デート(ルキ談)/京流




オフが重なった日。
てっきり京さんと過ごせる物だと思ってたのに、映画行くって言われて。

京さんが時々1人で行ってる、超マイナー映画が上映される映画館に半ば無理矢理着いて来て。
映画を観終わって夜ご飯食べるには時間帯が早いって事で、映画館近くのテラス付きのカフェに京さんと入る。


夕方頃の時間、昼間は少し暑いけど日が陰って来ると涼しくなって、過ごすにはちょうどいい。


映画の感想を言いながら、メニューを眺めて甘めのカフェラテとケーキを頼んだら。
京さんに「デブるで」って言われたけど、京さんも珈琲とケーキ頼んでた。

何だかんだで、この人も甘い物好きなんだよなぁって思う。


サングラスを外して、涼しい風を受ける京さんを眺める。
もう季節は秋で、日没は早い。

都会のビルの合間に見える空。

少し赤く色付いた空は、青色とのグラデーションが綺麗で。


iPhoneを取り出して、京さん越しに空を撮る。


…うん、京さんと背景が上手く撮れた気がする。


「…何撮っとんや、お前」
「これ、京さん格好良い」
「……」


京さんに写メったばっかの画像を見せると眉を寄せた。
何か言いたそうだったけど、ちょうど店員の声と共に2人が頼んだ物が運ばれて来る。


カフェメニューだから、ケーキ1つにしてもちょっとだけお洒落に盛り付けられてて。
カメラを起動させて、カフェラテとケーキを撮る。

京さんのも一緒に。


「京さん待って、ちょっと待って下さい」
「…何やの」
「あ、もう撮れました。有難う御座居ます」


珈琲カップを持ち上げようとした手を止めて、何枚か写メる。


「見せろ」
「はい」
「…僕の分も写っとんやけど」
「京さんの手がちょっと写ってるんがいいんです。指に入れ墨入ってるんで一発でわかりますよね」


下手に知り合いとは写真撮らせない京さんだけど、同業者だしわかってるからか。
俺が事あるごとに写真を撮るからか、あまり咎められない。


写真を確認して返される。


「そんな写メってどうするん」
「京さんとの思い出です」
「また携帯落無くしたら殺す」
「あれは困ったんで、気を付けます」


苦笑いをして、甘めのカフェラテを口にする。
まぁこまめにパソコンに移してるからバックアップは大丈夫なんだけど。

ロックしてるし。


また映画の話をしながら、スイーツ食ってるって。
すげーデートっぽい。

って、自覚したらちょっと嬉しくてニヤけたら、それを見た京さんにキモいって言われた。


別にいいし。
だって、京さんが1人で行く映画館にも連れてって貰えたし。

こうしてカフェでお茶とか、穏やかな時間一緒に過ごせるとか。
状況を自覚すると、めちゃくちゃ嬉しい。

一緒に暮らして結構経つけど、お互い仕事が忙しかったりツアーだったり。
重なる時間はあまり無い気がする。


食べ終わって、まったりと京さんと喋る。
日はだいぶ傾いて来た。


「京さん夜ご飯なに食べたいですかー?」
「今ので腹起きたんやけど」
「俺も。どっか買い物行きます?」
「あぁ、えぇな。ちょぉアウター見たいわ」
「あ、いいですねー。俺も欲しい」
「お前服買い過ぎちゃう?」
「京さんも結構買ってますよ」
「そんでお前、僕の服着すぎ」
「だって京さんの服格好良いんです。ちゃんと京さんが着たの借りてますよ。新品は着てないです」
「当たり前やアホ」


京さんも俺の服やアクセ着たりしてんじゃん。

俺の着て雑誌に写る京さんとか、見る度にテンション上がるんですけど。


境界線が曖昧になる程、京さんとの生活が当たり前になって。
だから、たまにこんなデートが嬉しくなる。


飽きる事なんて、無いんだろうな。
恋い焦がれた相手だから。


「……やからニヤニヤすんな、キモい」
「はーい」




20120925



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