深夜の出来事/敏京



「敏弥、これやって」
「え?」
「ブリーチ」
「え、今から?」
「うん。何か明るくしたなったん」
「いいけど…よくあったね、ブリーチ剤」
「前やろう思って、めんどくなってやめたん」
「全く、気分屋ちゃんなんだから!」
「何それキモい」


夜中、京君ちでマッタリ過ごしてたら京君がいきなり起き上がって棚の方を漁り出した。

京君が何か取り出して来た物を俺に渡して来た。
よく見る市販のブリーチ剤。

京君のちょっとプリン気味のオレンジがかった髪の毛を見る。

夏だからねー。
明るくしたいのかな。

それを受け取って、箱を開ける。


「風呂場でする?」
「んー。うん」
「汚れていいタオルとかあるー?」
「そこら辺適当に」
「白いのとかあったらいいんだけど…」


中身を取り出して片手に持って、京君ちのタオル置き場から白っぽいタオルを1枚取る。

京君は、Tシャツだけ脱いで上半身裸になった。


一緒に風呂場に入って、京君は浴槽の中に足を向けた形で浴槽のフチに座って。
その後ろに立って、備え付けの手袋をしてブラシにブリーチ剤を練り出す。


「失敗すんなよ」
「えー、わかんなーい」
「怒るで」
「頑張りまーす」


軽口を叩きながら黒くなった根本を残して、京君の髪にブリーチ剤をつけていく。

最近は撮影ないから、金髪にしても問題ないよねー。


微かに鼻唄を歌いながら、全体に丁寧にブリーチ剤をつけて。
最後に根本も綺麗につける。

ブラシで京君の髪をオールバックにして。

よし、出来た。


「京君、塗れたよー」
「おー、ありがとさん」
「どのくらい置く?」
「かなり抜きたいし、1時間以上置く」
「マジ?髪の毛死ぬね」
「今更やろ。退いて、DVD観る」
「はいはーい」


京君が振り返って、俺の身体を退かしながら浴槽から出て来て部屋に戻る。
仕事柄仕方無いんだけど、京君は金髪多いし触っても髪きしきしだったなー。

将来ハゲ決定だね。
京君だったら、将来ハゲても愛せるよ、うん。


一人納得しながら京君の後ろをついてって、DVDをセットして座り込み京君の背中に回る。


「…何やの、ブリーチ剤つくで」
「あーそれは困るー」
「わかったらこっち」
「はーい」


京君の隣の床を叩かれて、大人しく隣に座る。
映像を観る京君は、オールバックな髪型でいつもと違うのがちょっと新鮮。

可愛いなぁ。


タオル肩にかけてるから、上半身裸でもあんま見えないのが残念。
時々乳首見えるけどね。


「…何」
「んー」


可愛かったから、隣にいた京君の唇の端にちゅっとキスをした。

京君は横目で俺を見て来て、顔に手をやり押し退けようとして来たからその手を掴んでまたキスをする。


「ちょぉ邪魔…!」
「あ、こら、暴れなーい。ブリーチしてる途中なんだから」
「ほな触んなボケ」


京君に迫ると、振り解こうとした京君の手。
ちょっと暴れたから肩にかかったタオルが落ちた。


「ちゅー」
「……」


ブリーチ剤が髪についてるから、押し倒せないし抱き寄せられないけど。
京君も気を使って強く抵抗して来ないしね。


「…お前なぁ、ちょっとの時間ぐらい待てんの」
「だって京君可愛いんだもん」
「僕の所為か」
「うん。何かいつもと違う雰囲気で興奮する」
「変態」
「あは」


撮影時には全然違う雰囲気になるんだけどさ。
プライベートでってトコが重要だよね。


段々色が抜けて来た髪の毛を見て、嫌そうな顔した京君の唇にキスをした。


「色抜けるまで待ってたら、何してもいいの?」
「…お前が言うと何か嫌やな」
「じゃ、大人しく待ってよっかなー。金髪京君」
「……2時間以上置くかな」
「髪の毛マジ死ぬって」
「今も頭皮痛い」
「大丈夫、ハゲになっても愛してるから」
「死ね」
「あ痛ッ」


軽く叩かれた。

愛してるって言ったのにーって笑ったら、そう言う問題ちゃうやろって京君も笑った。

やっぱ可愛いって思った。


ブリーチし終わったら、頑張っちゃおっかなー。




20120725



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