寝てる時と起きてる時/敏京




「…さっむ…」
「……」


何となく肌寒くて目を覚ます。
隣には敏弥が寝とって、男2人では足りひん布団を更に自分の身体に巻き付ける。

暖房つけよか。
でも何処にあるかわからんし、探すんめんどい。

ヤッた後、軽くシャワー浴びて寝たから下着しか身に付けてへんし寒い。

もう秋か。
夏の暑いんも鬱陶しいけど、さむいんも嫌や。


枕元に置いた携帯を探して時間を確認。
今日も仕事あるけど、起きるにはまだ早い時間。

二度寝しようと目を閉じる。
けど、一回目が覚めると何となくトイレ行きたくなって来た。


寝返りを打つと、僕に布団をほとんど取られた敏弥は全裸んままうつ伏せで寝よった。
敏弥は一回寝たらなかなか起きひんしな。


トイレ行きたいけど、寒くて布団から出る気にならんくて枕に半分埋まった敏弥の顔を見つめる。


寝とったら変態な事も言わへんし、普通に綺麗な顔しとんのになー。

敏弥の寝顔を見て、そんな事を思いつつ、ちょっと頬をつつく。

あー柔らかい。


かわえぇ。


暫く無心で敏弥の頬をつつきよったけど、トイレ行きたい欲求が無視出来ひんくなって来たから舌打ちしてベッドから這い出す。


寒ッ。

下着だけやと寒くて、勝手知ったる敏弥の部屋のクローゼットを勝手に漁る。
上下黒のスウェットが出て来たから、それを着込むと敏弥サイズやからかめっちゃデカい。

あいつ無駄に身長デカいねん。
決して僕が小さい訳やない。

足元と腕を捲ってから、トイレに向かって用を足した。


手を洗って、またベッドに入る前に暖房のリモコンを探して暖房を付ける。
また敏弥に加湿器出しておいてもらお。


頭を掻きながらベッドに戻ると、端っこで寝とった敏弥が布団を巻き込んで真ん中で寝とった。

図体デカい癖に、真ん中で寝やがったら僕が寝る場所ないやん。


「チッ。敏弥、邪魔」
「んんー…」


さっきまで散々眺めた、可愛いって思っとった安らかな寝顔に途端にムカつく。

僕が壁側で寝とったから、敏弥の身体を跨いで押す。
布団も取るな。


グイグイ敏弥の身体を押して自分の場所を確保しとると、敏弥が唸ってうっすらと目を開けた。


「…何だよ、もー…」
「敏弥が邪魔やから」
「はいはーい…」
「ちょ、」


寝起きの不機嫌そうな声で、手を伸ばして来た敏弥に腕を掴まれて、そのまま敏弥に抱き込まれた。
布団を掛け直されて、ぽんぽんと柔らかく背中を叩かれる。


「暑苦しい…」
「…んー?寒いでしょー…」
「ん、」
「京君あったかいー…」
「……」


素肌のままの敏弥は、寝とるからかくっついたトコからあったかい。
僕に足を絡めて、がっちり抱き枕にしやがった敏弥はまたすぐ寝たんか、寝息が聞こえて来た。


首筋に顔を埋めると、敏弥の匂い。


敏弥は調子乗るから絶対言わんけど、この敏弥の腕の中や匂いが好きやったりする。
いつもくっつかれてウザいけど、それでも振り払わんのはやっぱり好きやから。


本人には絶対言うたらんけど。
調子乗られたらイラッとするし。

これは僕の性格上しゃーない。


少し首を伸ばして、敏弥の顎にキスしてまた目を閉じる。
敏弥が僕を抱き締める力が強くなった。














「うわっ、京君、遅刻しそうだよ!起きて!」
「ん゛ー…っさい」
「遅刻したら薫君に怒られるよー!」
「としやだけやから、へいき」
「あぁあぁー…ホントそうだよ!はい、起きて!」
「んー…」


気持ち良く寝とったら、敏弥が何か慌てた声を上げとった。

何か布団を剥がれる感覚。
眠い中、無理矢理覚醒させられて眉を寄せる。


「うわっ、京君、俺のスウェットぶかぶかじゃん!何してんの!?可愛い!超可愛い!!」
「ちょぉ朝っぱらからうっさいくっつくなウザい!」
「可愛いぃいぃいッ」
「黙れキショいわ!!」


テンション高く抱きついて来た敏弥を押し返す。

こいつホンマうざい。

僕にまとわりつくな。


「ちょっと立って!そのぶかぶかな姿見せて!」
「嫌やわもう脱ぐ」
「それはそれでいいよ!」
「お前部屋から出ろや」
「ここ俺んちだもーん」


寝とる時のが可愛い。
本気で。


振り払うん諦めたら敏弥にキスされて、笑って僕を見つめるから。
まぁえぇかって、思ってもうた自分にムカつく。




20121001



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