それぞれの1122@※/京流




風呂上がり。
今日もライブが終わって日付が変わる頃、疲れてるし、早く寝ようかと思うけど、気分は高揚して寝れそうにない。

先に上がった京さんが、ソファに座って映画を観てる隣に座って。
京さんの身体に身を寄せてると同じボディソープの匂いがした。

一緒に暮らしてるから、当然と言えば当然なんだけど、何だかそれが感慨深い。


京さんと暮らしてるって、この事実。


「…京さん、11月22日は『いい夫婦の日』ですよ」
「は?なに…」
「いい夫婦の日、数字をもじって」
「あー…そうなん」
「京さんと長く暮らしてたら、内縁になれねーかなー、なんて」
「………」


何だろうな。

今まで別に若かったのもあるし、結婚したいって思った女は居なかったけど。
京さんとこんな関係になって、京さんが最後の人だと思うし、京さんもそうであって欲しい。


ここまで必死になって手に入れたかった相手は、居なかったから。


それが、どう足掻いても本物の『夫婦』になれない相手とか。


「…日本はマイノリティに厳しいっすね、京さん」
「何やねん」
「海外な京さんと結婚出来んのになって」
「したいんか」
「したいです」
「へぇ…僕は家事を完璧にこなして、僕の帰りをいつまでも家で待つヤツがえぇんやけど、るき出来んの?」
「…家庭に入って欲しいって事っすか」
「うん」
「……俺じゃダメって事ですか」
「んー…別にるきが今すぐ辞めたいって自分の意志あるならえぇけど、無いならまだ先でえぇんちゃう」
「…………」
「中途半端で、グダグダされるよりもやり切ってからのがえぇやろ」
「……じーさんになっても、やり切れなかったら?」
「そのままくたばったら」
「………」
「ま、僕は辞める気無いし、結婚がしたいんやったら出て行ったら」
「…京さん以外としたい訳ねーじゃん…」
「ふーん」
「京さんは?」
「え、興味無いし」
「えー…」


だろうなー…。
残念。

でもちょっと、そんな記念日とかあると、いいなって思うんです。
堂々と言えない関係だから、余計に形あるモノが欲しいなって思ってしまう。


ちょっと伸びをして、京さんの首筋の裏、小さい刺青に吸い付く。

京さんは微動だにしなくて、されるがまま。

何度かキスをしながら身体を起こして床に降りて、京さんの前に回る。

柔らかい京さんの唇にキスをすると京さんの手が俺の後頭部に回って髪を掴んで引き離された。



痛みに顔を歪めながら、真っ直ぐ俺を見る京さんを見返す。


「何やお前今日ライブやったんやないの」
「…だからです」
「ふーん、元気やな」
「ッあ、京さん、」


目を細めた京さんは、俺の髪から手を離す。
そっから何も言わず何もしなくて、俺を見てるだけだから。
その視線にすっげー興奮して、京さんが見てる中、目の前に膝まずいてジャージの上から京さん自身をなぞる。

そしたら、京さんが俺の前髪を撫で上げた。


「何しとるん?」
「…ぁ、舐めたい」
「誰の許可得とんねんコラ」
「京さんのが欲しいです。しゃぶらせて下さい」
「キバらな放り出すで」
「ん…ッ」


こう言う時、完璧主従関係が成立する。
夫婦、なんてそんな生優しいモンじゃなくて。

興奮するから、もっと見て欲しい。

ただの雌に成り下がる、俺を見下すその目で。





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