我儘な男と2人/京流




夜中。
一通り家事をこなして、今日はパソコンいじる気分でもねーし。
ソファに座ってテレビを観てる京さんの隣に座る。


京さんを見ると、肘掛けに手をついてソファに片膝を立てたリラックスした状態でじっと画面を見てて。
その足の方にくっついて、京さんの膝に手を置いて頭を預ける様に甘える。


「京さん、面白いですか?」
「…普通」
「そうっすか」
「つーか重い。邪魔」
「えー」


そうしてたら、京さんが嫌そうな顔して足を下げられた。
まぁ体重かける状態だったから、重いだろうけど、残念。


仕方ねーから、京さんの方に更に寄ってちゃんと座る。


俺も何となく画面を観てて、CM画面に切り替わる。


「あー…何か、車欲しいですよね」
「は?車?」
「あったら便利じゃないですか?まぁ免許無いんで買っても仕方無いんですけど」
「……」
「れいたに時々送ってもらったりしてるんですけど、やっぱいいなって」
「ほな免許取りに行ったら」
「今そんな時間無いですよー…あーやっぱ学生の頃取れっていいますもんね、中退しましたけど」
「車なぁ…」
「格好良い車乗りたいですよね」


車のCMとか、超格好良く撮影してるしね。
免許無くても格好良い車とかは憧れんじゃん。

オトコノコなんで。


「お前んトコのメンバーの車派手やんなぁ」
「れいたの?アイツめちゃくちゃ拘ってますよー。格好良いですよね」
「派手」
「そこが良くないですか?」
「お前も派手やしな。顔は地味やのに」
「ちょ、酷ぇー」


京さんが鼻で笑って俺を横目で見て来た。

れいたには良く送ってもらったり、どっか連れてってもらったり。
そう言う足があると、遠出とか出来んじゃん。


「あー…車欲しー」
「買ったら」
「…京さん買って」
「…お前エグいお強請りして来やがったな」
「あは。そしたら京さんと遠出で車デート出来るじゃないですか」
「興味無いし」
「富士の樹海探検とか」
「……それはちょぉ行ってみたいな」
「ですよね」
「るき置き去りにしたるし」
「…京さんも運転出来ないでしょ」


京さんだったら本気で置き去りにしそうだから怖い。
ヤだよ、死ぬ気はねーんだから絶対帰りますよ、俺。


でも樹海とか、どんな雰囲気なんだろうなーって気になる。
ちょっと行ってみたい。

陰鬱な雰囲気が歌詞書くインスピレーションに影響されるかもしんねーし。


はー、やっぱ昔取ってた方がよかったか。
金無かったけど。


「タクシーで車デートとかねーしなー。花見とか、有名な所行ってみたい」
「行って来たら」
「京さんとです」
「えー。自分で運転とかめんどいやん。乗っとるだけの方がえぇし」
「それは言えてますね」
「同意するんかい。車欲しーだの、ギャーギャー言うとった癖に」
「あは」


だってー、とか言いながら京さんの方に身体を凭れ掛ける。

こんな風にタクシーだと京さんとくっつく事も出来無いし。
車デートとか、自分に無い物って求めちゃうモンなんで。

ちょっと、憧れ。


「あーもうれいたに連れてってって頼もうかなー」
「は?」
「京さんと車デートすっから運転手してーって」
「…あー、運転手おるんは便利やなぁ」
「ですよね。京さんと日帰り旅行的な感じで行きてー。ねーオフあります?」
「知らん」
「また教えて下さいね」
「…お前言うたら絶対実行するやろな…」
「そりゃそうです」
「威張んな」


うん。

またれいたに車出してーって頼んでみよ。


京さんにくっついてる身体から、京さんの体温を感じて。
テレビ画面はCMなんてとっくに終わっててまたバラエティー番組が始まった。


くっついたままが許可されてるから、京さんの匂いがダイレクトに伝わって来て安心する。
好き。


車デート、出来たらいいな。

だから頑張ってね、れいちゃん。




20120306



[ 264/442 ]

[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]



「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -