計画は一歩ずつ/京流+虎



打ち上げが終わった二次会。
結構な人数が集まったカラオケ店で、ルキさんの隣に座る。


まぁアルコール入ってるからかもしんねーけど、乗せたら結構歌ってくれる人で。


噂には聞いてたけど、本当にDIR EN GREY好きなんだなって言うか。
選曲がソレばっかなんすけど。


セッションでは別の先輩方の歌を歌ってたけど、そんな好きならセッションで歌えばよかったのに。
事務所的な問題で、無理なんだろうな。


「あっつー…」
「ルキさん飲み過ぎたからじゃないですか?」
「あーそうかも」
「ってか、ルキさんてDIRの曲上手いですよね。よく歌うんすか?」
「そりゃー聴き込んでるからね。スタジオで歌ったり」
「え?」
「メンバーにスコア渡して」
「え、それメンバー巻き添え…」
「そうなんだけど、意外と皆やってくれんだよ」
「…暇なんですね、ガゼットさんて」
「ンだと、コラ」


歌い終わってソファに座ったルキさんは、笑いながらカシオレに口を付ける。
カルーアとかカシオレとか、甘いのしか飲んでねーのにアルコール回ってるとか、案外弱い。


「ルキー。あんま飲み過ぎて後輩に迷惑掛けんなよー」
「うっせーれいた。別に迷惑じゃねーよな?虎」
「あ、はい」
「ははっ、圧力かけんじゃねーよ」
「かけてねーっつの。れいた煩い」


向かい側に座ってたルキさんのバンドのれいたさんが、笑いながらルキさんに話し掛ける。

仲良いんだろうなってやり取り。


正直、羨ましかったり。


事務所は一緒でも、ルキさんとは数える程しか会った事無くて。
仕事として、ルキさんのライブを観に行ったりだとかしてたけど。


ライブで見るルキさん相手に『先輩として』なのか『1人の人間として』好きなのか。
自覚するまでには時間が掛かったけど。

自覚したなら、もう相手が同じ事務所の先輩だとか同性だとか。
そんなのナシにして落としにいこうって、そう決めたから。


「あ、ルキさんメアド教えて下さいよ。今度ご飯連れてって下さい」
「ん?いーよ。忙しいからなかなか行けねーかもだけど、めげずに誘って」
「わかりました。ガンガンに誘います」
「はは、お前ん所暇なのかよ。彼女とかいねーの?」
「いませんよ」


好きな人ならいますけどね、目の前に。


ルキさんから赤外線で番号とメアドが書かれたのが送られて来たからそのまま保存。
俺の分も赤外線でルキさんに送信する。


「お、サンキュー。と、ら…って登録完了。ってかお前背高いしモテそうな顔してんのになー。その目って自前だろ」
「ッ、そうですね。血が混じってるんで目の色は自前です」
「自前でそれっていーよな。ライブ中カラコンしてっと目痛くなったりするしさー」


いきなり顔を覗き込まれて、一瞬たじろぐ。

カラコンも化粧もしてない、眼鏡越しのルキさんの黒い目。
自分の瞳の色の話をしてるのだから、俺の目を見てんのは当然なんだけど。

何か焦る。


「じゃ、彼女のいねー虎クンの相談相手になってやるよ」
「何ですかソレ。ルキさんはいるんですか」
「俺ー?」


目を細めて、ふふっと笑うルキさん。

あ、ちょっと自分で聞いておいて失敗したかも。


「虎には秘密ー」
「何すかそれ」
「何でもー」
「訳わかんないっすよ」


ルキさんはそう言うと、カシオレを飲みながらメニューを開く。

苦笑いをしながら、内心ちょっとショックだったのと。
ルキさんに思われてる人物を妬ましく思った。


「虎、これ頼んで」
「え?パフェ?食べるんすか?」
「いいから頼めよ。ホラ早く」
「はいはい」


急かされてメニューを見ながらリモコンで注文する。
ついでにビール頼も。


結構ルキさんて甘い物好きなんだな、とか。
我儘だな、とか思ったり。

いい事も悪い事も、新しい一面が発見出来たから良しとしよう。


「ルキさんまた歌って下さいよー。ルキさん達の曲」
「おぅ、任せろ」


自分達の曲を感情込めて歌うルキさんは、やっぱり綺麗だと思いました。




20110831



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