朝の七草粥/京流
るきの会社は僕ん所より休みが長かったらしく。
途中、実家帰ったり、ほとんど家でダラダラしたり、たまり飯食いに行ったり。
ワーカーホリックな野郎にしては珍しく、家でマッタリしとった。
…まぁ動くんは好きならしく、掃除やら模様替えやらしとってウザかったけど。
したら7日の朝、すっきりリフレッシュされたらしく仕事行くんが楽しみっつーて、鼻唄歌いながら朝飯作りよった。
洗顔して欠伸を噛み殺しながらソファに座って新聞を見る。
確かに正月休みが長くて外出するんもめんどくて自宅でおったから怠かったな。
「京さーん、朝ご飯出来ました」
「んー」
るきにキッチンから呼ばれたから、新聞を畳んでテーブルに行く。
したら、テーブルの真ん中に土鍋が置いてあって。
中身はお粥?があった。
「何これ」
「七草粥です。今日1月7日なんで」
「あー…毎年毎年…飽きへんな…」
「無病息災ですよー」
「味無いやん」
「一応、塩で味付けはしました」
「ふーん」
「あと、餅まだあるんで、お汁粉も作りました」
「…何や連日、餅食っとるように思うんやけど」
「やー、実家帰った時にいらねっつったんですけど、大量に持たされちゃって。まだ消費仕切れて無いんですよね」
「この正月で体重増えたし」
「俺もヤベェ」
「るきいつもやん」
「俺体重の変動激しいんですよね…」
るきが作った汁粉を出して来て。
餅2個も入っとるし。
餅ってほとんど正月にしか食べんけど、ここ数日、正月やからってよう食った気がするで。
「つーか、食い合わせ悪ないん」
「あーやっぱ雑煮とかの方がよかったですかね?」
「餅から離れろや」
「だって俺と京さんしか食べる人いないんですよー」
苦笑いしながらるきは沢庵とか御新香とか海苔を用意して。
るきは七草粥言うモンを僕と自分の器についだ。
急須から湯飲みにお茶も淹れて、るきが僕の目の前に座る。
「いただきます」
「…いただきます」
お粥を一口食べると、やっぱ胃に優しいモンで。
温かいし食いやすいわな。
何だかんだ、毎年の様にるきとこの七草粥食っとる気がするわ。
別に普通にしとったら、そんなイベント事とかスルーして過ごせるやろに、自ら足突っ込んで行くとかめんどい事ようするなぁ。
「何か、七草粥って無病息災って意味も込めて朝に食べるらしいんですけど、正月で濃い料理ばっか食べてたのを、胃を休める意味もあるらしいですねー」
「ふーん。汁粉あったら意味無いやん」
「まぁ、そこは…ほら、お粥だけじゃお腹空くかもだし」
「餅って腹いっぱいになるけど、すぐ腹減るやん」
「腹持ち良くないですよねー。何か餅のアレンジレシピ検索しておきます」
「ん」
漬物とかあったから、お粥は食べやすかった。
何か食べたらまたるきにお粥入れられたけど。
だから毎年毎年、量を考えて作れや。
アホか。
「これでお互い無病息災ですね」
「お互い喉に爆弾抱えとるけどな」
「それが治るって事で」
「簡単に治ったら苦労せんわ」
そんな迷信ごときで。
「…やっぱお粥と汁粉合わんやないか」
「んー、次はやっぱ雑煮にします」
「来年は餅止めろ言うねん」
「やっぱ貰いすぎも良くないですね」
塩味の効いたお粥と、甘い汁粉はやっぱ合わんかった。
つーか炭水化物ばっか止めろ。
今年もるきは相変わらず、るきやったわ。
20140107
[ 347/442 ][*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]