前日の情事/敏京




「ッは、あ…とし…、」
「ん…っ」
「そこ、ぁ、気持ち、ぇ…!」
「可愛い、京君…」
「敏弥…っ」


いつもの如く、敏弥んちに来て。

一緒にご飯を食べて、風呂入って。
あれからほぼ毎日の様にお互いの身体を弄り合う。

まだ最後までヤッてへんけど、言い出すタイミングも難しい。


僕が全裸んなって、敏弥が足の間で僕ん舐めとって。
気持ちえぇけど、何や変な感じ。

上半身だけ脱いだ敏弥は、僕の方を見て笑いながらちゅっと先端にキスをする。


太股を開かされたソコから見える内股にめちゃくちゃキスマーク付けとった。


「ん…ッ」
「京君、もっと声聞かせて」
「無理や、アホ…!」
「無理じゃない」
「ッ、」


そう言うと敏弥は、僕自身に吸い付いて根本深くまで咥え込んで来て。
下半身から快感が背筋を這い上がって来てシーツに預けた身体が仰け反る。


敏弥と付き合って、毎晩の様にこう言う風にされとるけど。
女にフェラさせるんとは違う感覚。

しとる事は同じ筈やのに。


全身唇と舌で愛撫されて。


女相手に思う、征服感やなくて。
僕の弱点全てが敏弥の前に全て晒け出される感じ。


気持ちえぇとは思うけど、僕の意思とは関係なく引き出される快感に戸惑いと恐怖があるんも確かで。

身体を繋げたら、それが更に色濃くなりそうで怖い。


本来僕は好き勝手にされるんが嫌いやし。
でも初めての男同士、どうしたらえぇかわからん。


そんな考えの中、敏弥の舌と唇が僕のをイかせようと更に激しく動く。

先端がキツいトコまで届く。
喉の奥まで開いては、敏弥は相当苦しいやろなって思うけど僕を気持ち良くしたいからって言う敏弥にはホンマ、愛されとんなぁって感じる。


「とし、アカンって、イく…っ」
「───んン゛」


ぐちゅぐちゅと唾液の絡まる音が響いて、イきそうな感覚に足が震え、敏弥の髪の毛を掴む。


「っ、あか、イく、イ…ッ」
「……っ」


ぎゅぅっと敏弥の髪を握り締めて、無意識に腰を突き上げて喉奥へと突っ込み、そのまま吐精する。

腰が痙攣しながら、吐精感と敏弥が丁寧に吸い付いて搾り取られる感覚に身を任せて。
ゆっくり身体を弛緩させてベッドに沈んだ。

仰向けで足を開かされたまま無防備な体勢でイかされるとか。
相手を信用して身を委ねとかな、絶対無理。

つーか嫌。


「ん…、京君気持ち良かった?」
「…うん」


当然の事のように飲み下し、口元を拭いながら顔を上げる敏弥。

返事をすると、むっちゃ嬉しそう。
そう言う表情を見ると、あぁ、僕も敏弥の事好きなんやなって思う。

敏弥やないと、こんな恥ずかしい事出来ひんよ。


「んふふー、京君可愛かった」
「可愛いないわボケ」
「またまたー」
「…っ、ちょ、どんだけキスマーク付けるん」
「京君は俺のだもーん」
「はぁ…」


肘を付いて少し顔を上げて見ると、敏弥はまた僕の内太股に顔を埋めて強く吸い付いた。
まぁ一応見えん所やけど、付け過ぎでキモいわ。

敏弥は独占欲が強いから。


「も、しつこい…っ」
「だってー」
「だって何やねん」
「明日、オフだよ。薫君に言う日だよ。反対されたらどうしようって思うもん」
「は、」


そんな事。
そんな気にしとんかボケが。


「男同士だし、薫君は京君大好きだし、バンドあるし、別れろって言われたら」
「アホな事言うなや」


苦笑い気味に足で敏弥の背中を叩く。


「だってさぁあ!」
「うわ…ッ」


敏弥は叫びながら、僕の方へと飛び付いて来た。
頭抱き寄せられとるから敏弥の胸板が視界に広がる。

敏弥の匂いが、すぐ近くになった。

告白して来た時もそうやけど、コイツって肝心な時ネガティブやな。


「薫君は反対せんて。僕らのバンドのリーダーやで。それぐらいで動じひんわ」
「…そうだろうけどー」
「そう言うのを無くす為に言うんやろ?反対されたら嫌やから言わん、とかメンバーを信用してへんみたいで嫌やし」
「…うん」
「やから堂々と言いや」
「…何か菓子折持って行こかな」
「何やのソレ」


敏弥の言葉に、小さく笑う。
背中に腕を回して抱き締めた。


無事報告出来たんを節目に、敏弥と最後までするきっかけになったらえぇなって。

ちょっと思った。

ご褒美やないけど。


痛いんやろうなって思うセックスも、敏弥とやったらえぇわって思う。


「京君俺より大人過ぎ。そう言う所も大好き」
「お前がガキやねんて」
「『敏弥大好き☆』は?」
「アホ言いなや」


好きって心ん中で何回も思う相手やから。




20110818



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