プレイ、その後/京流




もう指一本動かない。
そんな感覚。


京さんにバイブ見つかって、ベッドの上で京さんにバイブで虐め抜かれて、今。

何回イッたかわかんねーし、今日は京さんヤッてくんねーって言われてマジで京さん服さえ脱がなかったし。


バイブ突っ込まれて、人間技じゃ無い動きで攻め立てられて。
本気で泣き入れてもなかなかやめてくれなかった京さんは。

ベッドに座ったまま、涼しい顔して煙草吸ってた。


もうイき過ぎて最後訳わかんなかったし、何言ったかも覚えて無い。
と言うか、縋り付いて喘ぎながら色々言った気がする。


やっと解放された時は何も出ないまでイかされたし、声も枯れて荒い呼吸を繰り返すだけだった。


もーやだ。

京さんにヤられんのは好きだけど、玩具にヤられんのとか。
ただヤるだけって感じがして、感情が伴わない。


…気持ち良かったのは、事実だけど。


でも、なー…。


身体動かすの怠くて、全裸で横たわったまま、ぼんやりと煙草を吸う京さんを見上げる。


京さんは俺の視線に気付くと煙を吐いて、煙草をサイドテーブルの灰皿で揉み消した。


「お前風呂入ったら。つーか僕寝たいしシーツ変えろ」
「……」


いや、俺今動きたくねーんだけど。
そんな鬼みたいな事言わないで下さい。


言ってる事は鬼だけど、俺の汗で張り付いた前髪を撫で付ける手が思いの外優しくて。
その手に擦り寄る様に、目を細めて頭を寄せる。


「…いま、動けないから、無理…です…」
「ひっどい声やな」
「…だって、」
「ま、あんだけ喘いどったらしゃーないか。バイブは気持ち良かった?るーきちゃん」
「……」


楽しそうな声色で京さんは俺を見下ろして。
俺の頬を撫でて、摘まむ様に触った。

何だか京さんめちゃくちゃ機嫌がいい。


「…も、ヤです」
「何でやねん。ヤリたかったから買ったんやろ」
「でも」
「何回もイッたしな。気持ち良さそうにしとったやん、お前淫乱やし」
「……ッ」
「何泣きそうなっとんねん」
「…だって…!」


確かに俺は京さんにヤられんの好きだし、ちょっと痛いとか苦しいのとかも気持ちいいから好きだけど。

俺だけ翻弄されてイかされて、京さん平気な顔して玩具で遊んで。


服さえ脱いでくれなかった京さんは、俺を見てヤリたいとかそんなの、思ってくれなかったのかなって。

そう思うと、魅力ねーのかなって。
すげーショックなんだけど。


色々思う事があって、京さんの俺を撫でる手も優しくて。
さっきとは違う意味の、涙腺が緩む。


「…京さん」
「何」
「…俺、魅力、ない?」
「はぁ?」
「だって、京さん…一回もイッてないし…ヤんの、嫌なのかな、って」
「……」


自分で言ってて泣きそう。

セックスしなかったら、男同士で繋ぎ止めておく術がわからない。


滲む視界の中、京さんの呆れた様な表情。
心折れそう。


「お前なぁ…玩具自分で買ってまう淫乱な癖に、面倒なヤツやな」
「……ッ、それ、は…」
「まだまだガキやね、るき」
「……」
「別に身体合わせるだけが全てちゃうやろ」
「え、」
「僕が楽しかったらそれでえぇねん」
「…何、それ」
「最後パニくった姿とかなかなか見えんしな」
「…忘れて下さい…」


しょーがないヤツって雰囲気で笑って、俺の頭を軽く叩いた。


何それ。

さっきまでは俺が泣いても攻めんのやめてくれなくて。
快感と共に叩き込まれた折れの立ち位置と。

浮上させるその言葉。


どんなギャップ狙ってんの。


やっぱ京さん好き。
大好き過ぎる。


落とすのも上げんのも、この人次第で。

京さんに翻弄されんなら、それでいい。


この人なりの可愛がり方なら、屈辱に思えた行為は耐えられる。


「お前アレ洗って消毒しとけよ。また使うから」
「えっ、マジっすか」
「使い方わかったんやから1人でも出来るやろ」
「…しません。京さんの方がいい事がわかりましたから」
「当たり前や。あんなモンと比べんな」
「…すみません」


で、僕寝たいから早よシーツ変えろやって言う京さんの表情で。
疲労困憊の身体に鞭打って、動けそうな気がします。

多分。




20120331



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