冬でもラブラブバカップル/敏京
「さっむ。部屋ん中もさっむ!」
「京君暖房つけてー」
「はぁ?リモコン何処やねん。くっそ、外も寒いし中も寒いって何やねん!」
「リモコンはテーブルの上にあんだろ。東京も雪降るかもって言われてるしね」
仕事が終わって京君とコンビニ寄って俺んちに帰って来たら、まぁ、留守にしてたから当然なんだけど暖房器具とか一切つけてなくて。
外と変わらない部屋の気温。
電気を点けて、京君は自分ちが如く中に入る。
上着着たまま身を縮めて寒い寒いって文句言ってる。
まぁ京君は文句言いたい子だからね。
京君の後に続いて部屋に入って、テーブルの上に置かれたリモコンで暖房をつけて。
炬燵のスイッチも入れる。
「ありえん。無理死ぬ寒くて死ぬ」
「はいはい、死なない死なない」
そんなすぐに暖まらないし、寒いって文句言ってる京君を正面から抱き締めた。
俺の腕の中にすっぽり収まる京君。
可愛いなぁ。
「何すんねんお前」
「んー?京君が寒くて死んじゃったら困るから暖めてんのー」
「アホか」
「とか言っちゃってー。あったかいだろ」
「…まぁ、敏弥にしては」
「何それ」
微かに笑って、京君の身体をあっためようと背中を擦る。
顔の下に京君の頭。
ワックスの付いてない髪からはシャンプーと煙草の匂いが混じってた。
暖房も暖かい風が吹いて来て。
背中に回した手で、京君の首筋から耳へとゆっくり髪を梳いた。
そしたら京君が顔を上げて、俺を見上げて来たから本当に可愛いと思う。
「敏弥の手ぇあったかい」
「ん?そう?」
「うん。手ぇ温かい奴は心冷たいって言うしな?」
「ちょっとー。そんな事ないでしょ」
「はは、」
「京君の手はー…、うわ、冷たッ」
「心があったかいからな」
抱き締めてた身体を離して、京君の手を取るとめちゃくちゃ冷たかった。
まぁ外寒かったしなー。
手が冷たいと心が温かくて、温かいと心が冷たいって誰が考えたんだろうねぇ。
確かに京君といる事が俺には心があったかくなる事だから。
京君は温かいんだろうね。
「敏弥めっちゃあったかいなぁ」
「でしょ?もっと暖まっていいよ。京君だけには心あったかいからね、俺」
「ふーん」
なんて言う京君の笑顔が可愛すぎてどうにかなっちゃいそう。
京君の手をにぎにぎして温めてたら、京君がニヤリと笑って。
俺の手から自分の手を取って。
何だろって思ってたから、京君が腰辺りから俺の服ん中にその冷たい手を突っ込んで来た。
「ほなあっためろや」
「…ッちょ、冷て…ッ!やだやだ京君!」
「はい、逃げんな。…あったかー…」
「うわわ、全身に鳥肌立った」
脇腹辺りに冷たい感触がして、そこから一気に鳥肌が立つ。
咄嗟に逃げようとしたけど、京君にがっちり掴まれて逃げらんなかった。
うぅ、どうせならエロい事で腰触って欲しかった!
「…あ、ちょっと冷たいの慣れて来た」
「チッ。嫌がってくれなつまらんわ」
「ちょ、まだ暖取るのかよ」
「寒いんやもん」
京君の手は段々あったかくなって来たけど、京君は更に手を滑り込ませて俺の背中を撫でた。
冷たいけど、京君がピッタリくっついて来てくれるから離れらんない。
離れる気もないけど。
「ふふ、可愛いなぁー」
「頭おかしいんちゃうー」
「おかしくないよ。京君は超可愛いの」
「頭おかしいんちゃうー」
「何言っても可愛いからいいもーん」
そう言って、京君の身体をぎゅーっと抱き締める。
だってもう暖房で部屋は暖まってるし、炬燵も暖かいだろうけど。
俺で暖を取る京君は離れない。
だから可愛いんだよ。
大好き。
終
20120112
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