犬と猫のじゃれ合い/敏京




「京君て猫みたいだよねー」
「はぁ?」
「だってさー自分の好きな時に甘えて来るしー、ホントは俺の事好きなのに素直じゃねーじゃん?」
「…うん、何言うとんかようわからんし色々誤解があるようなけど」
「またまたぁ、夜もネコだしね!金髪だしちっさいし京君猫っぽくて可愛い」
「喧嘩売っとんかお前。死ね」
「コラ、死ねとか言っちゃダメ」


仕事帰りにご飯食べて京君ちに来て、自分のベッドでごろごろして漫画読んでる京君を見てたら、不意にそんな事を思う。

京君は漫画読んでた顔を上げて、嫌そうに眉を寄せて俺を見て来た。


床に胡座掻いて雑誌読んでた俺は、雑誌を床に置いてベッドに寝転ぶ京君に近寄る。

近くに来た俺をチラッと見て、また漫画に視線を戻した。


ベッドに肘付いて、京君を見つめる。


「だって可愛いじゃん。普段つんけんしてるけどさー京君が甘えて来た時とか超可愛い萌える」
「甘えてへんし意味わかりません触らないで下さい」
「あは、可愛いー」
「………」


京君に手を伸ばして髪を撫でると鬱陶しそうに手を払われた。
何か、そんな風に邪険にされても好きって言うか、慣れてるし可愛いって思っちゃう。

京君はそんな俺に呆れた様な視線を向けた。


「…敏弥は犬やな、犬。ベッタベタに甘えて来るし」
「あードーベルマンとかそんなのがいいな。格好良い」
「はぁ?んなキリッとしてへんやん敏弥」
「なーんで格好良いじゃん俺」
「ないない。格好良くない」
「でも京君はやっぱ猫のイメージだなー。可愛い感じ。ねー今度猫耳付けてセックスしようよ。『にゃんにゃん』って鳴いて」
「嫌じゃボケ!気持ち悪い事言うなアホ!」
「ぁたッ!いったいなぁ、もう」


寝転がってる京君の髪を撫でたり頬をぷにぷにしたりして話してると、俺の言葉にキレた京君はベシッと頭を叩いて来た。
ちょっと痛い。


「そんな事をする子はお仕置きしまーす」
「はぁ?何アホな事言う…!?」

から、仕返しに俯せで寝転んでる京君の背中に馬乗りになって。
脇腹を掴んで擽ってやった。


「あはは…ッ、やめぇ…っ敏弥…!!」


そしたら京君は俺の下で笑いながら、身体を丸めて逃げようとする。
俺が乗ってるから、逃げらんないけど。


暫く擽ってたけど、京君がシーツばんばん叩いてから擽るのをやめた。


「ッは…最悪やお前…!」
「………」


笑い過ぎて涙目になった京君は、濡れた目で俺を睨み上げて来る。
から、何て言うか、全然怒ってても怖くないし、寧ろ可愛い。
エロい。


「京君大好き!」
「うわ、ちょ、お前離せや!」
「やーだー!」
「腹立つなぁ!」


背中に乗った体勢からそのまま、上体を倒して京君にぎゅーっと抱き付く。
京君は腕の中でちょっと暴れたけど、絶対離してやんない。

更に抱き締めると、抵抗を止めて大人しくなった。


後ろから京君の首筋に顔を寄せて、擦り寄る。

そしたら溜め息吐いて、手を回して俺の頭を撫でてくれる。
そんな京君が好き。


言葉では悪態吐いても、やる事は甘やかしてくれるんだもんね。


「やっぱ敏弥は犬や…」
「お手しようか?出来たら御褒美いっぱいちょーだい」
「お前はお手より『待て』を覚えた方がえぇと思う」
「んー。京君が好き過ぎて待てない」
「は、バカ犬やー」


そう言って楽しそうに笑う京君は、俺の身体の下でもぞもぞ動いて。
仰向けに身体を反転させた。


楽しそうに俺を見上げる京君は、やっぱ可愛い。

意地悪そうな表情は、俺の好きな顔の一つ。


「じゃ、このまま恋人同士愛を育もうか」
「敏弥ほんまキモいー」


そう言って、俺の背中に腕を回して来る京君。


愛情表現が素直じゃない猫ちゃんな京君と、ご主人様が大好きで仕方ないって事を隠さない犬みたいな俺と。

そう言うの好きだろ。

お互いね。




20111028




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