初日の出/京流




そう言えば、京さんと初日の出は見た事ねーなーって思って、見てみましょうよって言ったら予想に反して『えぇよ』って返事されてテンション上がった訳だけど。

まぁ起きられないかもしんねーから、0時ピッタリに京さんに『あけましておめでとうございます』って挨拶して、そのままテレビやDVD観て起きてて。

テレビで初日の出の言われた時間までもう少し。

何だかんだ、少しのアルコールを飲みながら京さんとまったり過ごす時間。
都会は街中に皆集まって道路でカウントダウンしたり、ライブしたり明治神宮にお参り行ったりしてるけど。
こうして2人きりでゆっくりとした時間で新年を迎えんのもいいもんだなー…。

でも明け方ってどっちかって言うと眠いんだけど。


炬燵に入ってソファに凭れた京さんの隣で、アルコールの抜けた酎ハイをチビチビ飲みながら京さんの肩に凭れ掛かる。


「あー…やっばい、京さん俺寝そう…」
「寝たら?起こさんけど」
「や、もう寝たら起きる自信ありません」
「お前、年々寝起き酷なっていきよるしな」
「え、マジっすか」
「なかなか起きひんやん」
「あー…確かに…頭働かないんですよね」
「いつもおかしい方向に頭使いよるからちゃう?」
「ちょ、どう言う意味ですか!」
「は?わかるやろ」
「んー…」
「おい、寝るなら寝室行けや」
「もうすぐ夜明けなんで寝ません…」


ずるずる身体を炬燵の中に入れて行って、京さんの肩から腕、炬燵布団に隠れた足に頭を乗せた。

別に拒否られたりしないから、そのまま体勢を整えて寝転がる。

ヤバい、マジで寝そう。


「…あ、そう言えば京さん、元旦って『何もしちゃいけない日』らしくて」
「は?」
「掃除洗濯もしない日ならしいんですよ。福を流して掃出する行為になるらしくて」
「ふーん」
「だから年末に大掃除して、保存食のお節作るんですかね?」
「知らん」
「だから、姫始めもしちゃ駄目だそうですよー」
「………」
「『老ける』行為だそうです。今までした事あったのにー」
「………」
「って事で京さん、するの2日にしません?」
「…お前はホンマ頭湧いとんちゃうか」
「ぃたッ」


結構真剣に言ってたのに、上から京さんに呆れた顔で見下ろされて頭を叩かれた。
いやいや、古きよき日本の文化は守っていきましょうよ。


『んー』と唸りながら、京さんの足の上で伸びをする。















「起きろ。重い」
「ッえ?」


不意に頭を叩かれて、意識が無理矢理覚醒する。

一瞬状況がわからなかったけど、どうやら京さんの足の上で寝てた、らしい。


「足痛いわボケ」
「………おれねてた?」
「ちょっとな。早よ退け」
「ごめんなさ、…あ!初日の出!!」
「っさいな。もう出とんちゃう」


思い出して慌ててiPhoneで時間を確認すると、ちょうど日の出時間ぐらいで。
京さん、それ考えて起こしてくれたのかなって思うと頬が緩む。


「京さん、バルコニー出ましょうよ!初日の出!」
「…煩い。騒ぐな」


立ち上がって、京さんを急かして用意してた上着を羽織り、バルコニーへと出る。
日の出の時間、眩しい位の朝焼けが空を包んだ。


「すっげ、綺麗…」
「…普通の朝焼けやん」
「でも2014年始まって最初の日の出ですよ」
「そうやけど」


肌寒い中、白い息を吐きながら京さんと並んで初日の出を見つめる。

こんなに綺麗だったなら、毎年見ればよかったな。
ライブやら何やらで、京さんいない時もあったけど。


「京さん、あけましておめでとうございます。今年も宜しくお願いします」
「…さっき言うたやん」
「この日の出の前でも挨拶を」
「ほうか」
「やっべぇ、願い事しとこ。京さんとこれからもずっと一緒にいれますように」
「またアホな事言うとる…」


だってさ、俺が初日の出見たいって言ったら付き合ってくれたり、時間になったら起こしてくれたり、何だかんだ、京さんって優しいんだよね。
そんな嬉しい事してくれるのに、愛しいと思わない訳が無い。


寒い中、目を細めて初日の出を見る京さんは格好良い。

好き。


「まぁ、でも、たまにはえぇね、こう言うのも」
「ですよね。来年も一緒に見ましょうね」
「来年もるきとおるんか…」
「いますよ、くっついて離れません」
「はは、ウザー」


少し高い声で笑う京さんの笑顔が大好きだから。
また、来年も見たい。
この先も、ずっと。


あけましておめでとうございます。
今年も、来年も、再来年も、宜しくお願いします。

京さん。




20140101




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