朝焼けの景色/京流




お互い、疲れとるんに寝られへんぐらい冴えとるって時。
るきとヤッとって。

2人してクーラーの効いた部屋で汗だくんなりながら貪り合った。
へろへろんなったるきはどっちが出したかわからんぐらいの体液に塗れとって。
そのまんまでは寝られへんし、腹ん中な精液残したままで腹痛い言われても面倒臭いから先シャワー浴びさして。


るきがシャワー浴びとる間、煙草吸って。
ボーッとしとったら、るきが寝室に呼びに来たから僕もシャワー浴びに行く。

めっちゃ汗掻いたし。

あんま吸ってへん煙草を灰皿に揉み消して、ベッドから降りる。


僕が部屋を出て行くと同時にるきが入って、ベッドの上のシーツを引き剥がしてベッドメイキングしとった。


リビングを通ると、電気点けてへんのに部屋ん中がうっすらと明るい。
もう朝方か。

寝損なったやん。


ヤッたら寝れるかと思ったのに、今日は何や熱中しすぎたな。


適当にシャワーを浴びて汗を流して、下着とジャージの下だけ穿いて部屋に戻る。

拭いたバスタオルを洗濯機に投げ入れたら、さっきるきが剥がした黒いシーツが突っ込まれとった。


どなんしよ。

もう寝れんかな。


そんな事を思いながらリビングへ行くと、部屋がさっきより明るくなっとって。
デカいカーテンが開かれて、窓が開いとる。


まぁ、るきがベランダにおった訳やけど。


黒いスキニーにTシャツ着た後ろ姿からは紫煙が立ち上がっとんが見えて。


何となく、僕もベランダに行って。
ベランダ用のクロックスを履いてるきが立つ隣に。


「何しとん、お前」
「…朝焼けが綺麗だなって思って」
「あぁ、」
「朝なのに、明ける時って太陽赤いんすね。すっげぇ綺麗」
「ふーん」


灰皿片手に持ったるきが煙草を吸いながらふわりと笑って僕を見る。

るきが言う様に、空に目を向けるともう太陽が昇って来とって。

確かに赤い。

太陽が出て来た直後って、こんなんなんやな。


目を細めてるきが見とった空を眺める。


夕焼けに似とるけど、空気感とか夕焼けとは違う朝焼け。


「あー…今ならいい歌詞書けそう」
「へぇ…どんな」
「んー…京さん愛してるーとか」
「うわ、下らへん」
「あは。俺どっちかって言うと、失恋系の歌詞が好きなんで京さんとの関係はそうなりたくないですね」
「ふーん」


灰皿に煙草を弾いて灰を落とするき。

まぁ明け方までヤッとったって言うんもあって、るきの喋りは気だるそうな感じ。


「京さん今日仕事ですか?」
「うん」
「寝ます?」
「何や逆に目ぇ覚めてもうて無理。もう朝やし」
「俺も。今日昼間絶対眠くなりそう。京さん朝ご飯何がいいですか?」
「和食」
「仕事までに時間あるし、腕によりを掛けて作りますね」
「いつもやれや」


目を細めて笑うるきは、短くなった煙草を灰皿に押し付けて消した。
朝日に照らされるるきの顔。

何やホンマ、こんな朝早くに起きとるんが変な感じ。
似合わんわ、僕らは。


るきから視線を外して。
段々と昇って行く太陽は赤色が薄まって光になって行く。


このベランダから、月だの花火だのようるきと見て来て。
朝日まで。


色んな景色を見て。
るきとの生活は感慨深い。


1人やと気に掛ける事はない。


「京さん、寒くないですか?」
「別に」


るきの声が聞こえたかと思うと僕の背中にるきの気配。
上半身は何も着てへんかったから、ゆっくりと背中を撫でられる指の感覚が顕著で。


ホンマ、意識か無意識か。
夜の雰囲気が抜け切らない、気だるげに色気を振り撒くるきは朝が似合わない。


それでも、一緒に見て来た景色は悪いモンや無い、と思う。


背中に感じる温かさをそのままに、朝日の変化をずっと眺めた。




20110812



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