ベッドの上での2人/京流




寒い。

えー…何。

何で最近寒くなってんの。

毛布片付けたっつの最悪。


布団の中に入ってんのに、何となく肌寒くて目を覚ます。

雨の音がする。
台風来るっつってたしな。

寒冷前線とかワケわかんねーモンの所為で、暖かくなって来たのにまた寒くなって。

マジやる気無くなるわ。


目は覚めたけど、布団から出る気にはなれなくて。


ベッドの中、もぞもぞと身体を動かして隣の熱の根源へとくっつく。
一緒に寝てる京さんの身体は温かい。


うつ伏せで、枕に顔を半分埋めて枕の下に腕を突っ込んだ京さんの身体に擦り寄る。


京さんの匂い。

超好き。


調子に乗って京さんの背中に腕を回す。

あったけー。

あーこのまま寝れるー…。

今日仕事あんだよなー…起きなきゃいけねーよな。


起きたくねーって思いながら京さんの腕に額を押し付けてたら、京さんの身体が身じろいだ。


「………なん…、うざ…」
「……」


あ、京さん起きちゃった?


腕を振り払って、薄く目を開けて数回瞬きをする京さん。


身体を離されて、温かさが無くなったから残念。

京さんは肘を付いて少し身体を起こし、軽く頭を掻きながら寝返りを打つ。


「…さむ…なんやの、もー…」
「寒いですよね、今日」
「…今何時」
「えーっ、と…」


枕元に置いた携帯を探して、時間を見る。


「朝の8時ちょっと過ぎです」
「あ゛ー…あんま寝てへんし。怠…」
「京さんも今日仕事ですよね?」
「ん。寒いから目ぇ覚めてもうたわ。ウザ」


欠伸をして少し伸びをした京さんは溜め息を吐いて布団を被り直した。

京さんもまだ布団から出る気は無いっぽい。


「台風来てるそうですよ」
「外出る気無くすわぁ」
「今回デカいらしいっすよ。台風って傘さしてても濡れますよね」
「そやなー…ま、マネが迎えに来るんちゃうの」
「ですよね。あー、毛布片付けるんじゃ無かった。寒ぃ」


窓を叩く雨音は激しくて。


腕を付いて、上体を起こしてベッドのある位置のド真ん中にある窓の真っ黒なカーテンを開ける。

遮光カーテンも一緒に開けると、窓に降り注ぐ雨は凄かった。


うわ、マジ外出たくねー。

今日オフになんねーかな。


真っ暗な室内が、窓から一気に光が入り込んで来た。


「今日仕事行きたくねー…」


そう言いながらまたベッドに身体を沈める。
自分の腕を枕にしてる京さんの方へとごろんと転がって。

また京さんの身体へと腕を回す。


「くっつくな鬱陶しい」
「京さん朝ご飯何がいいですか」
「死ね」
「嫌でーす」


あー、何か。

京さんと2人で朝からごろごろするのとか、イイ。


京さんは嫌そうな顔をしながらも振りほどかない。
じっと顔を見つめる。

寝起きの京さんは気怠そうで、何だか色気があって好き。


京さんの身体に回してた手を滑らせて無精髭が生えた顔を撫でた。

俺の顔を見つめたままの京さんはチッと舌打ちをして手を外されたけど。


「俺仕事行きたくねー。京さんとずっとこうしてベッドでいたい」
「あっそー、じゃ僕起きよ」
「…意地悪」
「…キショい顔すんなボケ」
「元々この顔です」
「あーぁ、残念やな」


そう笑った京さんは起きる気配も無く俺の頬をつねった。

すぐ離されたけど、地味に痛い。


「はー…僕ももう寝ときたい雨やし外出るん怠い」
「ずーっとベッドで過ごしたいですよね。すぐ寝られるし」
「身体なまりそうやなー」
「だったらセックスしましょうよ」
「…嫌やわーこの淫乱」
「あはは。何か1日中セックスだけしてみません?」
「何やのそれ。猿か」
「や、何回出来るか、とか」
「もうそんな若ないわボケ。ヤリたいなら1人でヤッとけ」
「ぁ痛ッ」


いいじゃん。

そう言うのヤッた事ねーし。


朝っぱらから下品な内容の会話を繰り広げて。

ま、時間来たらお互い仕事行かなきゃなんねーから、今すぐ実践とかは無理だけど。


強請ってヤッて貰お。


その目標を心ん中で企てて、おはようのキスをする為に京さんに顔を近付けた。


…ら、髪を引っ掴まれて朝からディープなのかまされました。


さすが京さん。


最高。




20110529



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