お互いラブ/敏京




「京君、髪伸びたねぇ」
「あー?うん」
「ね、いじっていい?」
「えぇよ」
「わーい」


仕事がオフの日。

敏弥んちに来て一緒にゲームしとったら。
敏弥の方が先に飽きて次は漫画見出して。

僕は続けて別のゲームしとったんやけど、漫画も読み終わった敏弥は僕の髪を触り出した。


チラッと敏弥の方を見て、またゲーム続行。


僕の斜め後ろに胡座を掻いて座って、肩まで伸びた髪を手櫛で梳いた。


「うーわ、キシキシだねぇ。京君髪イジメ過ぎだよー」
「っさいな、敏弥も変な色によくしとるやん」
「青似合うだろ、俺」
「…は、」
「うんうん、似合うよねー」
「言うとれ」


会話をしながら僕はゲーム。
敏弥は僕の髪をいじっとって。


何しとるかわからんけど、敏弥は鼻唄歌いながらやってて楽しそう。


「あは。三つ編みー可愛いー」
「………」


アホっぽい声聞こえたけど、無視っとこ。


「……よし」
「おいコラ何撮っとんねん」
「三つ編み京君。可愛くない?」
「全然」


凄い間抜けな音がして、チラッと敏弥を見ると携帯を構えて僕を写メっとった。
敏弥が見せて来た携帯画面にはゲームをしながら、敏弥に三つ編みにされた髪の僕が斜め後ろから写メられとるヤツで。


全然可愛いないし。
敏弥どう言う神経しとんやろ。


またゲーム画面に視線を戻すと、敏弥は三つ編みにした髪をまた解いて何か触っとって。

次は前髪を取られてゴムで縛られる感覚。


「京君、前髪上げてデコ出しても可愛いねぇ」
「頭おかしいんちゃいますか」
「ちゅー」
「ちょ、見えんし邪魔!」


前髪がなくなった事で視界がクリアになって。
でも敏弥が僕の目の前に来てデコにキスして来やがったからゲーム画面が見えんくてイラッとした。

から、片手で敏弥の身体を押し退ける。


「京君酷い!可愛い顔して!」
「やから可愛くない言うとるやろ!死ね!」
「やーだー」
「……」


また携帯のシャッターが切られる音がして、敏弥に写メを撮られたっぽい。

前はデジカメで撮られたし、敏弥って写真撮るん好きなんか。


「京君笑ってよー」
「嫌やアホ」


また携帯を構える敏弥に、テレビ画面を見ながら中指立てたったらそのまま写メられた。


「京君の指って長くて綺麗だね」
「……」


もう何か、コイツはそんな言葉しか出て来んのかい。
何をやっても笑っとる敏弥はアホっぽい。


もう髪の毛いじるん飽きたんか、僕の後ろに回り込んで。
敏弥の足が僕の身体を挟んだ。

敏弥の両腕が僕の腹に回って来て、僕はそのまま敏弥の身体に背中を預ける様に後ろに身体を倒した。


そしたらそのまま敏弥は僕の顔にぴったりと寄り添ってまた携帯カメラを構えて写メっとった。


…さっきから僕の周りで髪いじったりキスしたり写メったり…大人しくおれんのか、お前は。


溜め息を吐いて、一時停止したゲーム画面から視線を逸らして。
敏弥の肩口に頭を擦り付けて横にある首元に噛み付いたった。


「いったいなぁ、もう」


そう笑いを含んだ声で言う敏弥は僕の頭を撫でた。


「ほら、可愛く撮れたよ。お揃い」
「え、キモい」


敏弥が見せて来た写メは、前髪をちょんまげみたく結ばれたままゲームしとる僕と。
いつの間にか一緒の髪型しとるカメラ目線の敏弥との写メ。

大の男がやる事ちゃうで。


敏弥めっちゃ楽しそうな顔。
ホンマ好きやな、お前。


僕ん事。


「キモくない。可愛いの」
「可愛くない」
「んー。じゃ、京君は格好良くて、俺は可愛いって事で」
「自分で言うな、アホ」


でも敏弥は僕が言わん事を代弁する様に言うから、僕が言う必要もないけどな。

後で敏弥の携帯から写メぱくっとこ。


「京君ゲームもうやらない?」
「飽きた。もうえぇ」
「じゃ、今からラブラブタイムね!」
「きっしょ」
「とか言っちゃってくっついてる京君可愛い大好き」
「死ね」


やって僕も、やから。

一応こんなキショいんでも、恋人やからな。




20120309



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