いつもの2人/京流




京さんと仕事帰りに待ち合わせして飯食って、タクシー乗って帰る前に歩いてTSUTAYAに行く。
結構何でも揃ってる大型店舗のTSUTAYAに入って、京さんは多分、自分が見たいであろう音源のコーナーに向かった。

俺も京さんの後に続いて、陳列された音源をサングラス越しに眺める。

たまに手に取ったりして。

あーまたジャケ買いとかしてみようかな。
最近何だかんだで音源とか買ってねーし。


京さんも何枚か手に取ったりして、音源を物色してた。


「京さん買うのあります?」
「んー。一応」
「…あ、これ俺も気になってたんですよ。また聴かせて下さい」
「はいはい。お前は何か買うん」
「俺は無いですねー…またちゃんとチェックしとかないと」


京さんが買う為に手に持った音源を見せてもらって、京さんに返すと。
京さんはそれを持って店内をうろうろし出す。

何となく、周りを見ながら京さんについてった。


不意に、目に入った文字。
ってか反射的に反応しちゃうんだけどね。


「あ、京さんの音源とかありますよ」
「…そりゃあるやろ」
「何かこう言う所で見るとテンション上がるって言うか、いいですね!」
「デカい声でアホな事言うなお前は」
「ま、全部持ってるから買わないですけど」
「…捨てるで」
「やです!レアなのとかもあるんですから!」
「知らんわ」


京さんのバンドが表記された音源を手に取って、何枚か見る。
京さんは呆れた様に溜め息を吐いた。


いや、持ってる物ばっかだけど、好きなバンドの見つけたら嬉しいじゃん。


京さんが俺を置いて行こうとしてたから、音源を元の位置に置いて慌てて京さんを追い掛ける。


今日は俺が欲しい物ある訳じゃねーから、京さんの買い物についてく感じ。


雑誌コーナーで立ち止まった京さんは、何冊か雑誌を手に取って。
俺もちょっと物色。


「あ」
「何かありました?京さん」
「お前おるやん、お前」
「え?あ、あー…」
「別人なるやんな、お前」


京さんが手に取った雑誌は、最近発売された俺らのバンドが表紙の雑誌で。


え、見るの?

京さん見るの?


俺が雑誌を家に持ち帰ったりする時もあるけど、あんま見ないじゃん、京さん。


パラパラっと捲られたページ。
衣装でメイクもヘアセットも施された俺の写真。
確かに別人だけどさ。


「格好良いでしょ?」
「は?」
「俺、格好良くないですか」
「は?」
「……。俺めちゃくちゃ格好良く写ってますよね」
「あー、るき目ぇ悪いもんな」
「どう言う意味ですか」


口の端を上げて、意地悪な事を言う京さんに憮然のした表情をしたら。
更に可笑しそうに笑った。


写真に目を通して、ページを捲る京さんの手。


「まんまの意味やん。…つーか、これ時々会う奴やんな?」
「あ、れいた?そうですよー」
「こいつも全然違うなぁ」
「一応、ヴィジュアル系なんで」
「普段の姿見とるからこれ違和感ありまくりなんやけど」
「鼻に何か巻いてますしね」
「これいつ取るん?」
「え、取りませんよ多分。これれいたさんって名前ついてるんで。これが本体で…って前言った気がしますね」
「あー…そんな事も言うとったなぁ…。ま、るきのバンドやしな」
「どう言う意味ですかー。ちゃんと真面目にやってますよ」
「うん、知っとる」
「……」


そう言って京さんは雑誌を閉じて、元の場所に戻した。

てっきりまたからかわれるのかと思ったら、違う京さんの言葉に拍子抜け。
と言うか、当たり前にサラッとそんな事言われると、ときめくんでやめて貰えませんか。


だから、京さん好きなんです。


「京さん立ち読みしたこの雑誌買おうかな」
「ストーカーか。きっしょくわる」


目を細めて嫌そうな顔する京さん。

そんな視線も好き。




20120425



[ 295/442 ]

[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]



人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -