お前の腕の中/敏京




「…きょーぉ君、お風呂入る?」
「んー…」
「寝ちゃダメだよ。後処理しなきゃ大変だよー」
「…なら中出しすんなや」
「ゴムした方がいい?」
「…いらんけど」
「どっちだよ。はい、抱っこー」
「うざ…」


仕事帰り、当然のように僕んちについて来て。
2人で当然のように飯食ってゲームしてヤッて。

終わった後、敏弥が僕にベタベタ引っ付きよったんやけど、僕が眠くてうとうとし始めたらベッドから起き上がって風呂場で湯を溜め始めた敏弥。

ケツん中は敏弥の精液で違和感あるし、風呂入りたい気持ちはあるけど身体動かすん怠いからじっとおったら、敏弥に身体を起こされた。


「ちょ、敏弥、自分で歩くし」
「えー?そう?」


敏弥にそのまま横抱きされそうになって、慌てて腕で突っぱねた。
敏弥は残念そうに言いながら僕に肩貸すだけにして、2人で浴室に入る。


「別に京君ぐらいお姫様抱っこ出来るのにー」
「そんなん知っとるけど、僕はされたくない」
「あはは。京君ちっさいからちょうどいいよねぇ」
「殺すぞ」
「やーだー」


敏弥は笑いながら、シャワーの湯を出して僕の身体を洗い出した。
僕はされるがまま。

にこにこ笑っとる敏弥も全裸で、敏弥が屈まん限りは敏弥の胸板が見える。

ガリガリの前よりも、少し筋肉のついた身体。
ひょろ高いだけやったのに、何や男らしいなって来たやん。

それはそれで、筋肉つけなアカン理由があるからやけど。


「なーに見てんの」
「…筋肉ついたなって」
「あー、筋トレ頑張ってるからねー。おかげで駅弁も出来るようになりました。京君も大満足だね!」
「アホか」


笑って言う敏弥に呆れて、べしっと胸板を叩いた。

僕の身体を流して、シャワーの湯を流したまま僕の背後に回って後ろから片腕で抱き締めて来た。


「中の出すよー」
「ん…ッ、」


敏弥のされるがまま、僕は浴室の壁に手を付いて、腰を突き出す形になる。

敏弥が耳元で呑気な声を出しながら、僕がさっきまで敏弥を受け入れとった場所へ、指が1本入り込んで来た。
あんま意識せんとこ思っても、身体は反射的に敏弥の指を締め付ける。

ゆっくり動いた敏弥の指が、僕の中に出した敏弥の精液を掻き出して行く。

流れるシャワーが身体を伝うと共に、流れ消える、僕の身体で役割を持たない精液。


敏弥の体温を背中に感じながら、その流れてく様を見下ろして。
小さく息を吐いて、耳元にある敏弥の顔に微かに擦り寄る。


後処理ってわかっとる指使いでも、情事後の身体はゾクゾクしたモノが背筋を這い上がる。


「後ねー、やっぱ大好きな恋人を守れるぐらい、逞しくならなきゃダメじゃん?」
「……ッ」


こう言う時に、そんな事を言う敏弥は卑怯やと思う。
いつもの様に、軽口叩いとけばえぇのに。


ちょっとでも口を開いたら、自分のいつもの台詞と違う言葉が出て来そうやって。

代わりに、敏弥を見上げたら、にっこりと笑った敏弥にキスをされた。


「はい、出来たよ。お風呂入る?」
「ん」
「あったまろうねー。風邪引かないでね」
「ガキか」
「いーえ、可愛がってるんです」


狭い浴槽に、敏弥と2人、敏弥の胸元に背中を合わせて身体を折り畳んだ状態で浸かる。


「京君も筋肉ついて来たよね」
「うん。もうちょっと筋肉ついて欲しい」
「大好きな恋人を守る為でしょ?ね?」
「や、変態に近寄る人なんておらんやろ」
「いるかもよー?俺が拐われちゃったらどうする?」
「事務所に言う」
「そこは俺が助けるって言ってー!」
「ちょぉ、暴れんなって」


僕の身体を後ろから抱き締めた敏弥がゆらゆら揺れて来た。
そのまま、キツく抱き締められる。


狭い浴槽の中で、アホな事言うとるけど。
それはそれで楽しい。


逞しくなった、敏弥の腕に抱かれながら。




20121201



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