変態でも好き/敏京
「…あ!」
「──…何やのいきなりデカい声出すな」
「京君京君、今日は2月22日!猫の日だよ!」
「あー?やから何」
「また今日もにゃんにゃんプレイしよーよ」
「嫌やしキショい事言うな」
「何でー!」
「変なプレイ強要すんなボケ」
もう敏弥の言う事ホンマ嫌。
何なん、どんなプレイやねん。
オフの日やからって、敏弥んちでゴロゴロしながら新しく買った言う漫画読んどったら、敏弥がアホな事言い出して。
敏弥のベッドの上で腹這いになっとった僕に、床に座っとった敏弥がベッドに肘付いて僕に笑い掛けて来た。
にゃんにゃんプレイとか意味わからんから。
敏弥の顔から視線を逸らして、また漫画に集中。
まぁそんな事をしても、簡単に諦めへんのが敏弥で。
僕を見たまま、髪を軽く引っ張って来た。
「ねぇねぇ、にゃんにゃんプレイしよ。前の猫耳探せばあるだろうしさー」
「……」
「京君ネコなんだから、ぴったりじゃん!」
「…それは役割であって僕は動物ではありません」
「いいよね…京君が猫とか…俺がちゃんと飼ってあげるからね!」
「人の話を聞けアホ」
いい加減、髪を触る気配が鬱陶しいになって振り払って敏弥を睨み付ける。
そんな事もお構い無しな敏弥は、ベッドに乗り上げて来て。
狭いベッドが、ぎしっと軋んだ。
「じゃー俺が猫になるから」
「は?敏弥に突っ込んでえぇの?」
「ちげぇー!猫!にゃんこ!動物の方!」
「はは、敏弥必死やー」
「もう。俺は京君をにゃんにゃん鳴かせたいんですぅー」
「きっしょ。えぇから退いて。邪魔」
「ダーメ」
「ちょ…っ」
腹這いに寝そべる僕の上に乗っかった敏弥が、僕が読んどった漫画を奪い取った。
手を伸ばしても、ベッドの下に投げられた。
後ろから伸し掛かられると、身体は全く動かへん。
リーチもちゃうし。
ムカつく。
敏弥に後ろから耳を舐められてピクッと反応する。
ベッドに付いた手に敏弥の手が重ねられて握り締められた。
何や、ネコにはならんのか。
僕が受け入れる側になっとる事に不満は無いけど(気持ちえぇし)ちょっと敏弥も経験してみたらえぇねん。
「ん…ッ」
「俺は今から猫ね。可愛がって」
そう言う敏弥は、僕の耳をゆっくり舐める。
ぞわぞわした感覚が背筋を這い上がる。
猫って。
こんな変態な猫おってたまるか。
「ッは、猫なら、にゃーって鳴けや」
「にゃぁ」
顔だけ振り向いて敏弥を見上げると、敏弥は目を細めて笑って鳴いた。
畜生。
そんな素直な所がちょっと可愛いと思ってもうたやんか。
敏弥の腕ん中で、身体を反転させる。
一度離された手は僕が仰向けになったらまた繋がれた。
「にゃー」
「……っん、」
敏弥は鳴いて、僕の顎や頬を舐め回った。
擽ったい。
キスする言うより、舐めまくっとる敏弥は僕の服の中に手を突っ込んで素肌を撫でられた。
「ッ、猫の癖に飼い主襲うなや」
「襲ってないもん。ご飯強請ってるだけだもん。ミルク頂戴?ご主人様」
「…変態め」
「ふふ、にゃー」
楽しそうに笑う敏弥が、ふにゃふにゃした声で猫の鳴き真似をするんが。
変態的な事言うとんのに、可愛いやんか。
もう嫌や色々と。
服を脱がされて敏弥の舌が首筋、鎖骨、乳首へと這わされる。
いつもねちっこい敏弥の愛撫は今日は全身舐めらしい。
猫らしく。
オフの日に突然始まった情事。
流される僕も僕やけど、この何を言い出すかわからん変態をどうにかしろ。
別に猫プレイせんでも、普通にヤッたらえぇやん。
アホ。
「ッは、ぁ、とし、」
「にゃー?」
でもやっぱり、可愛い。
恋人の欲目って怖い。
終
20120222
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