今回もお揃いのヤツ/京流



深夜の仕事帰り。

いつも行くコンビニで、カゴを持ってうろうろする。

今日は仕事場で飯食って来たし京さんも食って帰って来るっつってたから飯は作らなくていいんだけど。
何か買って帰ろうかなーとデザートのコーナーで立ち止まる。

今回の新作は別に美味そうじゃねーなー。


あ、アイス買お。


アイスのコーナーに行って、季節限定の物を選んでカゴに入れる。
後は時々、京さんと一緒に晩酌するからアルコール缶を何本か。

ノンアルコールもあるんだ。

ついでにソレも買ってみる。


京さんの煙草のストックはまだあったし、買わなくていいか。

そう思いながらレジにカゴを置いて、鞄の中からきっちり貼られたポイントシールの台紙を出して。
いつもの様に物を交換して貰う。

今回も2つ。


店員から袋を受け取ってコンビニを出て、帰路に着く。
いつの間にか自然になった、京さんちって言うよりも京さんと2人で住んでる家。

最初は自分ちの様に寛ぐ事なんて全く出来なかったけど、慣れって怖い。

最初は京さんにいちいち許可取ってたインテリアも、今は勝手に変えちゃったりしてるし。

食器も何もかも。
簡素な京さんちは、俺の手によって着実に2人で住んでる痕跡を残して行って。


時々、こうして夜中1人で道を歩いてると。
暗闇だからか、それが全部夢だったらなんて事を考えたりもするけど。


エントランスを抜けて、エレベーターを上がって最上階フロア。
あの日、京さんから貰った合鍵で玄関のドアを開けると京さんの靴。

リビングのドアから漏れる明かり。


自分の靴を脱いで廊下を抜けてリビングへ向かうと、ソファから金髪の髪が少し見えて京さんがいて。
それを確認すると、京さんと住んでる事実が嬉しくなったりもする。

この現実が当たり前なんだって。


「京さん、ただいま」
「…おー」
「アイス買って来たんですけど、食べます?」
「何」
「雪見だいふくですよーいちごミルク味」
「ふーん」


京さんに話掛けながら袋を持ったままソファの前に移動。
ソファの脇に鞄を置いて、帰って来てジャケットを脱いだまま座ってテレビを見てる京さんの前の床に座る。

テーブルに袋を置いて、中を漁って買ったヤツを差し出した。


「何で冬にアイスなん」
「雪見だいふくって冬限定らしいですよ。夏に売って無くて」
「ふーん」
「それに、冬限定って言われたら食べなきゃいけない気がするじゃないですか」
「あーお前そう言うん好きそうやんな」
「そうなんですよー。あ、京さん見て下さい。今回も貰って来ました」
「は?」


何か雪見だいふくを律儀に突き刺して食べてる京さんに少し笑いながら今日交換して貰ったスープマグを1つ、箱から取り出す。

京さんは俺の手にある物を見て、眉を寄せる。


「何やまた貰ったんかそんなファンシーなモン」
「京さんの分もちゃんとありますよ。今回は事務所の方にポイントシールの台紙を置いてたら、意外にメンバーやスタッフさん達が貼ってくれて。早く貯まりました」
「はー…余計な事しくさって」
「でも京さん、スイーツとかいっぱい買ったら怒るじゃないですか」
「そらそうやろ。2人しかおらんのにアホみたいに買って来るからやん」
「だから皆に手伝って貰ったんです!可愛いですか?」
「……黄色やな」
「この手の食器めちゃくちゃ揃って来ましたよねー。似合わねー」
「そう思うなら貰うな」
「や、リラックマ好きな男って意外にいるんすよ」


京さんの方へ、黄色いマグを掲げて遠近法で見るけど。
ファンシーなソレと京さんはどうしてもミスマッチ。

アイスを食べ終わった京さんは、空になったゴミをテーブルに置いて呆れ顔。


いいじゃん。
俺としても黒や白のシンプルな食器が好きだし、揃えてんだけど。

そう言うのより、こう言うキャラクター物の方が『お揃い』感って強いじゃん。


呆れながらも、何だかんだ俺の好きにさせてくれる京さん、好き。


『2人』で住んでるって感じがして共有出来る事が嬉しいから。




20111105



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