バカップルの休日/敏京
「うわわッ!負ける!負けちゃうじゃん!」
「ははっ、早よ死ねやぁあ!」
「あっ、あ、京君ちょ、待っ…!あぁあ゛あー!!」
「よっしゃ、勝った!!」
「くそぅ…負けた…」
オフの日。
前日から敏弥が僕んちに泊まりに来て、昼まで寝て適当に飯食ってダラダラ過ごす日。
2人共、外出する気が更々無くて敏弥とゲームの対戦をして遊ぶ。
ただ対戦するだけやったらつまらんからって、負けた方が服脱いでくって言う脱衣ゲーム。
どっちかが全裸になるまで。
提案した敏弥にアホかって呆れたけど、そう言う賭事があるとやっぱ燃えるもんで。
1回戦は僕の勝ち。
「オラ、敏弥早よ脱げ」
「…京君が負けて、京君が脱いでくのを楽しみたかったのにー…」
「気持ち悪い事抜かすな」
敏弥は部屋着代わりのスウェットの上を脱ぐ。
部屋は暖房効いとるからあったかいし、それだけしか着てへん敏弥は上半身裸。
脱いだ服を適当に床に投げて、またコントローラーを握る。
「よっし、次は負けないからね」
「次も僕が勝つし」
身ぐるみ剥がしたろ。
全裸な敏弥とか、かなり間抜けやん。
そんな事を思いながら2回戦。
「───よっし、勝った!」
「…ムカつく」
「ほらほら、京君脱ぎなよ。ほら!」
「わかったから触んな!何で僕が負けんねん腹立つな!」
「実力の差だよ」
「さっき負けた癖に」
糞ムカつく。
負けてもたし、今度は僕が服脱がなアカン。
楽しそうに笑う敏弥見たら腹立つ。
そんな事を思いながら、僕も敏弥と色違いのスウェットの上を脱ぐ。
「さっきはさっき。ってかぁあ!何でスウェットの下にTシャツ着てんの!ズルいじゃん!!」
「っさいわ!寒いからじゃボケ!」
「…でもまぁ、そのTシャツが俺が忘れて帰った俺のTシャツだから許す。可愛い」
「僕んちにあるモンは全部僕のですー」
「ジャイアンかよ」
敏弥が目を細めて笑って、またゲーム画面に視線を戻した。
スウェットの下にTシャツ着とったから、まだ寒くない。
つーか部屋着なんやからラフやし、着とる枚数少ないやんなぁ。
さっさと敏弥負かしたろ。
3回戦。
また敏弥の勝ち。
「何っでやねん!」
「ふふん」
「ムカつく。ホンマ腹立つ」
「京君脱いでいいよ」
「好きで脱ぐんちゃうわ!」
脱いで行くんも嫌やけど、何より勝負に負けたって事が嫌。
着とった敏弥サイズのTシャツを乱暴に脱いで、床に投げ捨てる。
暖房効いとっても、やっぱ素肌晒したらちょっと寒い。
「さっむ!」
「風邪引いちゃうかもね」
「僕風邪引いて喉やられたら困るし服着るわ」
「ズルい事言わないのー。じゃ、こうすればあったかいよ」
「は?」
敏弥は僕の方に寄って来て、背後に移動。
いつもやる様に、僕を足の間に入れる形で座る。
コントローラーを持つ手が僕の腹辺りに来て、敏弥の両腕の中に入っとる感じになった。
僕の背中と敏弥の胸元がぴったりくっつく。
お互い上半身裸と言う間抜けな格好やから、人肌がめっちゃ温かい。
「アホか」
「ふふ、」
いつもの体勢で、背中を敏弥に預けてグッと体重を掛ける。
敏弥の肩に頭乗せてもたれる状態が、しっくりハマるから。
その状態で4回戦。
お互い無言でバチバチ、コントローラーのボタンを叩く。
敏弥の手が僕の腹の辺りで忙しなく動いとった。
けど、僕を抱いたままはやりにくいんか、今度は僕のが勝ちそう。
あと一息って時。
「…ッ、何すんねんお前!」
敏弥側の耳にぬるっとした感触。
一気にそっち側がぞわぞわっとして鳥肌が立った。
思わず耳に手を当てて、敏弥の方を睨み付ける。
「はい、俺の勝ちー」
「は!?今ん無しやろ!卑怯やぞお前!」
敏弥の奴!
僕が敏弥のした行為に意識を捉われとったから、ゲームん中で一気に逆転しやがった。
何やねん、腹立つなぁ!
「だって俺が全裸になってもつまんない!」
「つまらんくないわ!全裸になったお前見て笑ったるし!」
「やぁーだー。京君が脱いで!」
「ちょ、お前何すんねん…!」
敏弥が僕のスウェットのズボンに手を掛けようとしたから、手を引き剥がそうとしながら逃げる。
けど、無駄に長い敏弥の足にがっちりガードされてもた。
ホンマ敏弥が言い出す事ってロクでもない。
ゲームん中やなくてガチな攻防戦。
5回戦。
敏弥よりリーチが無い分、不利やけど。
簡単に勝てると思うなよ。
終
20120120
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