10月10日体育の日/敏京




「あ、京君、今日は体育の日らしいよ」
「は?何?」
「10月10日で、体育の日」
「ふーん」
「って訳でー、京君もちょっと外で運動してみようよ」
「え、絶対無理」


スタジオでの練習中。
休憩するって事で、京君は休憩室のソファに座って用意された食べ物を色々物色してた。

何となく携帯チェックして、日付を確認するとゾロ目だったし体育の日だって事思い出したから。
当然の様に京君の隣に座った俺は、京君にその事を伝えたんだけど。

そもそも体育の日って何だっけ。

もう学生でもないし、仕事の関係で曜日感覚も全く無いからよくわかんない。

京君は超興味なさそう。


「そう言えば京君て運動、ってかスポーツしてるの見た事ないね」
「…お前なぁ、僕が太陽の下でスポーツやるように見えるん」
「えー楽しいよー」
「お前はな」
「まぁ京君は夜のスポーツの方が得意だもんね」
「オイコラ意味わからん事言うな」
「ホントの事じゃーん」


個包装のお菓子を食べながら、俺の事を睨む京君にニッコリと笑い返して京君の髪を撫でると嫌そうに手を払われた。

まぁ、他にメンバーいるしね。
でも2人きりの時はOKだから、触られるのが嫌な訳ではない所が可愛い。

好き。


お菓子食べてる京君をじっと見てたら、チラッとこっちを見て来た。


「…なに」
「ん?見てるだけー」
「見るな」
「嫌です。俺の目は京君を見る為にあるんです」
「潰したろか」
「京君が一生世話してくれるならいいよ。あ、でもやっぱ京君の顔が見えなくなるのは嫌だなぁ」
「うわ。冗談やろ、アホが」
「あはは。あ、でも体育の日って目の日でもあるらしいよ」
「は?」
「何かー数字の10月10日を横にしたら目に見えるから、みたいな?」
「何それ。こじつけもえぇトコやな」
「京君、目いいよね。いいなー」
「んー」


ステージから客席もよく見えるって言ってたし。
俺もコンタクトはしてるけど裸眼はほとんど見えないしなー。

普段は眼鏡だけど。


「敏弥そんな目ぇ悪いん?」
「うん」
「ふーん」


そう言って京君は俺の顔に手を伸ばして来て、掛けてた俺の眼鏡をするっと外した。
一気にぼやける視界。

まぁ京君近いし、表情とかは何となくわかるんだけどね。


「うわっ、めっちゃ度キツいなコレ」
「そー?」


京君は俺から取った眼鏡を掛けて笑ってた。
何て可愛い事するんだこの子。


「敏弥眼鏡無かったらこんな風に見えとんや」
「ピント合わせる為に眉間にシワ寄せたりするから、目悪いと不便だよねー」
「あぁ、あれガン飛ばしとんかと思った」
「違うっての」


そう言って、俺の眼鏡を掛けたり外したりして普段見えない世界を楽しんでる京君の顔が、眼鏡無しではハッキリと見えないので顔を寄せる。
身体ごと。


「…何。近いんやけど」
「だって眼鏡無かったら見えないんだもーん」
「返す」
「いいよ持ってて」


京君は俺が寄った分、後ろに下がったけどソファだから限界がある訳で。
差し出された眼鏡を持った京君の手に押し返されるけど。


「もー近い言うとるやろ」
「俺の目は京君を見る為にあるので。存分に見ておこうかと」
「いや意味わからんから。やっぱ潰すぞお前」
「だからーその時は京君が一生お世話してね」
「嫌や。何で僕が世話せなアカンの。お前が僕の世話するならえぇで」
「もー意味わかんねーよ!我儘!そう言う所が大好き!」
「煩い」


思わず京君に抱き付くと、ガンガンと背中を叩かれた。
地味に痛い。


ちゅーしようかと思ったけど、皆がいる所でしたら京君が本気で怒りそうだからやめた。
その分、部屋でいちゃいちゃしまくろう。


「京君大好き。体育の日だし、夜のスポーツ頑張ろうね!」
「は?頭湧いとんちゃうかお前」
「照れんなよ」
「今日1人で帰るから」
「わかった。今日は京君ちだね」
「全然わかってへんやろ、ボケ」


笑って頭を撫でて、京君から離れる。


そんな事言っても、結局は京君が折れてくれる事も知ってるから。

ホント、可愛いよね。
大好き。




20121013



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