だから、愛しい君/敏京
「あ゛ー、も、敏弥ムカつく!何やねん!」
「京君が弱いんじゃない?」
「死ね。死にさらせ!」
「はいはい、また俺の勝ちね」
「…はー…もうゲームえぇし」
「対戦も飽きたねー…他のやる?」
「やらん。疲れた」
仕事終わってコンビニ寄って京君と一緒に俺んち帰って来て。
ご飯食べて京君と2人で対戦ゲーム。
別に俺ばっかが勝ってた訳じゃねーんだけど、連続で負けた京君は不満そうな顔しながらコントローラーを床に置いた。
胡座をかいたまま腕を伸ばして伸びをする京君の隣で、ゲーム機の電源ボタンを押してテレビ番組に切り替える。
「何か面白いテレビねーかなー」
「知らん。敏弥アイス取って来てアイス」
「えー自分で取って来なよ」
「えぇから早よ取って来い」
「ッ、もー。我儘」
ペシッと軽く腕を叩かれて渋々立ち上がって冷蔵庫に取りに行く。
デザートにって買ったカップのアイスと自分用に缶ビールを取ってまた戻る。
京君はチャンネルを回して、適当なバラエティ番組で止めた。
「はい、アイス」
「ん。ありがと」
「よっこいしょ」
「は、ジジくさ」
「煩いなー」
「いちいちくっついて来んなや」
京君にアイスを渡して、隣に座って悪態を吐く京君の肩を引き寄せてキスすると眉を寄せて俺を見て、そのままアイスの蓋を開けて食べ始めた。
はー。
我儘で口悪いけど可愛い。
お菓子とか甘い物好きなトコとか。
好きだなーって思いながら京君にくっていたままビールのプルトップを開ける。
冷えたビールの喉を潤して。
そしたら自分の携帯が鳴ったから、テーブルの上に置いておいた携帯に手を伸ばす。
「あ、堕威君」
「ふーん。…つーか敏弥、ホンマ携帯にプリクラ貼るんヤメ」
「いーやーでーすぅー。って言っても、こう言う風に画面に貼ってたらプリクラって色薄くなっちゃうからダメだなーって思った」
「そんなん貼っとる事自体がアカンわ」
「京君も貼ればいいのに」
「絶対嫌」
「何で?ラブラブでいいじゃん」
「ラブラブちゃうし」
「けちー」
京君が、俺の携帯画面の端っこに貼られたちゅープリを見て眉を歪めた。
剥がせ剥がせって煩かったけど、俺は携帯見る度に幸せな気分になるから絶対剥がさねー。
ま、色薄くなって来るの嫌だから、これがダメになっちゃったら貼らねーけど。
堕威君にメール返信をして携帯を閉じてビールを煽る。
京君は黙々とアイスを食べ続けて。
食べ終わったらテーブルの上に空のカップを置いた。
「…はー…風呂入って来る」
「いってらっしゃい」
京君は立ち上がって、勝手を知ってる俺んちの風呂場へと服を脱ぎながら向かってった。
部屋で1人になった俺は京君が食べたアイスのカップを捨ててビールを飲みながら、テーブルの上に放置された京君の携帯を見つけた。
あ、そうだ。
少し腕を伸ばして、棚に立て掛けた前に京君と撮ったちゅープリを手に取る。
普通には京君嫌がって貼ってくんねーけど、電池パックん所なら見えねーし、いいじゃんね。
京君にも貼って欲しいもん。
そう思って、京君の携帯を持って電源を落として。
裏返しにして電池パックの部分を開ける。
「………」
…あー、もう。
だから京君可愛いんだよ。
大好きだよ馬鹿。
電池パックの所にはちゅープリ以外の京君が不機嫌そうな顔して写ってるプリクラが貼られてて。
思わず顔がニヤける。
どんな顔してここにプリクラ貼ったの?
見たかったな。
京君のそんな姿。
そのまま何も貼らずに、また電池パックにフタをして電源を入れて元に戻す。
「ッあー…」
何か。
何かむず痒い。
もう京君好き。
大好き。
1人、部屋の中で悶える。
京君はまだお風呂。
今すぐキスしたくなったから俺も風呂場に直行。
やっぱりラブラブだよね、俺ら。
終
20110730
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