ご褒美=放置プレイで/京流
京さんが風呂から上がって、頭をタオルでガシガシ拭きながらソファに座る。
その前のテーブルでパソコンをイジってた俺は京さんが座るソファを振り返る。
「京さん、足貸して下さい、足」
「…は?足?何?」
「足の裏!足ツボマッサージさせて下さい」
「え、何で」
「やー今日足裏のツボマッサージして貰ったんすけど、意外と気持ち良くて。自分でやっても少し効果あるみたいですよー」
「ふーん」
ま、痛かったんだけどね。
内臓の悪い所とか。
パソコンで見てみたら、足裏っていっぱいツボあるし。
ここ押したらこう言う効果っての載ってたし。
京さんはどうなんだろうなって思って。
「失礼しまーす」
京さんの足元まで膝立ちで移動して、正座して座って。
京さんの片足首をガシッと掴む。
「ちょ、何しとん」
「京さんの足貸して下さい」
「はー…ついでに足全部マッサージしぃ」
「じゃ、後でしますね!」
京さんの許可貰ったから、自分の太股の上に京さんの足を乗せて。
風呂上がりだから、京さんの足サラサラしてんなー。
「あー京さんの肌きれー」
「おい、キショい離せ」
「嫌です」
「何やねんなもー」
足を引こうとした京さんの足首を掴んで引き留めたら、京さんは呆れた顔で俺を見下ろして背凭れに頭を預けた。
盛大に溜め息吐いた声が聞こえたけど、気にしねぇ。
京さんの裸足の足なんて、じっくり見た事無かった気がする。
身長の関係もあるだろうけど、意外と足ちっせぇ。
そして足裏柔らけー。
何だこれ。
京さんの新しい所発見。
「…早よせんかボケ。踏むで」
「あっ。…頑張ります」
ほっといたら俺って京さんの足ずーっと撫でてそうだなー。
とか、そんな事を思いながらちょっと振り向いてパソコン画面を確認して京さんの足裏を見る。
えーと、確かここら辺…。
「…京さん、痛くないですか?」
「別に。普通」
「あー、じゃ京さん内臓悪くないんすかねー」
「ふーん」
「プロの人にやって貰ったら、俺めちゃくちゃ痛い所あったんですよ。だから、京さんの痛いポイントを探そうかなって」
「おい、わざと痛い所探す気か」
「あは」
ネットで見たツボを、人差し指の関節のトコで強めに押す。
素人がやっても、痛がる人はかなり痛がるらしいけど。
京さんは平然として俺に足を預けたまま煙草に手を伸ばした。
だって俺めちゃくちゃ痛かったし。
内臓悪くねー所は強く押しても痛くねーのにな。
強めに押しながら時々パソコン画面を確認して、足裏のツボを押して行く。
「ここ、花粉症のツボらしいですよー」
「ふーん。足押しただけで花粉症治るんやったら苦労してへんわ」
「気休めになるかもだし」
「あそー」
京さんは煙草の煙をふーっと吐き出しながら、俺がグリグリと押したり親指の腹でさすったりする行動をじっと見つめる。
何か、不遜な態度で京さんに見下ろされると、思わず足にキスしそうになるんですけど。
なんて、そんな事思ってると思考回路がそっちに持ってかれそう。
「い゛…っ」
「あ、ここ痛いですか?」
京さんが思わず、って感じに出した声に飛びかけてた意識がまた戻る。
京さんが痛みに不機嫌な顔になった。
ここって、何処が悪いんだっけ?
「……京さん胃が疲れてます?」
「は?知らんし。つーか離せ痛い」
「最近忙しくてちゃんとご飯作れてねーし…飲みとかもほどほどにして下さいね」
「ってか離せ言うとんねんボケ」
「うわ…っ」
痛がる京さんとか超貴重だから、京さんが痛がる場所をしつこくマッサージしてたらキレた京さんに蹴り上げられる形で手から足が離れる。
「お前調子乗んなよ、糞ガキ」
「…すみません」
煙草を吸いながら、京さんが目を細めて俺がさっきまでマッサージをしてた足で胸元を踏みつけられた。
や、京さん。
セックス中に虐げられんのはプレイの一環なんで全然楽しめるんですが。
何でもない時に足で踏まれるのアレなんすけど。
────…興奮して来ます。
「死ね」
「嫌です」
視線を落として京さんの足を見下ろすと床に手をつく形で、京さんの脛辺りに唇を寄せた。
「…何処に欲情したんやこの糞淫乱」
京さんの呆れた声が頭上から聞こえて来て。
京さんにされる状況が、俺を興奮させるのに。
そう調教したの、京さんじゃん。
滅多に見られない、ちょっと痛そうな京さんの声と表情もすげーキたんです。
俺の全ては、京さんで決まる。
「先に足全体マッサージしろや。でないと許さへんで」
「…はい、」
大好きだから、と言うよりも。
もう反射的に。
また痛い所押したら、お仕置きしてくんねーかな。
なんて、安いAVみたいな状況を考えて心の中で自嘲する。
ちゃんとマッサージしたら、ご褒美下さいね。
終
20110426
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