろ何で家でサイン書かなアカンねん」
「ここにファンがいるからです!」
「いや、意味わからんし」


そんな熱弁されてもどうでもえぇし。

iPhoneをイジりながら、僕の肩に頭を乗せて来て。

もう何年一緒に暮らしとんねん。
別にサイン云々なんてどうでもえぇやろ。


一口、白ココアを飲んで画面に目をやると本編が始まりそうな感じで。
お前が観たい言うて借りて来たんやから、ちゃんと観ぃや。


「んー。京さんのサインって言うよりか、京さんの名前書いておきたいですねー。俺の身体に」
「何やのお前いつも」
「京さんの名前、刺青彫ってもいいと思うんですよね、俺は肌見せる訳じゃねーし」
「何処に」
「…背中全体?」
「バックでヤると萎えるから無理」
「えー、じゃ、京さんしか見ない所とか」
「僕の名前見るだけで僕が萎える。つーか彫り師に何処見せる気や」
「じゃ、何処に入れたらいいんですか!」
「逆ギレすんな。何処も許さんわ」
「えー」
「えー、やない。お前煩い。映画聴こえん」
「あ、始まりました?」
「…………」


るきがiPhone置いて、僕に凭れたまま画面に目をやる。


もうナンボ言うても聞かんから、めんどくなって来とるんやけど。
『ファン』やと思っとんにここまで許したりせんのやけどな。

アホやから気付かんのか。

そうやな、アホなんか。


溜め息を吐いて、右側に体温を感じながら、るきチョイスの映画を観る。


るきがアホで、何や平和な夜やなぁって思うんは。

一緒におりすぎて、るきに毒された証拠かいな。




20140127




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