るき@※/京流
0時に近い深夜。
るきがキッチンで飲み物淹れとって、僕はテレビのリモコンを適当に回す。
今の時間からDVD観たら寝る時間遅くなるし怠いな。
明日早かったっけ。
また海外やら何やら行く為の打ち合わせやリハあるから、めんどい事この上ない。
「京さん、ココア淹れました」
「んー?…ココア?」
「白ココアです」
「あぁ、そんなんあったなぁ」
「何か面白いテレビあります?」
「何も無い。最近おもろいテレビないわ」
「ドラマとかも見ないですもんね」
「んー」
るきが淹れた白ココアを一口飲んで、甘い味が口内に広がる。
るきもソレを飲みながら僕の隣に座る。
風呂も入って部屋着、眼鏡なるきから、僕も使っとるシャンプーの匂いがして来た。
「京さん、明日って仕事遅いですか?」
「明日?わからんなぁ…予定詰まっとるし」
「ですよね…」
「何かあるん?」
「あー…仕事帰りに一緒に飯でも食いに行きたいなーと思って」
「別に、違う日でもえぇんちゃうん」
「そうですね。まぁ俺も早く帰れるかわからないんで」
そう残念そうな顔するるきがテレビの方に視線を戻して白ココアを飲む。
特に面白くもないテレビ番組の音声が部屋に響く。
〜♪〜♪
したら、部屋中に僕の声が響いた。
言うてもるきの着信音。
僕の歌が着うたって何やねんコレ。
炬燵テーブルの上に置いた携帯をるきが取って画面を見る。
「あ、虎」
「……」
るきがそう呟いて、マグカップをテーブルに置いて携帯を持ってソファから立ち上がった。
キッチンの方に行ったるきの話し声が背後から聞こえた。
時計を見ると、深夜0時。
メンバーなら仕事の事やってわかるんやけど。
こんな時間に後輩が何の用事。
「虎?どした?」
「うん、平気」
「あれ?何で知ってんの?」
「あーそっか。オフィ見ればわかるか」
「はは、ありがと」
虎って前の奴。
ここ頻繁に電話来とったり連絡取り合っとるみたいやし。
マグカップをテーブルに置いて後ろを振り向くと、るきがうろうろしながら笑って電話をしとった。
「え、明日の夜?うーん…、」
「るき」
電話しとるるきに声を掛けて、こっちに来るように呼びつける。
まだ電話が切れへんらしいるきはちょっと戸惑いながらも僕の方に来た。
「気持ちは嬉しいけど、ドタキャンする事になったら悪いから…ッ」
『ルキさん?』
近付いて来たるきの腕を取って、自分に引き寄せる。
そのまま、ソファに押し倒してるきを組み敷いた。
るきの驚いた表情と、電話口から低めの男の声が聞こえた。
「えっ?京さん…!?」
るきの首筋に唇を押し付けて吸い付く。
スウェットの中に手を入れて素肌を撫でると、電話中のるきが焦って片手で僕の肩を掴む。
繋がったままの電話口からるきを呼ぶ声が聞こえたけど。
るきから電話を取り上げて通話終了ボタンを押す。
待ち受けになった画面の時計を見ると2月1日。
電話しとった会話からすると、日付変わった今日はコイツの誕生日。
るきの携帯を床のラグに落とす。
「ちょ、京さん何するんですか…!」
「何の電話」
「え、」
「今の電話なに」
「あ、え…、虎、が明日の仕事終わりにご飯食べに行こうって」
「ふーん。何で?」
「ッ、え、と…」
「お前の誕生日やから?」
「知っ、てたんですか」
るきを見下ろしながら、髪を撫でて耳から首筋を撫でると。
るきは目を細めて、皮膚に鳥肌が立った。
知ってたって、さっき思い出しただけやけど。
自分の事になると、るきは全く主張して来ぉへん。
「熱心な後輩やんなぁ。行かんの?るきは」
「だって仕事あるし…」
「ふーん」
「も、ちゃんとまだ断って無かったのに」
「えぇやろそんなん」
るきの顎を掴んで鼻先がつく程、顔を近付けるとるきが目を閉じる。
そのまま唇に噛み付いてキスをしたると、るきの両腕が僕の首に回って来た。
えぇ根性しとるよな、お前の後輩。
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