お花見日和な1日B/京流+玲




休日に男3人、ベンチに座って何語ってんだってハタから見たら思うだろうけど。
内2人は恋人同士ですからね。

楽しそうで何よりですルキさん。


まぁ俺も。
花見とか行く機会も無かった訳だし、来て良かったと言えば良かったけど。


もう今は5人で馬鹿騒ぎせずに個々で楽しんでる感あるし。
会社ぐるみで花見とかしてくんねーかな。


デジカメで写真撮ったり、携帯で写メったり。
忙しそうだな、ルキ。


「日も暮れて来たし寒いし帰る?花見見て満足したし」
「あーそうだな」
「俺腹減ったし」
「お前さっき団子食ったやん」
「あれおやつですから。京さん晩飯何食いたいっすか」
「…んー…。鉄板焼」
「じゃ、れいた鉄板焼の美味しい店宜しく」
「俺が探すのかよ。お前のお得意のiPhoneで探せよ」
「しょうがないなー。れいちゃんは」


デジカメの画像をチェックしながら京さんと話してたルキが、不意にこっちを見た。

まぁ花見って宴会するってイメージだから、何の用意もしてねー俺らがそんな長居も出来ねーし。
つーか花見て感傷に浸る繊細さは生憎持ち合わせてないんで。

ルキと京さんは知らねーけど。


立ち上がって、飲み終わったコーラのペットボトルを飽和状態のゴミ箱に捨てる。


「京さんこの店とかどうですか」
「不味かったらシバくで」
「…美味しい、筈!」


iPhone片手に京さんと話してるルキを見て。
宴会に勤しむ人混みを抜けて、桜並木を後にした。














「うぁー京さん怠い…」
「飲み過ぎやボケ。くっつくな!」
「だってー」
「だってって何やねん今すぐ放り出すぞ!」
「やだやだ。京さん好きだから捨てないで」
「なら離れろや酔っ払い」
「離れたら京さん逃げるもーん」
「あ゛ー、糞が」
「……」


花見終わって、ルキが見つけた鉄板焼行って3人で飯食ってたんだけどさ。
俺は車だから飲めねーけど、ルキがテンション上がって結構飲んで、今帰りの車の中。

2人を送る為にマンションに向かってるんだけど、後部座席のルキが酔っ払って京さんに絡みまくってる。


京さんの腕に絡んで、完璧甘えた状態のメンバーをバックミラーでチラ見して苦笑い。

京さんめちゃくちゃ嫌そう。

口では言ってるけど、本気で振り払わない辺り、仲良い、のか?


「京さんもうちょっとで着きますんで」
「もうコイツその辺に捨てて帰ってえぇんちゃう?」
「いやいや、一応部屋の中に入れてあげて下さい」
「チッ」
「京さん何れいたと喋ってるんですか!れいたの方がいいんですか!」
「なぁ、やっぱコイツ捨てて帰ろうや」
「や、勘弁して下さい」
「れいたも京さん狙ってんじゃねーぞ」
「狙ってねーよ。お前飲み過ぎだろ…」


俺にまで絡み出したルキ。
まぁコイツが酔っ払うのは初めてじゃねーから別にいいけど、京さんの事もあるしやりにくいっつーの。


「京さんは俺のだから!ねー京さん!」
「黙れ」
「嫌でーす」
「死ね」
「ムーリー」
「……」


うわー。
マジ京さんがウンザリしてる。


後部座席からそんな空気が漂って来てるから。
ルキ空気読めよ。
いつも読めんだろ。

まぁ、アルコール入って理性飛ばした分、甘えてんだろうけどよ。


「きょーさーん」
「黙れ」
「んー。キスしてくれたら黙りまーす」
「……」


いやルキ。
どんなベタな誘い文句だよ。

京さんの溜め息が聞こえてくんだけど。


と思った、ら。


「ホンマに大人しくせぇよ」
「え、」


え。


ルキの声が聞こえて、一瞬バックミラーで後ろに視線を移したら。
京さんがルキにキスしてんのが見えて、咄嗟に目を逸らす。


いやいや、アンタら人の車で何やってんの。

京さんも多少は飲んでたけど。


ルキの鼻にかかった甘えた声が聞こえて、ちょっとダチのそう言う声聞いちゃうと居たたまれない…気がする。


「ん…ッ、京さん…」


………。


長ぇよ!!


車内に気まずい空気が漂う中、後部座席に視線を持っていかない様にする。


そしたら、ふふって、ルキの笑う声が聞こえて。
さっきまで煩いルキが嘘の様に大人しくなった。

おい、そう言う時は言う事聞くのかよって思うのと。
まさかマジで京さんがキスするとは思わなくてビビッたってのがあって。


ひたすら『早く着かねーかな』って願った。














「京さん俺が部屋まで連れて行きます」
「あー…えぇわ。今日はありがとな、コイツが我儘言うて」
「や、楽しかったんで」
「ほうか」
「でも意外でした。京さんがこう言う花見とか行くのとか」
「……まぁ、るきがギャーギャー煩かったしな。たまにはえぇやろ。外に出るんも気分転換やし」
「……」


そう言って、ルキを抱え直す京さん。
ルキは眠りそうになって京さんの肩に寄り掛かってる。


ルキの方を見る京さんの顔は、目を細めて穏やかに笑う。


どっちかって言うと、ライブの印象が強いこの人は、バイオレンスなイメージが大半なんだけど。
ルキが言う様に、実際は違うのかもしれない。


そして、ルキが思ってる以上に京さんはルキの事が好きなのかも。
ハタから見たら、だけど。


「じゃー今日はお疲れさん」
「あ、お疲れ様です。ルキの事、宜しくお願いします」


そう言うと薄く笑った京さんは手を上げて。

覚束ない足取りのルキを叱咤しながらエントランスへと消えて行った。


あー、何か。
今日1日、結局バカップルに付き合わされた感じ。


何だよ。
やっぱお互い好きなんじゃん。

って、その確認が出来ただけでも良しとするか。


花見ん時の京さんの言葉が気になるけど。


と言うかお互い、狂気なまでに愛し合ってんじゃねーの。

歪んだ愛は一方的ならしんどいだけだけど。
お互い様ならそれも有りか。


ルキと京さんの姿が見えなくなって、自分の車に乗り込む。


バカップル相手は疲れるけど、一応は楽しかったし。


2人分の香水が色濃く残る車内で溜め息を吐いて自宅へと車を走らせた。


今日はある意味よく寝れそうだ。




20120409



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