京君の誕生日と記念日/敏京



「京君誕生日おめでと」
「あーうん、ありがと」
「それと今日は記念日だしね。明日仕事帰りにご飯食べに行こうね」
「せやなぁ」
「ケーキも買わなきゃね」
「うん、生クリームのヤツ買って。ホール食いしたい」
「絶対全部食えねぇって」
「敏弥も頑張れ」
「いやいやいや、無理だって」


2月16日は京君の誕生日。
と、俺達が付き合った記念日でもある日。

都合良く京君の誕生日にオフが取れる訳も無くて。
前日も仕事、当日も仕事って感じだけど。

16日に日付が変わる瞬間は一緒にいる。

大人しく、俺の足の間に座って雑誌読んでる京君の顎を掴んで自分の方に向かせてキスをする。


京君に柔らかく唇を噛まれて、離すと京君はまた雑誌に目を落とした。
俺の身体にベッタリと凭れて来る京君の熱を離さない様にぎゅぅっと抱き締める。


まったりとした時間。
いつもの様に、俺んちに来て当たり前に泊まる京君。


京君の言葉に苦笑いしながら、雑誌を読む京君の左手を手に取る。
京君は俺の好きにさせてて。

京君の左手薬指に付いてるペアリングを指で弄ぶ。
俺も付けてるペアリング。


京君の誕生日に、京君からOK貰えて付き合った日。


それを見ながら、京君のペアリングを薬指の根本でくるくる回しながら遊ぶ。


「…なん、擽ったい」
「んー?何かさ、京君の誕生日で付き合った記念日って嬉しいなーって思って」
「あぁー…なーんか懐かしいなぁ…あん時とか、敏弥が告白して来るとは思わんかったし」


そう言う京君は弄る俺の手を掴まえてぎゅっと握る。
から、京君の手の甲から指を絡めて握り返す。


京君は読んでた雑誌を床に置いて、俺の肩に頭を預けて俺の顔を見上げて来た。

うん、俺より年上だし、今日誕生日になったから2つ差になっちゃったけど、京君は可愛い。


「片想いじゃ我慢出来なかったんだよね」
「で、僕ん事無視るし」
「…もう忘れて恥ずかしい」
「あん時から薫君にヤキモチ妬いとったしな」
「あぁあぁ、もう!だって京君が好きだったの!人見知りの俺に話し掛けてくれたり、よく電話したり遊びに行ったり真剣な顔とか笑った顔が大好きなの!」
「うぉっ、どんな告白やねん。逆ギレか」


京君がからかう様に言うから、告白した時の事を思い出して1人でうわぁあってなる。
から、京君の身体を力いっぱい抱き締めた。


京君は笑って、繋いだ俺の指をにぎにぎして来た。


あぁー可愛い。


お互いのペアリングが繋いだ指で擦れる。


「明日ご飯何食べたい?」
「肉」
「じゃ、お肉食べに行こっか」
「うん」
「はー…でもディナー食べてホテルのスイートに泊まってシャンパンで祝ってあげたいなー」
「何それ」
「恋人に対するサプライズの、男のロマン」
「そんなん知らんし」
「そこで花束とかプレゼントしたら超良くない?」
「キザで嫌やー」


京君は俺の腕の中で身体を反転させて、俺と向き合う形で座る。
また繋ぎ直す手。


「僕は花束もシャンパンもホテルのディナーもいらんよ」
「……」
「敏弥とこうしておるんがえぇ。敏弥が告白して来んかったら、過ごす事なかったこの日常が、僕は好き」
「京君…」
「あん時、付き合った時。敏弥がくれた日常の誕生日プレゼント」
「…もう、いつもいつも、京君には敵わないよね」


京君は真っ直ぐと俺の方を見て。
強く言った京君に、普段は言わない彼の心境が聞けて胸が熱くなる程、嬉しくなる。


普通に一緒に過ごして幸せだと感じる日常。
特別な事はいらない、俺と過ごすだけでいいって言う京君が、たまらなく愛しい。


「当たり前やん。誰と付き合ったと思ってんねん」
「俺の大好きな、京君です」


お互い笑って、八重歯が見える可愛い京君の唇にキスをする。


誕生日おめでとう。

大好き。




20120216



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