10th ANNIVERSARY@※/京流




るきのライブ観に行って、気紛れで打ち上げに参加したけど。

るきとは事務所違うし、るきの周りの奴らはほとんど接点無い奴ばっかやったから。
僕の後輩でも無いし、大丈夫やろと思っとったら大丈夫でも無かった。

知らん奴からずーっと話し掛けられてウザかった。
もうるきの打ち上げ二度と行かん。


「オラ、お前自分で歩けや。うっざいな」
「う゛ー…無理ぃー…」
「無理ちゃうわボケ。あ゛ー糞、重い」
「きょーぉさーん」
「くっつくな、お前どんだけ飲んだん酒臭い」
「知らねー…」


タクシーでるきと帰宅。
僕が何や話し掛けられとる時に、るきは煽られて結構なアルコールを摂取したっぽい。

ふらつくるきの肩を抱いて、エレベーターを降りて自分の部屋まで続く廊下を歩く。


るきのライブ中、僕に話し掛けて来た奴がずっとるきの隣に付いて。
楽しそうに話とって煽られるだけ煽られて、ちょっとは自分の限界知れやって思う。

僕に迷惑かけんな。


僕が帰るって言うたら、相当酔っ払ったるきも帰るって言い出して。
主役やろお前って思ったんと、僕にべったりして来てえぇんかお前って思った。

僕はえぇよ。
どうせ他の奴らと二度と会わんやろし。


いつもなら、お前は残れって言うんやけど。
僕の元に来たるきを見とるアイツの顔が面白かったから、そのままるきと帰って来た。

フォローはるきのメンバーがするやろ。
そのメンバーも出来上がっとったから、どうかは知らんけど。


「っあー…ほんっま疲れた」
「水ー…」
「知らん。靴脱いで自分で取って来い」
「京さーん」
「何やの…」


鍵を開けて部屋に入る。
玄関先の廊下に、抱えとったるきを置いて。

座り込んで靴を脱ごうとしたら、廊下に寝そべっとったるきが僕の腰に腕を回してくっついて来た。

めんどくさ。


しかもコイツの香水の匂い以外に、色んな匂いが混じっとって不快。


「邪魔や。何なんお前」
「きょーさーん」
「はいはい」


座り込んで靴脱ぐ途中の僕の腰に抱き付いたるきを引き剥がそうとしても、るきは更に腕を力を込めて来た。
もー何か僕も疲れとるし、色々めんどい。


溜め息を吐いて、るきの頭を叩いたった。


「今日…京さん来てくれてすげー嬉しかった、です」
「さよか」
「10年の節目のライブ、楽しかったし…初めて京さんが打ち上げに来てくれたし、」
「うん」
「でも打ち上げで京さんと全然話出来ねーし、皆京さんに話し掛けてるし、超つまんねー。ムカつく。京さんは俺のなのに」
「誰がお前のや、アホ」
「だって…!」


るきが僕にくっついたまま顔を上げて。
アルコールが入ったるきは目が充血しとった。


弱い癖に飲むからやん。

明らか嫉妬しとるるきの言葉に、いつもの事やって思って鼻で笑いながらも。
僕の事に対しては敏感なコイツも、自分の事になると全く周りが見えてへんのかって、アホなるきの鼻を思い切り摘まむ。


「ん゛…ッ」
「安心しー。二度と行かんわ。知らん奴と話すん疲れる」
「じゃー俺だけと話してて下さい」
「だから何でやねん」
「京さんの事が好きだからー…」
「はいはい」


玄関先で座っとる僕の身体の上に乗っかる形でるきは手を付いて顔を伸ばして僕にキスをして来た。
アルコールの甘ったるい吐息と共に、段々と深くなるキスに応えてやると。

いつもより積極的に絡まる舌。


いつもは受動的なるきが、アルコールが入るとシラフん時にはあんまりせぇへんるきの舌技に少し笑う。


アルコールの力借りな、僕に対して積極的にならへんるき。

昔からの、僕に対しての遠慮とかあるんやろなーって思うけど。


唇を離すと、るきは僕の目をじっと見て来た。


「…京さん、好き」
「うん」
「バンド10年続けて来たけど、京さんと会ったのも似たような時期で」
「……」
「ずっと一緒に時間、共有出来てんのが、凄い嬉しい」
「ふーん…」


そんな甘えた口調で言うて来るんはえぇけど、ここ玄関やから。
いい加減、部屋ん中入りたいんやけど。


るきがゆっくりと首筋に顔を埋めて、皮膚に吸い付かれた。
上着の上から、僕の身体をなぞるるきの手に視線をやって、るきの顔を見る。

絡まる視線に、何が言いたいかはすぐわかる。


「…お前、今日ライブやった癖に元気やな」
「……うん、」
「いや、うん、やなくて」
「ダメ?」
「靴脱げや。ベッド行け淫乱」


僕を求める可愛いるき。
胸糞悪い、お前以外の匂いが付いとんを掻き消す程に。




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