160×162/京流
いつもより若干暗めになったリビング。
チカチカしとった電球は、今さっきご臨終しました。
天井にあるヤツ。
間接照明の様な色で、シャンデリアのデザイン。
勿論、俺セレクト。
京さんにカタログ見せながら『これ買っていいですか?』って聞いたら『別にえぇよ』って言われたから。
段々と京さんちを俺好みのインテリアで揃えて。
シンプルに揃えられた部屋は、結構雰囲気のある部屋に変化していった。
無駄遣いすんなとは言われるけど、俺のインテリアは気に入ってくれてるのか、インテリアに関しては何も言われない。
その中の1つ、シャンデリアの電球切れたんだよね。
一応スペアの電球は買ってんだけどさ。
「あー…どうやって電球変えましょうかね」
「普通に変えたらえぇやん」
「や、土台無いんすけど…ガラステーブルに乗ったら割れそう」
「それお気に入りやから、割ったらブッ殺す」
「わかってますよ…ソファで届きますかねー…」
「……」
京さんちに来て、初めて電球が切れました。
スペアの電球を片手に、京さんと2人シャンデリアを見上げる。
思えば土台になりそうな椅子とか、この家ねーな。
昔はれいたとか麗とか、よく入り浸ってたから電球かえてもらったりしたんだけどさ。
身長的な意味でアイツ等役に立つよな。
一応ソファに上がって、シャンデリアに手を伸ばしてみる。
…けど、届かねぇ。
背伸びしても無理。
えー。
この部屋の天井、高すぎんじゃねーの。
「…届いてへんやん、チビ」
「……一応、京さんより高いんですけど、俺」
「死ね。役立たず」
「…じゃー京さんやって下さいよ」
「は、嫌やし」
ってか。
俺が届かないんだから、京さんも絶対無理だろうね。
ステージから見てた時は何とも思わなかったけど、近くで見るようになってからは絶対公式身長詐欺してんだろって思ってます、京さんの事。
本人に口が裂けてもそんな事言えねーけど。
そんな俺も人の事言えねーし。
電球かえんの諦めて、ソファから降りる。
「はー…こう言う時、身長欲しーって思いますね。180センチぐらいになんねーかな」
「るきが?逆にキショいわ」
「や、でも写真とかスゲー決まりそうじゃないですか?」
「ほな骨でも足したら。手術で」
「それでも20センチは厳しいですよ…」
「厳しいなかったらやるんかい」
「…でもまぁ、今の身長でも満足してるんですけどね。京さんと服の貸し借り出来るし」
「僕は貸した覚え無いけどな」
「あは。これもう明日ホームセンターでも行って簡易梯子買って来ます」
「うん」
つーか、ホームセンターが開いてる時間までに仕事終わんのかな。
京さんはソファに座って煙草を咥えて火を点けた。
俺はまたすぐ変えるだろって思ってスペアの電球をソファの前のガラステーブルに置く。
京さんの隣に座って、ピッタリと寄り添う。
京さんの逞しい腕。
俺細い腕とは大違い。
背丈は似たようなモンなのに、身体付きは全く違う。
男らしい京さんの身体は羨ましい。
かと言って、俺が筋トレして逞しくなるなんて想像出来ねーけど。
ガゼット内の筋肉バカはれいたと戒君だけで十分。
何か、不思議な感じ。
京さんと暮らしてて、電球変えなきゃとか、そんな事すんの。
日常的な事過ぎて、それを京さをと共有して。
そう言うのが嬉し過ぎ。
「…何ニヤニヤしとん。更にキモいで、るき」
「更にって何すか。ただ幸せを噛み締めてただけですー」
「はぁ?」
「電球変える事とか」
「届かんのにか、チビ」
「………。京さんこそ、チ、」
「あ゛?」
「いえ、何でも無いです」
言ったら目で殺されそう。
そう言う所が格好良いけど、京さん。
お互い背低いから不便だけど。
そう言う所もお揃いの様な感じがして、好き。
終
20120223
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