オンオフ/京流
仕事行くまでの時間、空いてるから部屋の掃除。
前に買ったルンバは調子良く動いてくれるけど、たまに充電に帰れなくて床の途中で止まってたり。
物あんま置いてねーつもりだけど、もっとシンプルな方がいいのかなー。
最近ちょっと忙しくてガッツリ模様替えする時間取れねーし。
つっても、京さんにあんまり家具買うなって散々言われたんだよなー…。
確かに壊れたとかじゃなく買ってっけど。
ちょっと本気で怒られたから、今は自粛中。
や、今まではしょーがねーな的な許されてたんだけどね。
本気で怒ったら怖いんだもん、京さん。
一応、節電って事で空調は28℃設定にしてるから。
スチームモップ使って、キッチンのフローリングを掃除してたら動き回って結構汗かいた。
28℃って暑い。
じっとしてたらあんま思わないんだけどなー。
夏になると部屋着に出来る、京さんのツアTで軽く顔を流れる汗を拭う。
もうすぐキッチンの掃除終わるし。
あーでも掃除ってイイ。
綺麗になると超スッキリする。
ある意味ストレス発散。
「るきー」
「はーい」
「ワックスはー」
「え、ありません?」
「ない」
「ストックあったかなー」
「早よ」
「はいはーい」
1回スチームモップを置いて、ストック置き場に向かう。
煙草とかワックスとかスプレーとか、消耗品が置いてる棚を開ける。
京さんと一緒に使ってるヤツ。
あ、あった。
でもストック無くなるし、また買っとこ。
「はい、京さん」
「ん、どうも。これ捨てとけ」
「ゴミ箱そこにあるじゃないですか」
「知らん」
「もー」
新しいワックスを渡したら、代わりに京さんに空になったワックス容器を渡される。
苦笑いをしながらソレを近くにあったゴミ箱に捨てる。
京さんも今日は仕事があるって言ってたし、気紛れでヘアセットをしてた。
いつ見ても格好良い。
京さんの気紛れは貴重で、自分が何してたか一瞬忘れてガン見してたら、座って鏡を見ながら髪をイジってた京さんに睨まれた。
「ッ!うわっ、あっぶね…!」
「何しとんやお前…」
何となく、いけない事してた様な気分になって掃除に戻ろうとしたら床を這い回ってたルンバを踏みそうになって、よろける。
京さんにそんな姿をばっちり見られて、呆れた声を出された。
格好悪い…。
まぁ、今の姿も十分だけどね。
素っぴん眼鏡で寝癖の髪そのまま結んだだけだし。
格好良いのは京さんトコのツアTだけ。
京さんと暮らし始めた時はそんな姿見せるとは思って無かったのに、慣れって怖い。
けど、京さんの油断した姿を見た時はテンション上がったなー、とか。
そんな事を考えながら掃除再開。
見えるフローリングはほとんどスチームモップかけたし。
棚の拭き掃除出来るかなーってチラッと時計見たら、意外と時間経ってて。
汗かいたからシャワー浴びて仕事行きたいし、次のオフに徹底的にやろう。
フローリングを綺麗にして、スチームモップを片付けて。
そのままシャワーを浴びて髪と身体を洗う。
髪乾かしてセットして、着てく服とアクセを選んでカラコンを装着。
京さんの斜め前に座って、さっき京さんが使ってた鏡で支度をしてると。
俺のその一連の流れを京さんはじっと見てた。
「…お前って、化粧して詐欺なんかと思ったら完全オフん時も詐欺やな」
「ダメすか」
「別に。偽物が好きな訳ちゃうし」
「いい意味に捉えますよ」
「おめでたい頭過ぎるやろ」
納得出来た、仕事用の自分を鏡で見てると、京さんにボソッと言われた。
誉める事をしない京さんの、遠回しの言葉は俺の中ではいい意味に変換される。
素が見せれる関係って、いいね。
京さん。
終
20120717
[ 309/442 ][*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]