正月/京流




正月言うてもせっかくの休み。
何する事もなくて、るきと2人でるきが借りて来たDVD観たりして過ごす。

るきも正月ぐらいはゆっくりするんか、いつもパソコンにかじりついとるけど隣でくっついて来よる。


るき曰くラフな格好なんやけど、一体どこで買って来るんやって派手なシャツ。
家でおる予定やのに、何やねんそれ。


るきが淹れた珈琲を口に含みつつ、終わった映像をリモコンでオフにした。


るきは隣でちょっと伸びをした。


「るき、これ続きは?」
「あーまだそれ以降は借りてないです」
「はぁ?続き見えんやん。借りてき」
「え、今からですか?」
「今からやなかったらなんやねん。続き気になるやん」
「じゃぁ京さんも一緒に行きましょうよー」
「嫌や寒い」
「俺も寒いです」
「お前が続き一気に借りて来んのが悪いんやろ」
「海外ドラマ一気には借りるのしんどいですよ」


伸びをしたるきは、べったりと僕の右側に絡み付いて来た。

何やねん。
長期オフなんかなかなか無いんやから一気に見させろや。


ちょっと振りほどく仕草をしてみても、るきは離れる筈もなく。
腕を伸ばしてマグカップをテーブルに置いて、煙草を取って1本くわえる。


「でも京さん、ずっと部屋に籠ってるし、散歩がてら行きません?身体なまりそう」
「餅食い過ぎてぷにぷになったんちゃうかるき」
「そー、もう正月ってヤベェ。動かねぇし、食べるし」
「じゃ、DVD借りて来たら」
「だから京さんも一緒に行きましょうって」
「嫌」
「一緒に行ってくれないと今日の晩ご飯またおせちになりますよ。ついでにスーパー行きたいんですけど俺だけだと重くて持って帰れないんで」
「何カマトトぶっとんねん。そんな体力なくてツアーよう回れるな」
「何でもいいんで京さん一緒に出掛けましょうよー。初詣も行ってないし」
「行きたいならメンバー誘えば」
「京さんと行きたいの、知ってる癖に」
「…………」


ふーっ、と煙草の煙を吐き出してるきを見やる。

何だかな。
別に切れてまで断る理由もない事柄やし、こう言うるきはそれをわかっとって引き下がらんかったりする。


つーか、まだおせち残っとんかい。
2人しかおらんのやからもっと考えて買えや。


確かに部屋にずっと籠っとるけど。
身体はなまってしゃーないな。

僕は筋トレするけど、るきは筋トレしてもすぐヘコたれんねんな。


そんな事を考えよったら、何か気分転換したなって来て。
るきの思い通りになるんはムカつくけど、たまにはえぇか。


「はー…めんど」
「え?」
「飯食いに行くか、おせち食べ飽きたし」
「マジですか。TSUTAYA行きます?」
「ついでにな」
「スーパーも」
「それは1人で行けや」
「えー。何かおせち利料理ってアレンジ出来ねーかなー」
「来年は考えろや」
「はーい、来年も一緒に過ごすから考えておきます」
「…はいはい」


しつこい程くっついて離れんかったるきが、出掛けるとなったら嬉しそうに離れて用意をし出した。

何だかんだ、るきのペースなんが癪に障るけど。
それでもえぇわって思っとる所がホンマ腹立つ。


灰皿に煙草を揉み消して。

正月のオフ、正月らしい事は料理以外してへんけど、僕らの過ごし方やしなって、重い腰を上げた。


「うわー、外寒ー。ヤバいっすね、これ」
「帰る」
「京さん美味しいご飯食べに行きましょうよ。帰らないで下さい!」
「………」


外出てやっぱ後悔した。




20130105




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