夏祭りB※/京流




行きがしんどかったら帰りもしんどかった。
本気で来年は祭りなんぞ行かんって思った。

途中るきも疲れたんか無言になって腕にまとわり付いて来るし。
振り払ったけど。


自宅の玄関を開けるとリビングのドアを開けっぱなしにして、タイマーにしとったらクーラーがえぇ感じに効いとって、息を吐く。


「あっちー…下駄で歩くと超足いてぇ」
「ホンマ怠い。暑い。疲れた」
「あ、俺のiPhoneここにあったんすか。後で写メ送って下さいね、京さん」
「知らーん」


荷物を玄関先に置いて、僕が行く前に置いたるきのiPhoneをるきが見つけて、触りながら下駄を脱いで座り込んだ。

浴衣が着崩れるのも気にせず、るきは離れてたiPhoneに夢中みたいやった。

どんな格好やねん、お前。


「おい、中入れ。つーか風呂沸かせ」
「ちょっと待って下さい、虎に返信途中で行っちゃって…写メ…」
「……」


お前僕の言うた事とメール、どっちが優先やねん。

なぁ。


溜め息を吐いて、るきの腕を掴んで無理矢理立たせる。


「うわ…!?痛…っ、え、京さん…!?」


るきは驚いた声を上げて、浴衣で歩きにくいらしくちょっと躓きそうになりながら僕について来た。

寝室のドアを開けると、ここは冷房つけてへんかったから暑い。
真っ暗な部屋ん中、デカいベッドの上にるきを投げた。


「え!?京さん、何…ッ」
「……」


ベッドに乗り上げて起き上がろうとするるきの上に覆い被さった。
目が暗闇に慣れて来ると、僕に組み敷かれて驚いた顔をするるき。


今思えば、浴衣を脱がすっつーシチュエーションはなかなか無いし。
これはこれで楽しいかも。


るきの浴衣に手を掛けて脱がしにかかるとるきが焦ったようにしながら少し抵抗して来る。


「や…ッ、京さん待って、シャワー浴びてから…!」
「別にえぇし」
「でも…っ」
「あ?お前なぁ、僕の言う事が聞けんの。何でも言う事聞く言うたん、お前やろ」
「…ッ…!」


グダグダ言うるきの顎を掴んで、顔を近付けて間近で言うと、るきの瞳が揺れた。

抵抗しとった手は、僕の腕に添えるだけんなって。
そんなるきの唇に噛み付くと大人しくなったるきは素直にソレに応えて来る。

長ったらしい帯を解く為にるきの身体を転がして。
浴衣がはだけたまま、るきの腕を掴んで後ろ手に捻り上げる。


「え…!?京さん…!?」
「何」
「や、待っ、普通に…!痛ッ」
「別に普通やろ」


解いた帯を、るきの両手首に巻き付けて後ろ手に縛る。
るきが枕に顔を押し付けたまま僕を振り返って、逃れようともがくけどキツく縛り上げたれば痛みに顔をしかめた。


「えぇ格好」
「ッあ…京さ…」


笑うと、るきの目付きが変わる。
自分の置かれた状況に飲まれて、被虐思考にスイッチを切り換えたコイツは、ちょっとぐらい乱雑に扱っても感じる、もう1人のるき。
僕の征服欲が満たされる、長年に渡って培われたもの。


僕もTシャツを脱いで、床に放り投げる。

仰向けに転がして、喉元に噛み付くとビクッと跳ねる身体。
るきの香水と汗の匂いが混じる。

中途半端にはだけた浴衣の中、素肌を撫でて触れた乳首を思い切りつねると声を上げる。
そっから、優しく指の腹で押すと僕の身体の下でもどかしげに身を捩った。


「あ、京さん…好き…」


首元に吸い付いたり甘噛みしたりしながら。
甘えた声のるきの言葉を聞いて、胸元から腰へと手を滑らせる。
ゆっくり下着を脱がしていったら、浴衣が微かにかかったままの素っ裸のるき自身は既に勃ち上がっとった。

ちょっと触っただけやのに、この淫乱。



















ベッドサイドにあるローションを手に取って、指に絡める。
るきの足を開かせて中指で軽く押す。

期待に拓いていく身体はゆっくりと着実に僕の指を飲み込んでいった。


「あっ、ぁ…京さ、」
「力抜け」
「いい、からっ、もっと…!」
「は、この淫乱」
「ひァ…!?あっ、ぁ、気持ちぃ…」


優しくしてやる必要はないらしい。
ローションまみれの指を2本、無遠慮に突っ込むとるきは足を震わせて僕の指を締め付けた。

中を掻き回しながら喘ぐるきを見下ろしてまた指を増やして広げる。

もう浴衣なんて意味を成してなくて、ベッドの上に散るそれを見て自分の携帯をポケットから取り出す。


「お前そう言えば後輩に写メ送る言うとったやん。撮ったるわ、こっち向け」
「あっ、あ、え…!?なに…ッ」
「やーかーら、こっち向け。オラ」
「やァあ…っ、やだ…京さんやだぁ…!」


カメラを構えてるきの顔から身体を収めながら、ぐちゅぐちゅローションの音を響かせて指を穿つと。
最初は意味がわかっとらんかったるきがぼんやりした顔でこっちを見て、カメラを目で捉えて、シャッター音が聞こえたら喘ぎながら嫌がって顔を背ける。


「僕が撮ってやる言うとんやろ。こっち向かんかったらこのまたバルコニーに放置するで」
「や…ッ、あ、何で…っ」


るきん中から指を引き抜く。
物足りなさそうにヒクつくそこと、どうしようもないるきの表情。

浴衣乱れて、手は縛られて、何やレイプされとるみたい。
別にハメ撮りした事あるんやからカマトトぶんなや。


「見せたかったんやろー?後輩に。るきのホンマの姿見せたったらえぇやん」
「や、やだ…、御免なさ、許し、」
「ほなバルコニーに放置な」
「い゛…ッ」


るきの髪を掴んで引き上げる。
別に今は夏やし、夜でも風邪引かんやろ糞暑いし。


「やだ…ッごめ、言う事聞きますから…!」
「何回言わすん。それが当たり前やろ」
「御免、なさい…」
「まぁえぇわ。ほな撮って下さい、は?」
「……」
「おい」
「ッ、撮って、くださ…、」
「最初っから言えよグズ」
「御免なさぃ…っ」


自分の携帯をベッドに投げて、またるきの身体をベッドに戻す。
るきの泣きそうな顔を見ると嗜虐思考に苛まれる。

それは全部、コイツが悪い。




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