土用の丑の日/京流
今日は土用の丑の日って事で、京さんの仕事終わる時間と自分の時間を照らし合わせて店予約した。
家でスーパーで買った鰻食うより店で食った方が美味そうじゃん。
ちょっと高めの個室の所。
京さんと2人、座敷に案内されて畳の上に座って落ち着く。
「あー…やっぱ予約しててよかったー」
「何や今日混み過ぎでないん」
「土用の日ですからね。皆鰻食べに来てるんじゃないですか」
「あ?今日そんな日か。やから今日しつこぉに外で飯食うからって煩かったんか」
「この時間なら終わるかなって思って。でも仕事ちょうどよく終わってよかった」
「つーか、並んでまで鰻食べたないわ」
「まぁこう言う時でないと鰻食べる時ないし。献立考えなくて済みますしね!」
「お前…それが理由か」
「あはは。京さん何飲みます?」
「生ビール」
「俺はー…烏龍茶にしよ。京さんこの特上でいいですか?せっかくだし」
「鰻やろ。何でもえーわ」
メニューを広げてドリンクを選んで。
着物姿の店員さんに2人分のドリンクと鰻を頼む。
京さんは煙草を取り出して1本咥え、火を点けて煙を吐き出した。
「京さん海外の準備どうですか」
「普通。つーか行きたない」
「俺は海外の京さんのライブ行った事ないんで行きたいんすけどねー」
「来んでえぇわ。日本の方がえぇで海外曲数少ないしトラブル多いし勝手に写真撮られるしそいつライブ見てへんし」
「あー…フリーダムですね」
「いらん方向にな」
あ、ドリンク来た。
眉を寄せる京さんは溜め息を吐いてまだあまり吸ってない煙草を灰皿で揉み消した。
お疲れ様です、と軽くグラスを合わせて一口。
こうして、京さんと向かい合わせで色々外食すんのも好き。
1日が終わった後のご褒美って感じがするから。
京さんもライブ無かったら少しだけお酒飲むし、少し饒舌で。
話聞くのも好きだったり。
話の途中で、2人分の鰻重が運ばれて来た。
「あ、すげー美味そう。ね、京さん」
「…鰻やん」
「鰻ですけど、やっぱ家で食うのとは違いますって。いただきまーす」
「いただきます」
だって鰻の他に茶碗蒸しとかキモ吸いとか自分で作れねーって。
結構値段張るし、普段来る理由もねーしなー。
「…美味いなこれ」
「ホントですか。よかったー。ネットで色々調べたんですよ此処」
「新しいトコよう見つけて来るもんな、るき」
「せっかく食べるんだから美味い方がいいじゃないですか。あと個室で」
「まぁ…確かに」
目の前の京さんが黙々と食べてる姿に笑みを浮かべて、自分も食べる。
ホントに美味しい。
当たりでよかった。
「あ、京さん土用の丑の日に鰻食べるのって暑い時期を乗り切る栄養をつける為に食べるらしいですよー」
「あーそうなん。栄養ってなぁ…鰻だけやとバランス悪いやんな」
「寧ろ鰻ってどんな栄養あるかわかんねー」
「精力つくとかそんなんちゃう」
「マジすか。じゃたくさん食べます」
「もうお前そんなん食わんでもえぇやろエロガキなんやから」
「ま、俺より京さんが食っ、」
「あ゛ぁ?」
「…いえ」
睨まれて視線をそらしながら吸い物を飲む。
京さんそりゃ元気だけど。
色々と。
職業柄、倒れるワケにもいかねーし。
これで夏バテしなきゃいいなー。
「もうビールいらん。烏龍茶頼んで」
「はーい。デザートなんか食べます?あんみつとか和風系ですけど」
「…食うんか。太るで」
「食べた方が体力つきます!」
「はぁ…じゃ、この黒蜜きなこアイス」
「あ、美味そー。俺この宇治金時食おっかなー」
「デブ」
「もー京さん!」
「はは。まー食わんかったらるきちゃうしな」
「何ですかそれー」
メニュー表を見てデザート決めて。
京さんのドリンクと一緒に頼む。
何だかんだ、京さんも甘いの好きじゃん。
ただ俺と違って食った後とか筋トレ半端ねーけど。
デザート食ったからって夜筋トレ頑張る京さんの姿眺めんの、好き。
ストイックな姿格好良いし。
楽しみだなー。
終
20110722
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