恋人達の休日事情/敏京




「としー」
「なーにー」
「今日まこと大佑と飲みに行くから」
「えぇ!?マジで!?」
「何でそんな驚くん」
「だって今日オフじゃん!昼間はラブラブして夜はイチャイチャする恋人達の予定は!?」
「え…別にそんな予定無いし…」
「やーだー!」
「うるさ…」


3日間のオフの1日目に僕んちでダラダラ過ごしとって。
オフやからって借りたDVDを観とったら、後輩からメール来てそれに返信する。

飲みの誘いやし、オフやし、断る理由無いし。


携帯を置いて、僕の背中にくっついてDVD観とる敏弥に伝える。
敏弥はギャーギャー言いながら僕に更に抱き付いて来た。


まぁ敏弥が文句言うんは予想内の事やし、別にえぇけど。


…いや、良くないか。
いちいち煩い。


敏弥の足の間に座って、敏弥の身体に背中預けとる形やから、敏弥に抱き付かれたら逃げられへん感じ。

敏弥が僕の首筋に顔を埋めて、ぐりぐり擦り寄る。


「京君ちなのに京君がいないなんて超寂しいー」
「ほな自分ち帰れば」
「やだ!京君ちで待ってるから、早く帰って来てね!」
「朝までコースやから」
「浮気して来る気!?」
「もう嫌やコイツー」


遠い目をしながら敏弥の好きにさせとったら、敏弥はベッタリくっついたまま。

門限つけられるん真っ平御免やし、まこも大佑も僕が敏弥と付き合っとったり、嫉妬深いん知っとるから女呼ぶ事も無いし。
他愛無い話したり音楽の話したりするだけなんやけど。


僕の事大好きな敏弥は僕が自分以外と遊びに行くんとか、めっちゃ嫉妬すんねんな。
アホかって思うし、最初は信用されてへんみたいでムカついたけど、それが敏弥やって思ったら慣れたと言うか。

しゃーないかって思う。


「とーしや、映画観ろや。お前が借りたヤツやろこれ」
「うーん」
「…もうお前も堕威君とかと飲みに行ったら?」
「えー」
「連絡しといたるわ」
「えぇっ!?」


さっき閉じた携帯を手に取って、堕威君の電話番号を呼び出す。

後ろで敏弥が何か言いながら僕に擦り寄って来とって。


暫くコールすると、堕威君が電話に出た。


「あー堕威君?」
「え、マジで電話したの?」
『京君どしたん?』
「今日暇?」
『あー、夜?』
「うん、僕今日まこ達と飲みに行くんやけど、その間敏弥と飲みに行ってくれへん?」
『なんそれ託児?(笑)』
「そー託児」
「ちょっと京君!堕威君と何の話してんの!」
『敏弥の声めっちゃ聞こえるんやけど』
「あーうん、煩いん」
『はは、まーえぇよ空いとるし』
「ホンマ?」
『うん、ほなまたメールするわー』
「宜しくなぁ」


堕威君の笑った声を聞きながら電話を切る。


「はい、敏弥、夜飲みに行ってらっしゃい」
「京君のバカー!」
「はは、堕威君に託児してもらいー」
「堕威君と浮気してやるー」
「へーぇ、ほな僕はまこと、」
「嘘うそ!しないしない!大人しく飲みに行きます!」
「ん、えぇ子」


敏弥がキツく僕の身体を抱き締めて来て携帯を閉じる。
抱き付く敏弥に凭れて、腕をペシペシ叩いて。


そしたら、携帯が鳴ってメール受信。
堕威君から。

時間と待ち合わせ場所を記載して、敏弥に教えといてって。


敏弥の託児の、場所。


別に僕は敏弥が誰と飲みに行っても文句は言わんけど。
知っとる奴と飲みに行かれた方が、えぇやん?


僕がおらん間、オイタしたらアカンよ。


「堕威君に迷惑かけんなよ」
「そんなガキじゃねーよ」
「どうだか」
「京君の事しか話しないもん」
「それが迷惑や言うねんアホ」


苦笑いしながら手を伸ばして、首元にある敏弥の頭をペシッと叩く。
したら、敏弥に首筋に吸い付かれた。


京君は俺のだから、後輩君達に手出されちゃダメだよ、ってアホな事言うとる敏弥。

嫉妬深い恋人はどうなんって思うけど。

裏を返せば、僕の事が大好きって事で。
それを思えば可愛いやん、な。




20120320



[ 275/442 ]

[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]



人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -