1111/敏京




「京君、京君!今日は11月11日だって」
「……やから何」
「ポッキーの日だよ!さ、今年もポッキーゲームしようよ!」
「…今も昔もこれからも、そんなアホな事する予定は御座いません」
「またまたー。照れ屋さんなんだから!」
「うっざ…」
「ほらほら、スタッフさんがわざわざポッキー置いててくれてるんだし。ポッキーの日だし。俺と京君は恋人だし、やるしかなくない?」
「誰と誰が恋人ですか」
「え、俺と京君。忘れたの?ボケちゃった?」
「シバくでお前」


打ち合わせの合間、休憩中に何を頭湧いたか、敏弥が何かごちゃごちゃ言よった。
毎年毎年、よくアホみたいな事言うなぁって呆れる。

部屋の角でスタッフが用意してくれとるお菓子や軽食、コーヒーやお茶がある中、敏弥がポッキーの箱ごと持って来て僕の隣に必要以上にくっついて座る。


誰もう11月11日がポッキーの日とかそんなこじつけ作ったん。
お菓子業界の陰謀やろ。


鼻歌を歌いながら敏弥はポッキーの箱を開けとって。

それを横目で見ながら、いつも好きな菓子があったから、それと烏龍茶でまったりしながら携帯をイジる。


「はい、京君。あーん」
「…………」
「あーん」
「…………」
「あーん!」
「…………」
「あーん!!」
「っさいわ!黙れ!」
「はい、あーん」


無視ってもしつこくて、文句を言う為に口開いたら敏弥がポッキー突っ込んで来やがった。

ポッキーやから、美味い。
それはえぇ。


けど、ニコニコしながら僕がくわえたポッキーの端っこを食べようとする敏弥はキモい。
近付いて来た敏弥の顔をガシッと掴んで拒否る。


何やねんお前。


「ここ人おるから、やめぇや」
「人いなきゃいいの?」
「いいわけあるか」
「えー!京君のケチー!」
「ちょぉ、敏弥、煩い」
「京君が早くしてくれないから、保護者が来ちゃったじゃーん!」
「保護者って何やねん…」


敏弥の顔を押し返したりしよったら、呆れた声が聞こえて来た。


薫君。


コーヒー飲みながら、僕らの隣に座ったら敏弥は諦めたんか、僕からちょっと離れた。


「もうー薫君、俺と京君のラブラブタイム邪魔しないでよね!」
「え、ラブラブやったん?」
「全然」
「やんな」
「うん」
「2人共酷ーい。京君、あーん」
「いらん」
「えーポッキーゲームは?」
「薫君、もう帰ってえぇ?」
「や、京君はおってや」
「無視しないでよー」
「ちょ、」


敏弥がめげずにポッキー差し出して来るから、無視って薫君に視線を向けると薫君は苦笑い。
したら敏弥は僕に抱き着いて来た。

薫君おるのに、何しとんやボケ。


「離せ!」
「やだ!ポッキーゲームしてくれたら離したげる!」
「何やその交換条件、腹立つな!」
「敏弥、何そんなんしたいん?イベント系って好きやったっけ?」
「え?京君とラブラブする為の言い訳で、イベントとか自体はどうでもいいよ?」
「あぁー…」
「何やねんそれ、訳わからん事に僕を巻き込まんといて」
「だって京君好きなんだもーん」
「…薫君、僕は選択を間違えたと思うねん。自分が決めた事やから後悔せんようにしようと思っとるけど、そうもいかんかもしれんわ…」
「ほうか。京君も大変やな…」
「え、何ガチに人生相談とかしてんの!?」
「まぁ、京君の好きな様にしたらえぇと思うで?別々の道行くんも選択肢の1つやろし」
「うん、考えるわ…」
「え?え?別れないよ!?別れないからね!?」


薫君としんみりした雰囲気で話しよると、敏弥は慌てて僕の顔を覗き込んだ。


「ちょ、顔見せんな笑える」
「だって京君が変な事言うんだもん!」
「ポッキーゲームさせるよりかは健全やと思うけど」


男女の恋人同士でも、そんな事せんやろ。
僕にとったらありえへんのやけど。


「まぁ仕事場ではイラッとするけど、仲良くてえぇんちゃう?」
「だよね!薫君いい事言う!」
「あー…薫君がそう言うなら…」
「何その薫君の言う事聞く感じ!薫君、さっきの前言撤回で!」
「何やねんお前ら」


敏弥煩い。

ホンマ、こんなん無かったらまだえぇのに…って思うけど、そこも引っ括めて付き合ってんやから、しゃーないか。




20131111




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