自宅のファッションショー/京流



仕事が早めに終わったから、1人で買い物をしに行って。
色々買って重かったからタクシーで帰宅。

久々に服買ったし、すげー満足した。


やっぱ買い物って楽しいなーとか思いながら帰宅。


買い物したら結構な時間になってしまった。

京さん今日は晩飯いらねーっつってたし、買い物で疲れて自分の分作んのも面倒だから適当に食って来たし。
今日は買った服とか見ながら京さんを待とう。


そんな事を思いながらソファに買った物を全部置いてリビングのエアコンと加湿器を点ける。

京さん帰って来るまで風呂も溜めておこ。


室内が寒くて上着を着たまま風呂場へ行って浴槽を丁寧に磨いて湯を溜める。
今日はどの入浴剤入れようかなって思いながら。


湯の調節はボタンで出来てるし、広めの浴槽に湯を入れてリビングに戻る。


と、浴室にいて音に気付かなかったから。
いると思って無かった人物が見えて一瞬ビビる。


「…ッ、京さん帰ってたんですか」
「お前何なんこの荷物。邪魔やねんけど」
「あ、すぐ退けます。今日買い物行ってて」
「またか。お前買わんでも服ぎょーさんあるやろ」
「流行りとかあるし、新作出ると欲しくて」
「まぁその気持ちわからんでもないけど」
「京さん何か飲みます?」
「いらん。風呂は?」
「今溜め始めたばっかなんで、もう少しかかります」
「あっそ」


京さんが俺の荷物に半分占領されてるソファに座って眉を寄せる。
服の入った紙袋を床に退ける。


京さんはソファの上で足を組んで、テレビの電源を入れた。

俺は家にいる時はパソコンいじるか京さんのDVD観るかであんまりテレビは観ねーけど。
京さんは何も観るモン無くてもテレビを点けておく派らしい。


「京さん京さん、今日買ったこのジャケットとか格好良くないですか。今着ると寒い気がするんですけどねー」
「…まぁえぇんちゃうの」
「えっ、マジっすか!似合います?俺」
「……」


京さんが否定せずに肯定すんのは、京さんの中でも良いと思ったモンで。
誉められたらテンション上がんじゃん。


部屋も暖かくなって来たし、上着を脱いで。
今日買った黒のジャケットを羽織る。


京さんの前に立つって見せると、京さんは嫌そうな顔で俺を見た。


「邪魔」
「これとハット合わせたらよくないですか?」
「邪魔」
「あと、これもデザインすげーよくて買ったんですよー」
「……」


ごそごそと紙袋の中から買った服を取り出す。
京さんは呆れて溜め息を吐いて肘掛けに肘を付く。

俺が服を見せてると上から下まで目線だけで見られた。


「もうえぇから、るきこっち来い」
「え、でもまだ見せてないヤツある、」
「るき」
「……はい」


まだ京さんに見せたい服あんのに、京さんの目でじっと見られて言われたら大人しく従うしかない。


試着してたのを脱いで、京さんの隣に座る。
京さんは俺の方を見ずにテレビのチャンネルを変えてて。


服から京さんに俺の興味移ったんだから、京さんも観てないテレビ見ないで俺を見て。


そんな意味を込めて、隣にいる京さんの腕にピッタリと寄り添う。

そしたら、京さんの黒目が俺に向けられた。


「お前そんな服買ってどなんするん」
「着ますよ。1週間と言わず1ヶ月同じ服着ないぐらいでいいんで」
「アホらし」
「また京さんのライブに連れてってあげて下さい。俺の服」
「…気が向いたらな」


京さんだって服いっぱい持ってんじゃん。

でもその京さんの目に留まったヤツより俺が選んだの着てくれた時とか、めちゃくちゃ嬉しいけどね。


背丈一緒ぐらいでよかった。


京さんの服も好きで借りるけど。
もうファンに見せる姿なんて俺の服全身まとってくれていいのに。


なんて、京さんに言ったら怒られそうな願望だけどね。


「お前風呂は」
「…ッあ!」
「服ばっか見とるからやでこのアホ」




20120212



[ 242/442 ]

[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]



人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -