今更の想いの丈/敏京




「京君何頼む?」
「んー…チョコバナナパフェ」
「いやいや、飯食いに来たんだから。それデザートじゃん」
「やって先に飯食ってもたらデザート食えへんかもやん」
「デザートだけじゃ後で腹減るよ?」
「ほなこの白玉ぜんざいも」
「パフェとぜんざい…合わねー」
「えぇやん。敏弥決まったん?」
「うん。豚カツ定食とビール」
「ファミレスに来て飲むんかい」
「いいだろ仕事終わったんだし」
「あ、僕コーラも頼んで」
「はいはい」


仕事帰り、深夜近くに敏弥と一緒にファミレスに来た。


メニュー開いて、飯食う気分やなかったからデザートを選んで敏弥が注文するんを見つめる。

何や仕事でもプライベートでもずっと一緒におる気がするなぁ。


付き合っとるから、って理由もあるんやろけど。
付き合う前から敏弥とおるん楽しいし、一緒におるんがウザい時もあるけど安心するんもある。


女と付き合っとった時は、オフの日にどっか連れてけとか言われてもウザいだけやったし。
ましてや休みの日まで何で誰かと一緒におらなアカンのって思っとったんやけど。

敏弥とはほぼお互いの家に入り浸って、四六時中一緒におる感じ。

今までの女も、それなりに好きやった筈やのに。

何で敏弥はこんな一緒におっても嫌やとか思わんのやろ。
不思議や。


「…なーに見てんの?あ、見惚れた?」
「アホな事言うな。キショい」
「またまたー」


僕の視線に気付いて、注文し終わった敏弥が目を細めて笑い掛けて来た。

何でコイツはこんな普通にナルシスト発言出来るんや。


まぁ、実際かっこえぇなと思うから、口に出したらんけど。


そんな事を思いながら嫌そうな顔を見せても敏弥は機嫌良さそうにニコニコしとる。


その間に、先に持って来るように頼んどった生ビールとコーラが来た。


「じゃ、今日1日もお疲れー」
「お疲れさん」
「…あー…やっぱ仕事終わりのビールはイイねー」
「飲み過ぎんなや。放って帰るで」
「そんな冷たい事言わないで連れて帰って!」
「嫌や。知らん」
「えー!」
「煩い」


ファミレスは他にも客おるけど、アホみたいに煩いし都会の人間は他人に興味が無いから、楽。

特に深夜は。


コーラを喉に流し込んで、敏弥が仕事中にあった事を話すのを聞く。

僕も結構喋るけど、敏弥も喋る方やし。


「あ、パフェとぜんざい来た」
「うわぁ…甘そうだね」
「えぇやん。美味そう」
「ホント甘いの好きだよねー」
「うん」


僕の分のデザートが先に来て敏弥が手ぇ伸ばして来てパフェについとるチョコがかかったバナナを1個取って食った。


「甘ぇー」
「甘く無かったら詐欺やろ」
「胸焼けしそう」
「僕は平気」
「まぁ京君らしいね」


生クリームやらアイスやらが盛られて、チョコやバナナがトッピングされたパフェ。

僕らしいって何やねん。

ま、確かによう頼んだりしとるけど。
敏弥と一緒におるんがほとんどやし。


スプーンでアイスを掬いながら食っとると、敏弥が頼んだ定食も来た。
夜中にそんなん食う方が胸焼けしそうやねんけどなぁー。


「あ、今日は京君ち行く?」
「え?来るん?」
「えっ、ダメ?何か用事あった?」
「用事は無いけど、何かずっと一緒におるなーって」
「……ヤだ?」


ちょっと意地悪く言うてみたら、眉下げてちょぉ寂しそうな顔した。


何や犬みたいでかわえぇな。


「嫌や言うたら?」
「………俺がヤだ」
「ははっ、まぁ敏弥やからそうやろなぁ」
「どう言う意味だよ」


今更。

一緒におるんが嫌とか、そんなん無いわな。


「んー?何でいつも一緒におるんやろーって思ってんな」
「…好きだからじゃねーの?」
「うん。そやろな。因みに今日は僕んちで。観たいDVDあんねん。一緒に観よや」
「…いーの?」
「当たり前やん。今更やろ」
「今更…、うん、今更か」
「なん」
「んーん、京君好きだなーって」
「外で言うな。そんな事」
「はーい」


今更。

当たり前のように敏弥と一緒におるんも。

考えるんが今更や。


敏弥は今まで付き合って来たどの女以上に、好きやって事だっただけ。




20110516



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