デート(京談)/京流




るきとオフの日が重なった時、1人で映画観ようと思ったら、るきが一緒に行きたい行きたい言うてついて来た。
別にるきとの映画の好みが違う訳ではないから、るきと映画の感想言うとっても的外れなこと言われるとかそんなんやないから、しゃーなく付き合わす。

いつも何処行く気やって、気合い入れまくった服を着たるきと映画観て、飯食うには早い時間やったから休憩がてら入ったカフェ。

るきがテラス席がいいー言うて、行き交う人が観察出来るテラス席。

頼んだモン食い終わって、それでもるきの話は尽きひんくて珈琲飲みながら適当に頷く。


人の写メ撮ったり喋ったり、忙しい奴やなぁ。


でもまぁ時々、ふと会話が途切れる時があって。
別に気にせんと歩く人を観察。

肘を付いて、何となく見とるだけ。


したら1人でひょこひょこ歩く子供を見かけて。


こんな人がいっぱいおるトコなんて迷子になるんちゃうかーって思いよったら。


後ろから母親らしい人が来て、その子供と手を繋いで歩いてった。
嬉しそうな子供の顔が見えた。


「京さんて、子供好きなんですか?」
「…別に」


るきの声で自分がガン見しとったんに気付いて視線を逸らして珈琲を一口飲む。


「子供可愛いですよねー」
「……」
「京さん自分の子供欲しいですか?」
「…別に」
「何か将来日本の技術が発達して男でも子供生めるようになんねーかなー」
「色々と崩壊しそうな気ぃするな、それ」
「でも京さんと俺の子供だったら欲しいー絶対可愛いっすよ」
「……お前ってかなり親馬鹿になりそうやしな」
「女の子だったらヤバイっすね。男の子だったら…バンドやるとか言いそう」
「親がそうやとなぁ」
「影響受けまくりますよねー…娘で彼氏にバンドマン連れて来た日には怒ります」
「大人気ないな」
「えーだって嫌ですよ!取り敢えず、京さん以上の人じゃねーと」
「そこは自分以上って言えや」
「あははっ」


もしも、の話で楽しそうに笑うるき。
時々話に出る、ありえへん話。


現実見たら無理やから、るきは笑い話にしとんか。
楽天的やからあんま気にしてないんか、そんなに重大そうに言わへん。

まぁ答えを与えてやる事は出来ひんのやけど。


「まぁバンドやってる内は、子育てとか無理ですよねー」
「家空ける事多いしな」
「でも子供は将来、技術の向上に期待するとして」
「お前生む気か」
「結婚式は日本でも出来るトコあるらしいですよ、京さん」
「ふーん」
「わざわざ海外挙式しなくていいんで、スケジュール取りやすいですよね」
「誰がすんねん」
「え、ダメですか?ちょっと俺やってみたいんですけど、夢の国での結婚式」
「は?」
「最近、夢の国では同姓同士の結婚式出来るようになったんですよー」
「節操ないな、夢の国」
「夢の国だから夢があるじゃないですか!」


メンバーだけ呼んで、結婚式挙げたいって。
何でそんな面倒な事せなアカンの…実際問題、どこで情報漏れるかわからんような事は出来ひんわ。


「…お前なぁ、そんな事やりたいなら出来る女探したら」
「嫌ですよ。京さんとじゃなきゃ面倒臭いです」
「…お前結構めんどいな」
「あれ、今知りました?」
「前から知っとるわ、アホ」
「ですよねー」
「もうえぇわ、どっか店行こ」
「はーい」


笑って残りの冷めたカフェラテを残して、るきが鞄の中にiPhoneを入れた。

伝票を持って立ち上がる。
僕の後ろを付いて来ながらサングラスを掛けるるきは、どっからどう見ても男で。

表面だけ見れば、コイツと親密な関係にあるなんて誰も思わんこの状況で。
中身は変わらず、おかしい思考回路しとんなって思うけど。


冗談とも本気とも取れる、るきの言葉は。
何の約束も誓約も出来ひん、この関係を繋いどくのに必死にも取れて。


今の所は、手放す気がない僕は、それが滑稽にも見えて、可愛かった。
本人には言うたらんけど。


レジで金払って、自分らも人混みの一員になる。


「でも京さん夢の国行きたくないっすか」
「刺青あるから無理」
「あ、そっか。刺青も京さんの魅力なのに理解出来ないとか夢の国もダメですね」
「お前は何やねん」


持ち上げるか貶すか、どっちやこの気紛れが。

そんな、るきとのオフ。
いつも通り。




20120928



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