暇な時間の会話/京流+玲
ライブ開始前。
リハも終わってメイクも完了して、戒君が皆を集めて最終確認に入るにはまだ時間がある中。
楽屋で各々好きな事をやってる時間。
ウチのヴォーカリストはテーブルに上半身をべったり倒してグダグダ言ってんだけど。
どうせアレだしな。
ルキの事だから、京さん絡みしかねーけど。
テーブルに顎乗せて、携帯イジってるルキは衣装を着て化粧もして髪もセットしてんのに超ダラけた姿。
オフん時はそんな姿よく見るけど、『ルキ』の格好でそんな姿してたらファンがビックリするわな。
そんなルキの隣で苦笑いしながらスタッフが持ち込んだ雑誌をパラパラ捲ってコーヒーを飲む俺。
「あー…京さんが海外行っちゃったよー…超寂しいんだけど。京さんもツアーで俺もツアーだからなかなか会えなかったし海外だよ海外。見送りにも行けねーし、いや、行った事はねーけど。ハードスケジュールだし、連絡来るかなー。なぁ、れいた!聞いてる?」
「聞いてる聞いてる」
「はー…超欲求不満になるー…京さんと超ヤリてー。最近ヤッてねーんだけど。これからまた1ヶ月以上も待たなきゃダメとか拷問だよな。なぁ、れいた」
「……」
え、何言い出してんのコイツ。
「ちょっと聞いてんのかよ」
「いや、聞いてるけど」
ルキはテーブルに肘を付いて、俺の方を見ながら腕を叩かれた。
いや、ルキと京さんの情事なんか、ルキが勝手に喋ってよく知ってるけど(知りたくもねーけどな)
お前何つー発言するんだよ。
「はー…俺も京さん追い掛けて海外行きてー」
「…お前が言うとマジに聞こえるよな」
「マジだっつの。多分海外まで行ったらキレられる」
「あー」
「クリスマスだぜ帰って来んの。12月25日!恋人達の日!でも海外から帰って来た京さんて燃え尽きた感があるし、気が向かなきゃヤッてくんねーんだよなー…」
「あーじゃ、誰か女紹介しようかそんなヤリてーなら」
そう言うと、ルキはすげー呆れた目で俺を見て来た。
「れいちゃんバカなの?俺は京さんとヤリてーの。連れて来るなら京さん連れて来て」
「いや無理だろ」
はいはい、わかってっけどよ。
お前が京さん一筋になってんのは。
お前が受け身になってんのも知ってるけど、自分がすげー事言ってんのわかってんのかよ。
一緒にファン食っただの穴兄弟になっただの、馬鹿話に花を咲かせたのがもう遠い過去の記憶。
うだうだルキが言ってんのを、はいはいと流してコーヒーを飲んでるとルキの携帯が鳴った。
ルキが素早く反応して画面を確認したけど、それはどうやら京さんじゃ無かったらしい。
お前わかりやす過ぎ。
「あー…」
「何、京さんじゃなかった?」
「んー…虎から」
「虎?そう言えば最近ライブにもよく見かけるけど、仲良かったっけ?」
「最近メアド交換してさー。ちょくちょく来てるよ。今日も仕事終わりにライブ来るって」
「市川まで?」
「うん」
「ふーん」
「飲みも誘われてんだけど、なかなか時間合わなくてさー」
「まぁ今はツアー中だしな」
ルキは話しながら携帯をイジって、メールの返信をしてるみたいだった。
まぁルキは他のバンドの奴と交流あったりするしなー。
「まぁいいじゃん、京さんがいない今、俺と遊ぼうぜルキさんよー」
「なーに、れいちゃん。そんなに俺と遊びてーの?」
「当たり前じゃん。お前が京さん京さん言うから超嫉妬するし」
「仕方ねーなー」
ルキの肩を抱いて、ポンポン叩くと目を細めてルキは笑った。
実際、ルキと遊ぶのは楽しいし、メンバーに可愛がられてる中、一番仲良いと自負してっけど。
ルキが京さんにハマッてからはあまり遊ぶ事無くなったなー。
昔の暴力振るわれまくってた時は俺んちよく来てたけど、それは全然楽しく無かった事だし。
コンシーラーで隠さなくてもよくなった、ルキの化粧を施された顔を見る。
肌荒れはしてっけど。
下ネタ言うルキは健在だけど、昔の事を思えば今は幸せか。
「うん」
「何れいた。人の顔じっと見て頷いてんの?気持ち悪い」
「ルキさん相変わらず容赦ねーな」
京さんの前ではぶりっこの癖に。
まぁいいけど。
「あー…京さんと頭ぶっ飛ぶぐらいのセックスしてぇー」
「………」
やっぱよくねぇ。
ちょっと京さん、ルキを調教しすぎだと思うんですが。
どうなんですかね。
終
20111121
[ 203/442 ][*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]