365日、勝負下着/京流
時々、僕が風呂入っとると一緒に入る為に勝手に浴室に入って来るるき。
まぁ空気読んで、僕が1人でおりたい時とかは来んし。
もう半ば諦め気味で好きにさしとんやけど。
今日も今日でるきが風呂に入って来やがった。
るきが入れた乳白色の湯。
柔らかい匂いがして、天井を仰いで息を吐く。
男2人入っても余裕がある浴槽に、るきは僕に背中を預ける形で密着して。
今日あった事とか、色々喋りながら僕の右手を触っとった。
まぁ正確には、僕の墨を見とるみたいな感じ。
よう飽きひんな。
ま、僕も飽きん為にほぼ和彫りにしたんやけど。
「…で、今日も休憩中にちょっと散歩行った所でいい感じのカフェ見つけたんですよ」
「ふーん」
「れいたと入ろうぜってなって入ったんすけど、あのバカ何を思ったのかテラス席選んで、死ぬ程寒かったですマジ」
「バカは風邪引かんて言うし、丈夫なんちゃうー」
「あははっ、でも寒い中、あったかい物飲んだら身体に染みて美味しかったです」
「お前も風邪引かんしな」
「京さんそれどう言う意味ですか!」
いい加減ウザくなって、僕の手で遊ぶるきの手を握って湯の中へ一緒に沈める。
るきは僕の肩に頭を乗せて甘える様に僕の方に頭を寄せた。
濡れた髪の感覚が肌を伝う。
「知らーん。出るから退き」
「あ、じゃー俺も」
もういい加減ずっと風呂に浸かりっぱなしやし。
汗も掻いたし、るきの身体を押し退けて風呂から上がる。
したら続いてるきも立ち上がって一緒に浴室を出た。
るきが用意したバスタオルを手に取って髪や身体を拭く。
「京さん珈琲かココア淹れましょうか?」
「珈琲」
「わかりました」
声掛けられたから何となくるきの方向いて。
拭き終わったるき。
…の、下着が何やアホみたいな色やった。
「うわ」
「え?」
「お前…下着ショッキングピンクとか何それ」
「え?あ!これ今日買ったんです。良くないですか?」
「派手」
「因みにピンクの豹柄とか、ゴールドとかもありますよ」
「ありますよ、って…そんな自慢気に言われても知らんわ。お前そんな派手なん穿いとったん」
「京さんだって赤とか豹柄持ってるじゃないですか!ってか、する時見てる筈ですけど下着」
「する時いちいち下着の色なんか見るか」
脱がしたる時もあったり、自分で脱がせたり。
つーか、そんな下着見たりせんやろ。
ピンクの派手な下着見せる為に僕の前に仁王立ち。
全く色気ない。
何で僕、こんな奴とヤッとんやろか。
あんまマジマジとるきの下着とか見た事なかったけど、派手なんが好きなるきやから、るきらしいっちゃーるきらしい。
私服も派手やし。
カラーは自分の中で流行りがあるらしくコロコロ変わるし。
今はピンクなんかコイツ。
「えー、ちゃんと見て下さいよ!一応毎日勝負パンツ穿いてんのに!」
「はー?」
勝負パンツって何やねん。
何に勝負すんねん。
女子か。
呆れながら、部屋着のジャージを着込む。
小さめのタオルを取り出して、頭をガシガシ拭いた。
るきは黒のスウェットを着込んで。
「ほならもっと色気あるん穿いたらー」
「え…Tバック、とか、ですか…?」
「……それはちょっと…キモいな…」
「ですよね…俺も穿くのは勇気入ります…。慣れたら癖になるらしいんですけど」
「それ別の意味で癖んなっとったらキモいわ、るき」
「俺は穿きませんよ!?」
「はいはい、もう何でもいいし」
「京さんの事思いながら下着買ってんのにー」
「……」
とか言いながら、絶対自分の趣味やろって下着ばっかやん。
髪を拭きながらキッチンに向かうるきを尻目に、リビングのソファに座る。
勝負下着て。
どんだけ気張んねん。
るき淫乱やからしゃーないか。
つーか、そんな事を考えとるるきがちょっとでも可愛いとか。
そんな思うツボな事思ってないで。
決して。
終
20120207
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