家デートでする事/敏京
「……、ねむ…」
「………」
不意に目が覚めて、欠伸をしながら布団の中で伸びをする。
一緒のベッドで寝とる敏弥は僕の身体を抱き締めたまま寝とって。
半裸の姿のまま、毛布と布団にくるまってて。
人肌があったかい。
静寂の中、雨が降っとる音がする。
久々に3日間オフ貰った1日目。
敏弥はデートしよって鬱陶しいぐらい言うて、楽しみにしとった日、雨。
もう出掛ける気無くすわー。
視線だけを巡らせて窓の方を見るとカーテン閉められとるから、どの位降っとるかようわからん。
少しだけ開いたカーテンの隙間から暗い室内に光が漏れとる。
一応は朝?
…か、昼?
ようわからんけど。
敏弥の腕の中で体勢を整えて、目を瞑って寝とる敏弥の顔をじっと見つめる。
何か夢見とんか、口角が上がっとる敏弥のだらしない顔。
鼻で笑いながら、自分が起きてもうたから敏弥を起こす事にする。
「敏弥」
「……」
「とーしや」
「……んー…」
「起きろ。雨やで、今日」
「んんー?あめぇ?」
「うん、雨」
「えー…」
「やから今日は中止な、出掛けんの」
「やーだぁー」
「我儘言うなアホ」
敏弥の腕の中。
敏弥の背中に腕を回してぺしぺし叩いて起こす。
寝起きがいい方やない敏弥は、目を瞑ったままふにゃふにゃ喋って、更に僕に抱き付いて来た。
敏弥の首筋に顔を埋める形で密着すると、フレグランスがついてない敏弥の匂いが一気に鼻を抜ける。
「はー…最近何か雨多ない?」
「季節の変わり目だからねぇ…」
「そうなん?」
「雨降る度に暖かくなってくんだってー」
「ふーん」
「まぁ雨の方が京君が大嫌いな花粉飛ばないしねー…」
「あぁ、それやったらえぇな」
花粉症とか糞食らえやでホンマ。
敏弥は僕を抱き締めたまま、ちょっと伸びをして目を擦った。
開いとんか開いとらんのかわからん敏弥の目が僕を捕らえて笑った。
「おはよ、京君」
「うん、おはよう」
敏弥の顔が近付いて来て、僕の唇に軽くキスして来た。
「それにしても雨かー…せっかくのオフだし買い物行きたかったなー…京君とデート楽しみにしてたのにー」
「…別にまだ2日間あるんやから平気やろ」
「そうかもだけどー…」
「雨やと出る気せぇへん」
「じゃ今日は家デートだね」
「家デートって何」
「お家でまったりラブラブする事ー。あ、でもご飯とか無いよ。買いに行かなきゃ」
「え、めんどい」
「仕方無いじゃん。あー…でもまだ眠ぃ…」
「あーかーん。寝んなコラ」
僕もう起きてもうたから。
敏弥が寝たら僕暇んなるやん。
まぁ久々のオフやから、寝たい気持ちもわからんでもないけど。
また目ぇ閉じそうんなる敏弥の身体に手を這わせて。
布団中でもぞもぞ動いて、敏弥の股間を撫でる。
敏弥も僕も下着しか穿いてへんくて。
下着越しにもわかる、敏弥のが固くなっとって。
「…なーにしてんの」
「敏弥の勃っとるー」
「そりゃ朝勃ちはするよ」
「ふーん」
「あ、もー…ヤリたくなるだろ」
「えぇやん。外雨やし、シよーやぁ」
下着ん中に手を突っ込んで、直に敏弥のを掴んで扱きながら。
間延びした声を出して敏弥の首筋に吸い付いたら。
敏弥の僕を見る目の色が変わった。
手の中で、更に固く大きくなる。
敏弥の手が、僕の背中から下へ伸びてって。
尻の肉をやっくり揉まれた。
「京君のえっち」
「出掛けるんめんどいし、今日何回出来るか耐久セックスしよや」
「途中でヘバんなよ」
「お前こそ」
お互い笑って、引き寄せられるようにキスをした。
恋人同士が家ん中でまったりおるなんて。
やる事は決まっとるやろ。
朝か昼かわからん時間帯から始まった気怠い雰囲気。
たまにはえぇんやない、こんな日も。
終
20120301
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