メンバー報告/敏京




「京君、こっち来て」
「何」
「いいから」
「お前がこっち来い」
「もー。我儘だなぁ」


そう言いながら敏弥は、仕事の休憩中。
ソファに座って雑誌読みながらお菓子食っとった僕の隣に来た。


他のメンバーは各々好きな事をして休憩しとって。
敏弥は僕の隣に座って、僕の肩を抱いて来た。


こんな所で何すんねん、と言おうとしたら敏弥が先に口を開いた。


「ねぇねぇ皆聞いてー!」
「…ん?どしたん敏弥」
「俺と京君、付き合ってるから」
「え?」
「…は?」
「どのタイミングで言うねんお前」


メンバーが、僕らを見たと思ったら。
敏弥が言うた。

意外にあっさりと。
薫君の時はあんなに緊張しとった癖に。


他のメンバーは、薫君以外呆気に取られた顔。


「…え、何、どう言う事?敏弥と京君付き合っとるって?」
「うん、そう。だから京君狙わないでね、俺のだから」
「誰がお前のやねん」
「恋人同士なん?」
「そうだよ。ラブラブだから!ねー?京君」
「知らん」
「…ホンマに付き合っとんの?」
「付き合ってるよ。京君の誕生日からね」


そう言うて、僕をぎゅーっと抱き締める敏弥の手をべしっと叩く。

堕威君は信じられへん、と言う感じよりも興味津々で近付いて来て色々聞いて来る。
心夜は一瞬驚いた顔して、また本読むんに戻った。

薫君は前言うたし、珈琲飲みながらパソコン見とるし。
何や拍子抜けと言うか、自由過ぎる。


「そっかぁ、最近仲良かったもんなぁ2人。おめでとさん」


目の前のソファに座った堕威君がものごっつ笑顔でそう言うた。


やから好きやねん、こいつら。


普通に受け入れられとる事に、やっぱ信じる気持ちはあったけど安堵した。


「薫ー!京君と敏弥付き合っとんやってー」
「知っとるよ」
「そうなん?知っとったん?」
「この間のオフん時に敏弥が緊張気味に報告して来た」
「何で薫君には先やねん敏弥」
「そんなの、京君のお父さんだからに決まってんじゃん」
「ははっ、なる程」


やから何でそこで納得すんねん堕威君。
確かに薫君にはメンバー以上に色々やってもらっとった事もあったけど。


「敏弥、いつまでくっついとんねん。離れぇや」
「やーだー。皆に報告したんだから、これで堂々とイチャつけるよ!」
「人前でイチャつく予定はありません」
「ふーん、ほな京君、2人きりの時はイチャつくんや?」
「っ!?堕威君煩い!」
「はは、かわえぇなぁ」


敏弥の腕を振り解きながら言うと、堕威君はニヤニヤしながら言うて。

ムカつく!
敏弥の所為やでホンマ。


「ダメダメ。堕威君、京君は俺のだからね!狙わないでね!」
「どうしよっかなぁ」
「ちょ、絶対ダメだよ!?」
「敏弥煩い」


隣でギャーギャー騒ぐな。
堕威君もニヤニヤ笑って、敏弥で遊ぶなや。


「そんな京君の事好きなん?」
「うん、大好き」
「お前、ちょぉ黙れやホンマ…」


人前で言うかそんな風に。
ちょっと遠慮とか、しぃひんの。

でも揺るぎない敏弥の言葉に、ちょっと喜んどる自分もおる訳で。

何やねん僕。
痛いヤツやん。


「そっかー。あー何かえぇなぁ…顔知らんヤツと付き合っとるよりも、知っとるモン同士が付き合っとるとか、何か嬉しいなぁ」
「…でも京君泣かしたら怒るで」
「うぉ、薫は京君大好きやもんなー」
「当たり前やん」
「幸せにさせていただきます、お父さん!」
「アホか」


薫君まで話に入って来て、敏弥は悪ノリするし。
何やねんな、この状況。


それでも、普通に受け入れられとるこの状況。
やっぱ、言うてよかったって思う。

彼女が出来る、とは少し違う状況やから。
僕もそれなりの覚悟は持っとるつもりやし。


…敏弥にも、変な虫つかんやろしな。


「ほな今日皆で飲みに行こや。祝ったるでー」
「わーい」
「心夜ー。心夜も飲みに行こやー」
「わかったから堕威君煩い」
「何やねんアイツはホンマにマイペースやんなぁ」
「いつもイジるからじゃない?」
「敏弥やって」


何だかんだ、今日はメンバーで夜ご飯らしい。

祝うんやって。

僕と敏弥が付き合う事を、そう言う風に言われるって何か恥ずかしい気もするし、嬉しい気もする。


「楽しみだね、京君」
「ん」


笑顔な敏弥。


うん、好きやなって思った。




20120205



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