3D/京流




るきの買い物の仕方はちょっと頭おかしいんちゃうかって思う。
まぁ俗に言う買い物依存症一歩手前、みたいな。

仕事上、あんま時間が取れへんかったら空いた時間に一気に買い物するっつーのは有りやとは思う、けど。


「京さん京さん、これ京さんの分です。柄綺麗じゃないですか?」
「……何それ」
「え、下着ですけど」


見ればわかるけど、一応聞いてみた問いに、るきはさも当然の様に返答して来て溜め息を吐く。


ソファに座る僕の足元。
床に広げられたショップ袋の中、ラグの上に座るるきが取り出して僕に見せて来たヤツは何か…派手なヤツやった。


「カルバン・クラインで買って来たんですけど、これ宇宙柄ですよ!青も綺麗じゃないっすか。京さん赤とか黒がほとんどじゃん」
「……」
「それでですね、これ!これちょっと欲しくて4種類全部買っちゃったんですけどー…」


るきが袋の中を漁って、4種類買ったっつー下着のパッケージを見せて来た。
いや僕別に下着買って来てとか何も言うてへんのやけど…まぁ整理整頓しとんは基本るきやから、僕の好きなブランドのヤツが新しく入っとったりいつの間にか古いん無くなっとったりする。

るき派手なん好きやしなぁ。


「これこれ!3Dボクサーパンツ!これ付属の3D眼鏡で見たら立体的に見えるんですよ!だから穿いて下さい今すぐに」
「嫌に決まっとるやん何言うとんお前」
「だって3Dに見えるんですよ!?凄くないですかこの下着!」
「いや別に。大体3D眼鏡で見るって何。下着を?」
「はい。何か最近、女の子から男に下着プレゼントするの流行ってるらしくて。これとか彼氏の『下着姿が見たい』って意味らしいですよ、プレゼントすると」
「何その煩悩まみれ」
「最近は女の子もあからさまになって来たんじゃないですか。と、言う訳で、京さんどうぞ」
「知らん」


差し出されたモンはパッと見で見たら白地に何か柄入っとんかなって感じのヤツやった。
つーかそんな訳わからんモン穿きたくないし。

僕はるきみたく派手な趣味ないし。


るきを冷めた目で見下ろしてテレビに視線を戻してチャンネルを変える。
あんま見たいモン無いなーって思いながら、バラエティ番組で止める。


足元ではるきが下着のパッケージを開けとった。


「まぁいいですよー。勝手に京さんの下着入れに入れときますからね。穿いたら教えて下さいね!」
「いや穿かんし」
「…下着チェックしますから」
「何その変態」
「だって下着を見たいって意味の下着ですよこれ!うわ、変!」
「変って言うてもうたやんお前」


るきが下着を取り出して広げた第一声。
お前…自分が勝手来た癖に。

つーかこんなトコで下着広げんな。

付属されとるらしい3D眼鏡を当てて、下着の柄を見とるるきはシュールと言うか。
何かキモい。
いつもの事やけど。


「…うーん、あんまり3Dに見えないですねー…」
「は、意味ないやん」
「…まぁせっかく買ったんで穿いて下さいね」
「自分で穿いたら」
「京さん穿いたら見てくれます?」
「絶対嫌」
「えー」
「…えーって…露出狂かお前」
「やーでもこれは俺的に勝負パンツにも成り得ない感じなんで」
「…ピンクとかも有り得へんと思うけど」
「あれは有りです」
「……」


るきの感覚ようわからんわー。

るきの下着気にしてからちょっと見るようにしてみたら結構派手な確率高いんやけど。
中身も重要って、僕しか見るヤツおらんやろ。

衣装着替える時はメンバーの前で着替える時もあるかもしれんけど。


「うーん、期待した程3Dじゃ無かったし京さん穿かねーなら新品だしれいたにでも押し付けよっかなー」
「…お前な」


るきの発言に溜め息を吐いて。
買ったモンの整理を始めとる様子を見下ろす。


周りを巻き込んで、迷惑なやっちゃなーって思う。
それは自分で何とか処理せぇよ。


「お前そんなにメンバーの下着見たいんか」
「えっ、それはちょっと気持ち悪いですね」
「なら自分で穿けよお前」
「うーん、京さんが見てくれるなら」
「だから見ぃひんって」
「やだ見て」
「気持ち悪…」


何だかんだで結局るきの話に付き合っとって。
いつもるきはアホみたいな事しとるなーって思うけど。

見ぃひん言うても、結局見る事になるんやから。


まぁるきが他人が穿いとる姿見たい言うんやったら、あげてもえぇと思うけど?




20120611



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